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二つの大阪高裁判決に対する弁護人のコメント(07/11/20up)  07/4/25政治資金規正法・判決(07/5/2up)
07/2/19贈賄事件判決に対する弁護人のコメント(07/3/2up)  07/1/22大谷・旭光事件判決に対する弁護団のコメント(07/1/23up)
07/1/15贈賄事件第4回公判・武委員長最終意見陳述(07/1/18up)  11/15贈賄事件第1回公判・武委員長意見陳述(06/11/15up)
10/22関生支部第42回定期大会への武委員長メッセージ(06/11/2up)  9/25大谷・旭光事件・武委員長意見陳述(07/1/26up)
8/24弁護士のコメント−不当判決を受けて(06/8/25up)  6/27政治資金規正法第5回公判(06/8/24up)
5/25政治資金規正法第4回公判(06/7/12up)  5/8大谷・旭光事件公判(06/5/20up)  4/25政治資金規正法第3回公判(06/5/25up)
4/17大谷・旭光事件公判(06/4/18up)  4/13政治資金規正法第2回公判(06/5/25up)  3/16大谷・旭光事件公判(06/3/25up)
3/7政治資金規正法第1回公判(06/3/25up)  3/2大谷・旭光事件公判(06/3/29up)  2/16大谷・旭光事件公判(06/2/27up)
1/30大谷・旭光事件公判(06/2/10up)  1/16大谷・旭光事件公判(06/1/20up)  検察官による「重大な人権侵害」(06/1/20up)
12/20第3次弾圧・勾留理由開示公判における武委員長と戸田市議の意見陳述(05/12/29up)
12/20第3次弾圧・勾留理由開示公判(05/12/29up)  12/12大谷・旭光事件公判(05/12/26up)  5名保釈!(05/12/17up)  
11/24大谷・旭光事件公判(05/12/12up)  10/22勾留中のS役員からの手紙(05/11/2up)  11/10大谷・旭光事件公判(05/11/26up)
10/19勾留中のS役員からの手紙(05/11/2up)  10/11勾留中のH役員からの手紙(05/11/2up)  10/13大谷・旭光事件公判(05/11/2up)
10/3大谷・旭光事件公判(05/11/26up)  獄中の委員長より定期大会へのメッセージ(05/10/20up)
旭光事件第6回公判(05/10/8up)  大谷事件第7回公判(05/10/3up)  旭光事件第5回公判(05/8/31up)
大谷事件第6回公判(05/8/31up)  大谷事件第5回公判(05/7/30up)  旭光事件第4回公判(05/7/15up)
旭光事件第3回公判(05/7/6up)  大谷事件第4回公判(05/7/1up)  旭光事件第2回公判(05/6/20up)  
  大谷事件第3回公判(05/6/16up)  旭光事件第1回公判(05/5/25up)  大谷事件第2回公判(05/5/18up)
  大谷事件・第1回公判(05/4/7up)  旭光事件・勾留理由開示公判(05/3/24up)  旭光事件・弁護士による意見書(05/3/24up)
大谷事件・勾留理由開示公判(05/1/21up)  大谷事件・弁護士による意見書2(05/1/21up)  大谷事件・弁護士による意見書1(05/1/21up)

日 程
2005年    
 1月 13日 武執行委員長はじめ4名の執行委員が威力業務妨害および強要罪で逮捕
  21日 勾留理由開示公判(13時〜 於:大阪地裁1001法廷)
2月  2日 勾留延長期間終了
   3日 起訴勾留
  8日 4名とも大阪拘置所(都島区)に移動
3月 3、4日 組合関係者4名に不当な事情聴取
  9日 2名再逮捕、新たに2名逮捕。8ヵ所の家宅捜索
  24日 旭光コンクリートの件に関する勾留理由開示公判
13時半〜15時   於:大阪地裁804法廷
  29日 旭光コンクリートの件で逮捕された4名が起訴勾留
4月 4日 旭光コンクリートの件で起訴された4名全員が大阪拘置所(都島区)に移動
  7日 大谷事件第1回公判 10時 於:大阪地裁201大法廷
5月 16日 大谷事件第2回公判 13時半 於:大阪地裁803号法廷
  23日 旭光事件第1回公判 10時 於:大阪地裁803号法廷
6月 9日 大谷事件第3回公判 13時半 於:大阪地裁803号法廷
  16日 旭光事件第2回公判 13時半
於:大阪地裁803号法廷 証人尋問
  27日 大谷事件第4回公判 10時〜12時
於:大阪地裁803号法廷 反対証人尋問
7月 4日 旭光事件第3回公判 13時半 於:大阪地裁803号法廷
  11日 旭光事件第4回公判 14時 於:大阪地裁803号法廷
  14日 大谷事件第5回公判 13時半 於:大阪地裁803号法廷
8月 22日 大谷事件第6回公判 13時半 於:大阪地裁803号法廷
  25日 旭光事件第5回公判 10時 於:大阪地裁803号法廷
9月 12日 大谷事件第7回公判 13時半 於:大阪地裁803号法廷
  22日 旭光事件第6回公判 10時 於:大阪地裁803号法廷
  26日 旭光事件に関する接見禁止解除(2名)
10月 3日 大谷・旭光事件 弁護側冒頭陳述 13時半
於:大阪地裁803号法廷
  13日 大谷・旭光事件 弁護側立証 10時 803号法廷
  27日 大谷・旭光事件 弁護側立証 13時半 803号法廷
11月 1日 保釈請求、両件とも全員却下される
10日 大谷・旭光事件 弁護側立証 13時半 803号法廷
  24日 大谷・旭光事件 弁護側立証 13時半 803号法廷
12月 8日 戸田久和近畿地方本部執行委員長(現職門真市議)、政治資金規正法違反容疑で逮捕
  12日 大谷・旭光事件 弁護側立証 13時半 803号法廷
  13日

武執行委員長、政治資金規正法違反容疑で再逮捕。

  15日 長期勾留6名のうち、委員長を除く5名保釈
  20日 勾留理由開示公判 11時 801号法廷
  28日

武関西地区生コン支部執行委員長および戸田久和近畿地方本部執行委員長(現職門真市議)起訴勾留。

2006年    
1月 16日 大谷・旭光事件公判 10時 803号法廷
  30日 大谷・旭光事件公判 13時半 803号法廷
2月 16日 大谷・旭光事件公判 13時半 803号法廷
3月 2日 大谷・旭光事件公判 13時半 803号法廷
  7日 政治資金規正法第1回公判 13時半 201号法廷
  16日 大谷・旭光事件公判 13時半 803号法廷
4月 13日 政治資金規正法第2回公判 1004号法廷
  17日 大谷・旭光事件公判 14時半 803号法廷
  25日 政治資金規正法第3回公判 1004号法廷
5月 8日 大谷・旭光事件公判 14時  803号法廷
  25日 政治資金規正法第4回公判 10時 1004号法廷 
6月 22日 大谷・旭光事件公判 10時 803号法廷
  27日 政治資金規正法第5回公判 13時半 1004号法廷 
8月 24日 政治資金規正法 判決 201号大法廷
9月 22日 武委員長、贈賄容疑で逮捕 【声明発表】
  25日 大谷・旭光事件公判(弁論・最終陳述) 14時 803号法廷
11月 15日 贈賄事件第1回公判 15時 地裁1005号法廷
12月 12日 贈賄事件第2回公判 13時 地裁805号法廷
  15日 贈賄事件第3回公判 13時 地裁805号法廷 
2007年    
1月 15日 贈賄事件第4回公判 13時半 地裁1005号法廷
  22日 大谷・旭光事件判決  >>抗議声明  >>弁護団のコメント
2月 19日 贈賄事件判決 13時半 地裁1005号法廷
  28日 政治資金規正法 高裁第1回公判 14時 高裁1002法廷
4月 25日 政治資金規正法 高裁判決公判 13時半 高裁1002法廷
5月 8日 執行委員と組合員、合計4名が傷害及び窃盗の容疑で逮捕【斉藤建材事件】
  15日 斉藤建材事件 開示公判 10時 201号大法廷
8月 6日 斉藤建材事件 第1回公判 13時半 1005号法廷
  8日 斉藤建材事件 第2回公判 10時40分 1005号法廷
9月 5日 斉藤建材事件 第3回公判 13時半 1005号法廷
  12日 斉藤建材事件 第4回公判 10時半 1005号法廷
    大谷・旭光事件 高裁第1回公判 13時半 1002法廷
  19日 斉藤建材事件 第5回公判 13時半 1005号法廷
  21日 贈賄事件 高裁第1回公判 13時半 1005号法廷
10月 29日 斉藤建材事件 第6回公判 13時半 1005号法廷
  31日 大谷・旭光事件および贈賄事件  高裁判決
>>声明  >>弁護人のコメント
11月 26日 斉藤建材事件 第7回公判 10時 1005法廷
2009年    
7月   >>斉藤建材事件判決 弁護団声明文
  14日 関西宇部事件 第2回公判 13時20分 802号法廷
  15日 関西宇部事件 第3回公判 10時 802号法廷
  17日 関西宇部事件 第4回公判 13時20分 802号法廷

 

二つの大阪高裁判決に対する弁護人のコメント
2007年11月  弁護人  里見 和夫

まず有罪の結論ありき

 大阪高裁は、2007年10月31日、大谷・旭光事件につき、関生支部武建一委員長および4名の執行委員に対し、再び有罪の判決を言渡し、同日、贈賄事件について、武委員長に対し、再び有罪の判決を言渡した。
 いずれも、最初から有罪の結論ありきで、弁護側の主張に一切耳を傾けない極めて不当なものである。

産別型労働運動に対する無知・無理解を露呈した大阪高裁(大谷・旭光事件)
 弁護人は、控訴趣意書において、一審判決の事実認定の誤りを次の4点、
即ち、
 (1)大谷・旭光両社の広域協組への加入手続義務を否定して、強要未遂罪の成立を認めた誤り
 (2)大谷や旭光に対する組合の要請行動は通常の説得の範囲にとどまって いるのに、威力業務妨害罪に該当すると認定した誤り
 (3)武委員長の共謀を認定した誤り
 (4)産別型労働運動の特質を全く理解せず、組合の要請行動が憲法28条が保障する労働組合としての正当な活動であることを否定した誤り
に分けて詳細に主張し、追加の証人尋問および武委員長の被告人質問を請求 した。
 ところが、大阪高裁は、証人尋問・被告人質問の請求を全く採用せず、(1)〜(4)の弁護人の主張を全て排斥した。
 特に、関生支部がアウト業者に対して広域協組への加入を強力に働きかけたことは産業政策闘争として産別型労働運動の重要な柱であるという主張について、大阪高裁は、全く理解しようとせず、「アウト業者が広域協組に加入するかどうかは経営者である事業者間の問題(つまり、経営者であるアウト業者と経営者であるイン業者間の問題)であり、広域協組への加入業者が増えることにより生コンの品質向上や過当競争の防止などの効果が現れ、ひいては労働者側の利益にもつながってくる可能性があるとしても、それはあくまで間接的、反射的な利益にすぎず、アウト業者に対し広域協組への加入を要請する行為は労働組合の団体行動権の行使とはいえないから、違法性は阻却されない」と判示したが、余りの無知・無理解ぶりは驚くばかりである。全ての生コン業者が広域協組に加入してそれを強化する以外に経営側(生コン業者)と労働側(生コン労働者)の双方が生き残る途はないという厳然たる事実が存在している以上、生コン労働者を企業横断的に組織している関生支部が生コン業界の経営側全体に対し、広域協組の強化を通じて生コン業界の安定と発展をはかるよう要請し、これに応えないアウト業者に対し、関生支部が広域協組への加入を要請することは、産別型労働運動における労働側の団体行動権の行使そのものであることが明らかであるのに、これを否定した大阪高裁判決は、生コン産業における労働者の生きる権利を全く顧みないものとして厳しく批判されなければならない。
 
困っている人を助けたいという武委員長の善意を無視した大阪高裁(贈賄事件)
 武委員長は、大谷・旭光事件等で2005年1月13日から420日間という長期間大阪拘置所に勾留されていた。その最初の頃、大阪拘置所の刑務官は、武委員長が頼みもしないのに一方的に物品や本を差し入れるなどするとともに、武委員長に対し、自分の職場や待遇などについてグチをこぼし、あるいは、自分の高齢の母が父の残した借金で苦しんでおり、心安まる日がない、300万円あれば何とかなる、貸して欲しい、と頼んできた。武委員長は、刑務官の母が借金で困っているという話しに強く同情したが、当時勾留中であったため、委員長が外に出られたときに考えさせてもらうという返答をした。
 それから9ヶ月以上経過した2006年3月8日、武委員長は、ようやく保釈で外へ出たが、そのとき刑務官の母を少しでも助けられればと思い、刑務官に対し、100万円を貸付けた。
 一審判決は、この100万円が、刑務官が一方的に物品や本を武委員長に差し入れただけであるにもかかわらず、それに対する謝礼(賄賂)であると認定して、武委員長を有罪とし、しかも、実刑判決を言渡した。 
 武委員長から頼んだわけではなく、刑務官が一方的に押し付けたにすぎない物品や本の差し入れなどに対し、それから9ヶ月以上も経過して武委員長が釈放された段階で、刑務官から要求されたわけでもないのに武委員長の方から刑務官に謝礼として100万円もの金額を渡すはずがないことは、常識的に考えれば明らかである。
 ところが大阪高裁は、常識からはずれて、およそ不自然・不合理な理屈を並べ、あるいは弁護側の指摘を意図的に無視して、再び有罪を言渡した。
 人の善意を悪意をもって解釈した許し難い判決であり、厳しく批判されるべきである。

実刑を取消し執行猶予付判決に変更
 一方、大阪高裁は、弁護側が武委員長に対する各実刑判決は、大谷・旭光事件については、労働組合としての活動の関係では過去に例を見ない不当なものであり、贈賄事件については、押し付け差し入れ等をした刑務官が執行猶予付判決であることに照らすと著しく片寄った不当なものであると強く非難したことを受けて、いずれも一審の実刑判決を取り消し、執行猶予付判決に変更した。

以  上

 

政治資金規正法 高裁判決(07/4/25)

 政治資金規正法の控訴審判決公判が大阪高裁1002号法廷で4月25日に開かれた。仲宗根一郎裁判長は、戸田ひさよし近畿地方本部執行委員長(現職門真市議)に罰金80万円、追徴金360万円、同人の政治団体に同30万円、同90万円、武建一関西地区生コン支部執行委員長に罰金50万円、同支部に同50万円をそれぞれ言い渡した一審・大阪地裁判決を支持し、各控訴を棄却した。
 ※詳細は追って掲載します。

 

贈賄事件判決に対する弁護人のコメント
2007年3月2日

極めて政治的な実刑判決を弾劾する

弁護人  里見 和夫

 大阪地方裁判所第9刑事部は、2007年2月19日、武建一被告人に対する贈賄被告事件の判決において、懲役10ヶ月の実刑を言渡した。極めて政治的で違法・不当な判決であると言わねばならない。
 本件は、2005年1月13日、武被告人が委員長を務める全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の運動に打撃を与え、衰退させる目的で、武委員長ら組合役員を逮捕したことに始まる一連の関生支部弾圧の中で、同委員長が大阪拘置所に勾留されていた際、同委員長が収容されている5舎4階の担当であった桑野刑務官(当時)が、同委員長の房に来て、同委員長に対し、桑野の父が残した借金のため高齢の母が苦しめられており、心休まる日がなく、非常に困っているなどと話しをし、「300万円あったら何とかなる。貸してくれんかな。」などと言って頼んできたのに対し、同委員長は、強い同情の念を抱き、何とか手助けしてやりたいと考え、保釈で外に出ることができれば、何とかしようと答え、2006年3月8日、保釈により釈放された後、桑野に対し、100万円を貸し付けたことを捉えて、それが賄賂を供与したことになるとして起訴されたものであるが、事実関係は以上のとおりであるから、100万円が賄賂でないことは明らかである。
 無論、武委員長が桑野から特別な便宜の供与を受けた事実は全くない。
 検察官は、使い捨てカイロの提供、飲食物・本の差し入れ、メモの交付等が特別な便宜の供与に当たると主張しているが、それらはいずれも武委員長が頼みもしないのに、桑野が一方的に行ったものであり、これらの点は、桑野自身も検察官も判決も、武委員長・弁護人の主張とおりであることを認めざるを得なかったのである。
 武委員長から唯一桑野に頼んだのは、公判出廷前に身出しなみを整えるため鼻毛切り用のハサミを借りることだけであるが、これについては、桑野の後任の刑務官も引き続き貸してくれていたから、何ら特別なものではない。
 判決は、桑野が供述調書や公判廷証言の中で、父の残した借金で同人の母が苦しんでいるので金を貸して欲しいと武委員長に本気で頼んだことはない(冗談で、「金貸してくれんかな」と言った)、武委員長も桑野が同委員長に金貸してくれと頼んではいないと認めたなどと弁解していることについて、弁護人の指摘を認め、それらの点に関する桑野の供述や証言は信用できないと認定している。
 以上の事実関係が公判で明らかになったのであるから、本件は、当然無罪を言渡すべきであったにもかかわらず、裁判所は不当にも実刑を言渡した。
 武委員長とは別に、桑野に対する贈賄で起訴されていたA氏外1名は、いずれも執行猶予付きの有罪判決であり、また、当の張本人である桑野に対しても、2月20日執行猶予付きの有罪判決が言渡されていることに照らすと、武委員長に対する実刑判決がいかに政治的なものであるかが明らかである。
 このような政治的、かつ、違法・不当な判決を徹底的に弾劾し、控訴審において無罪判決を出させるため、全力を尽くしたい。

以  上

 

連帯労組の抗議声明は >>こちら

大谷・旭光事件判決に対する弁護団のコメント
2007年1月22日

 大阪地方裁判所第12刑事部(川合昌幸裁判長)は、本日、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部武建一執行委員長外5名に対する2件の強要未遂・威力業務妨害被告事件(大谷・旭光事件)について、有罪の判決を言渡した。
 本判決は、本件における被告・弁護側の最も本質的な主張に正面から向き合うことを避け、検察官の主張を追認した極めて不当な政治的判決であると言わざるを得ない。
 被告・弁護側らの主張の要点は、次の二つであった。
 まず、第1点は、本件各行為は、大谷・旭光が関生支部を連帯保証人として誓約した内容を履行しないので、誓約を履行するよう要請した当然の行為であり、「義務なきことを行わせようとした」ものではないという点である。
 生コン業界は、中小零細企業が80%を超えており、個々バラバラでは、大手ゼネコン等と対等な交渉はできず、過当な値下げ強要を受け、あるいは業者同士のダンピング競争の中で、崩壊が避けられない状況に常に置かれている。
 ダンピングされた生コン価格で生コンの品質を維持することは不可能であり、シャブコンなどの粗悪生コンが出廻ることになる。12年前の阪神大震災における阪神高速道路や多数のビルの倒壊は粗悪生コンの恐ろしさをまざまざと示した。ヒューザー社や姉歯元建築士らの耐震偽装問題も、ゼネコンによる過当な値下げ要求が原因であることは周知の事実である。
 最大の被害者は消費者である。
 また、ダンピングにより生コン業者が共倒れし、業界が崩壊することは、そこで働く労働者が職場を失うことを意味する。
 中小生コン業者間の過当競争は、消費者に対し、品質の保証された安心できる生コンを適正価格で安定供給するという生コン業界の本来の目的とはあいいれない。 
 品質保証、安定供給体制の確立、適正価格の維持こそが生コン業界の目ざすべき方向であり、それは、そこで働く生コン労働者にとっても、雇用の安定、働く者としての誇りの確保という点で関生支部の考え方とも一致しているし、関生支部は、それ以外に生コン業界の生き残る途はないと確信して、広域協組の強化・透明化・公正化に全面的に協力してきた。
 関生支部は、生コン業界の安定と発展をめざして労使協調を基礎とする産業政策闘争を長年にわたって展開してきた。特に血の滲むような努力によって1995(平成7)年4月ようやく再建された大阪広域生コンクリート協同組合がここ数年再び大谷・旭光をはじめとするアウトサイダー生コン業者のダンピングによって崩壊させられる危機に直面していたため、このような事態に危機感を抱いた生コン業者が関西生コン関連中小企業懇話会を結成し、アウト社の広域協組への加入を促進するとともに同協組の運営の透明化・公正化をはかることを呼びかけたが、関生支部は、この呼びかけを全面的に支援し、関生支部としても大谷・旭光をはじめとするアウト社に広域協組への加入を説得することに協力した。
 その結果、大谷・旭光を含む17社・18工場のアウト社は、懇話会に対し、2004(平成16)年1月頃、同年9月末までに広域協組に加入手続を行うことを懇話会に誓約し、その旨の誓約書を提出した。関生支部はその誓約書において連帯保証人となった。
 それから約9ヶ月間にわたって、大谷・旭光両社も参加して何回もの説明会、意見聴取、調整等が行われ、同年9月末には、広域協組加入の基本的条件が全て整った。
 その段階で、大谷・旭光両社は、突然広域協組への加入手続を取ろうとしなくなった。
 このような大谷・旭光両社の誓約書に反する背信的対応に対して、連帯保証人となっている関生支部が両社に対して誓約書の履行を要請するのは当然である。
 第2点は、本件各行為は、上記のとおり関生支部が労働組合として長年にわたって展開してきた産業政策闘争の中で形成された労使間の合意の履行を求めるため労働組合の団体行動権の行使として平和的な説得行動を行ったにすぎないから、正当業務行為として違法性が阻却されるという点である。
 以上のとおり、本件は、無罪の判決が言渡されるべきであることが明らかなのに、上記各論点を歪曲して有罪の判決を言渡したものであり、強い非難を免れない。

以  上

 

武委員長の最終意見陳述
贈賄事件第四回公判(07/1/15)

 私は、当初から一貫して主張しておりますとおり、大阪拘置所在監中、桑野勝彦元刑務官より、何か特別な便宜を受けた事実はなく、むろん同人に賄賂を渡した事実もありません。
 この点については、既に弁護人が証拠に基づいて詳細に弁論したとおりです。
 私は、桑野氏が私に説明した借金の話し、即ち、同人の亡くなった父親が 多額の借金を残し、60歳を越えた母親がその借金をかかえ心休まる日がなく、非常に困っているという話しに強い同情の念を抱きました。そして、桑野氏が「300万円あったら何とかなる。貸してくれんかな。」などと言って私に頼んできたため、当時、勾留中であった私は、「外に出られて、何とかできたら、何とかしよう」と期待を持たせる言い方をしましたので、2006年3月8日に保釈で外に出た後、困っている桑野氏の母親の助けになればという気持で100万円を貸してあげたのです。
 しかし、桑野氏は、私への借金申し入れを否定し、「便宜供与の謝礼」と 主張しています。同氏がこのような恩を仇で返すような嘘をつく目的は何で しょうか。それは、私を罪におとしいれるのに協力することによって、同氏のより大きな罪(問題)を見逃してもらうためであると思います。
 私は、国家権力側の人間の話しに同情して金を貸してやったことが、今回のように権力弾圧の口実にされたという点で、非常に軽率な行為であったと反省していますが、だからといって、同情心に基づく私の行為を巧みに利用し、 私を罠にかけて罪におとしいれようとすることは絶対に許されません。
  私は無罪です。裁判所の公正・公平な判断を求めます。

以  上

 

武委員長の意見陳述
贈賄事件第一回公判(06/11/15)

1.私は、桑野勝彦元刑務官より便宜を受けた事実もなく、また同人に賄賂を与えた事実もありません。
  にもかかわらず、今日まで私を長期間にわたって勾留し、接見禁止にしていることに対し、検察・裁判所に強く抗議します。
2.桑野元刑務官に金100万円を交付した事実は認めますが、それはあくまでも貸したものです。
  桑野は、同人の亡くなった父親が多額の借金を残し、60歳を越えた母親がその借金をかかえ心安まる日がない、母親は住み込みで働いているが、 給料は低く借金を返せる状態ではない、自己破産も考えたが自分(桑野本人)が公務員なのでそれもできない、オジが広島(あるいは岡山と言ったかもしれない)にいるので相談したが冷たいもんですわ、弟にも言ったがそれは兄の責任であると言われた、自分の給料もあまり高くなく、残業しても一定時間以上はカットされる、困ったことだ、300万円あれば何とかなる、300万円貸してくれないか、と言って私に頼んできたため貸したのです。
3.何故100万円を貸すようになったか、それは桑野の年老いた母親の話しに強い同情の念を持ったからです。何故同人より借用書をとらなかったのか、同人が信頼に値する人と信じたのと、私の能力の許す範囲内であれば、同人が返済できる時まで待って良いとの考え方からです。
4.私は、桑野から何か特別な便宜を受けたことはありませんし、私の方からそれを頼んだこともありません。
 桑野は、私に、使い捨てカイロや食べ物、飲み物、本などを差し入れてくれ、K氏からの伝言メモを手渡してくれたりしたことは認めますが、いずれも私の方から頼んだものではなく、桑野が一方的に行ったものであり、私は、桑野が刑務官の職務上の裁量で行ってくれたものと思っていました。
 唯一私の方から桑野に頼んだのは、公判に出廷する際に見苦しくないようにするため鼻毛を切るのに使うハサミを借りることでしたが、桑野と交代した他の刑務官からも鼻毛切りのハサミを借りていますので、何も特別なことではなく、刑務官の職務上の裁量でできることと思っていました。
5.私は、本件について、まるで「詐欺にあった被害者である私が突然加害者にされた」という思いです。
 桑野は、頼みもしないのに一方的に不必要な飲食物や本などを私に差し入れし、それをもって私に有利便宜な取りはからいをしてやったと主張し、これと私が桑野の母の話しを信じ、同情して金を貸してやったこととを結びつけ、この金は有利便宜な取りはからいの見返り、つまり賄賂として受け 取ったと主張しているわけです。
 善良なる市民、人の信頼を逆手にとり刑事事件としてデッチアゲた、これが本件の本質ではないのですか。私はそう思います。
 もっとも、権力側の人間を信頼した私の軽率な行為は、厳しく自己批判し反省しています。
6.それにしましても、「罪証隠滅のおそれあり」と称してこれほど長期に勾留する必要があるのでしょうか。そして、その間ずっと接見禁止にする 必要があるのでしょうか。戦前のことを反省してできあがった日本国憲法、そこで保障されている国民の基本的権利の否定ではないのですか。
 公務員である検察官・裁判官が、法の支配の原点に立ちかえり、憲法を尊重することを求めます。私を直ちに保釈することを求めます。
7.本件については、事実を検証され、公平・公正なる判断をされることを 強く求めます。
8.私は無罪です。

以  上

 

武委員長からのメッセージ
都島拘置所から、関生支部第42回定期大会によせて(06/10/22)

 定期大会参加の代議員・組合員・ご来賓の皆さまに獄中よりご挨拶を送ります。
 ご来賓の皆様には、常日頃の多大なるご支援・ご協力に心より感謝を申し上げます。
また、本日ご多忙にもかかわらずわざわざ足をお運び頂きありがとうございます。
 まず、私が今何故獄中にいるのか、詳しくは出所後明らかにしますが、権力が発表している「桑野刑務官より便宜供与を受け、その見返りに金を渡した」というのはまったくのデッチあげです。桑野刑務官より便宜をはかってもらった事実も、賄賂を渡した事実もありません。しかし、うかつにも同情心から同人に金を貸した事実があり、このことが歪曲され事件にされているのです。本件は「権力の罠にかかった」私の思想上の弱点から生まれたものであり、自己批判し深く反省しているところです。関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけしましたことに対し、心より反省とお詫びを申し上げます。
 昨年は「権力弾圧に明け、権力弾圧に暮れた」一年でした。一連の動向は、「戦争できない国から戦争できる国」に大きく舵を切った小泉前総理の反国民的政策のもとで発生しています。ビラ貼り等に対する言論弾圧や、労働運動家の長期勾留は、民主主義そのものへの攻撃であると同時に、国家的不当労働行為の性格をもっているのです。我が支部は、これらの攻撃に対し組織をあげて闘い、反弾圧運動の全国化、ILOへの提訴等一定の成果をもって本日の定期大会を迎えています。
 この権力弾圧は、一方で我々の存在感をより鮮明に際立たせることになりました。05年1月13日から三波にわたる権力弾圧の期間と、06年3月8日全員の保釈以降の経過について、業界の動向を見比べてみるとよく分かります。
 我々が逮捕・勾留されていた05年1月13日から翌年3月8日までの間、生コン業界では@アウト、インとの大同団結が進まなくなり、協同組合加入の意思表示をしていた会社の加入もストップしたこと、A無秩序な工場新設が大阪地区だけでも6工場について強行されたこと、B労働組合と業者との約束事(土・日・休日休業、共同試験場、新技術開発、広報活動)がことごとく踏みにじられたこと、C生コンクリートの販売価格がリューベ当たり2500円から4300円下落して原価割れをおこし、多くの生コン会社が倒産の危機に直面したこと、などの深刻な事態が生じました。これらの事実は、誰が被害をこうむり、誰が利益を得ているのかを明白に示しています。
 さて、本年3月8日我々の保釈により、何が変化したのか。@アウト、インとの大同団結に向け8社のアウト企業が協同組合に加入、更に残ったアウト企業のインへの加入促進活動が活発に展開されていること、A工場新設については過去10年間で33工場を集約し、150億円もの膨大なお金をつぎ込んで現在の秩序がつくられたことに対して理解を深める運動が強化されていること、B関連5労働組合と関連業者団体との協力、協調の取り組みの中で本年5月1日より生コンクリート瑕疵担保保証システムがスタートしたこと、C業界団体と労働組合との約束事の履行、基盤整備事業強化が徐々に行われていること、D生コンクリートの販売価格の下落に歯止めが掛かっていること、E原価割れの生コンクリートを販売する受注会社と販売会社を不当廉売で告発し、過積みを拒否し、道路交通法や各種法令の遵守を求めること、などの社会的運動が広まっています。
 我々は経済と産業民主化闘争を推進しています。権力は「日本的労使関係は、企業内活動以外には認めない」立場をとっており、ヨーロッパなどのように産業別組織形態、運動形態、理論思想形態をとっている我々の組織を「資本主義の根幹に触れる運動だ」と称して1980年代、大阪府警察本部の中に「関生対策班」なるものをつくり、大弾圧をかけてきましたが、その攻撃で打撃を余儀なくされた我々は、体制を立て直し、新たなる前進の基盤・方針を確立しつつありました。そのときに行われたのが本件の弾圧です。
 このように誰が見ても我々の存在感は明白です。この勢いのもと06春闘が闘われました。5労組は「過去4年間ゼロ回答が続くなか、今年ゼロ回答を認めると労働組合の意存在感が問われる」として5ケタ回答(1万円以上)を求めることで一致。経営者に誠意ある回答を鋭く求めた結果、「労働組合の要求を尊重して9月26日解決に向け回答する」との約束を交わしたのです。
 ところが、私が「9月22日逮捕されたことの影響を受けた」としかいいようのない事態が起きています。経営者がそれまでに労働組合と交わした約束を反故にしているのです。このような事態を喜ぶのはセメントメーカーやゼネコンであり、犠牲を強いられるのは労働者と中小企業です。すなわち、これによりセメントメーカーの一方的値上げとゼネコンの買い叩きがもくろまれているのです。
 しかし、我が支部は、このような資本と権力による攻撃と断固闘い、自らの力と多くの仲間のご支援・ご協力によって事態を打開することができます。それは、あらゆる困難と闘い、輝かしい成果をあげてきた今日までの我々の歴史と伝統が証明しています。全組合員がこの歴史と伝統に誇りを持ち、自信と確信に満ちた闘いを力強く展開することは明らかであります。
 次に支部を強く大きくする運動についてです。従来から取り組んでいる幹部のレベルアップに加え、「組織運営の抜本的改革」に取り組み、組合員の「声なき声を機関に反映すること」「幹部は、口は小さく耳を大きく、組合員との血の通った関係を確立すること」に努め、「方針の垂れ流しではなく、実践・総括・再実践・再理論」をくり返す運動スタイルを確立しました。このように一定の成果をあげていますが、まだまだ不十分です。特に、組織拡大が諸成果の割に目標どおり達成できなかったことを深く反省し、今後の活動に生かさなければなりません。
  向こう一年間の重点的な実践課題については運動方針に述べられているとおりですが、この機会に若干の所見を要約して申し述べます。
 第一に、安倍新内閣の政治反動路線と全面的に対決して闘うことです。A級戦犯岸信介元総理を祖父にもつ安倍氏は、祖父の果たせなかったことを実行しようとしています。すなわち、対米従属下での憲法改悪、アジアにおける支配者的地位の確立、日米核同盟、共和国を利用した軍備強化、防衛庁の省への昇格、軍事大国化、国に都合の良い教育のための教育基本法の改悪、国民運動弾圧、国民スパイ化をめざす共謀罪の成立、そして小泉前総理の路線を引き継ぐ格差の拡大と固定化、年金破壊、07年以降の大増税、これらを実行しようとしているのです。この反動路線に対して我々は、@日米安保破棄、A憲法改悪等反動諸法案粉砕、B増税に反対し年金の充実、格差是正、最低賃金制度確立、雇用確保、非正規労働者の本採用化を求めます。C政治の流れを変えること、自・公連立政権はアメリカベッタリ、平和破壊、福祉破壊、雇用・賃金破壊、格差拡大、大増税路線です。この自・公連立政権を打ち倒すため07年一斉地方選挙・参議員選挙について全力をあげ勝利することです。
 第二に、産業政策闘争については、今日までの到達点を更に発展させることはもちろん、「政策闘争を最も恐れているのは権力と大企業であること」を具体的事実に基づいて徹底的に暴露し、敵を孤立させる運動を強化すること、「政策闘争なくして中小企業の生きる道なし」として中小企業の大同団結を更に強化すること、関西の中小企業運動を全国化することが求められています。
 第三に、産業別組織による統一要求、統一交渉、統一行動、統一妥結方式こそ今日の時代状況にふさわしい労働運動スタイルです(木下武男氏は、これを「ヨーロピアンスタイル」と評価)。このことに確信をもって一層の発展を図ると共に、日本労働運動の再生に役立つよう全国化することです。
 第四に、組織を強く大きくするために、今日までの取り組みを更に充実させ、「地道な活動、大胆な発想と志」「全ては実践から生まれる」観点に立った運動を追求し、方針については「全体責任と個別責任」を明確にして取り組み、何よりも生コン支部の一員としての自信と誇りを胸に、社会的使命感をもって取り組むこと。このことが後の成果につながるのです。
 第五に、日韓労働者連帯を更に発展させることです。資本・技術・情報・人・全ての分野でグローバル化が進む時代状況において、特に今後アジアの支配者として君臨しようとしている我が国の支配層と闘うためには、韓国・中国等アジア諸国の人民との連帯・交流が必要です。

 最後に、大いなる志のもと栄えある我が生コン支部は、その歴史と伝統から「敵の攻撃を反面教師として闘い成長する」ことを確信しています。今まさに敵の攻撃により最大のチャンスが与えられているのです。時代が我々を求め、組合員・家族・多くの労働者が我が組合を求めています。時代状況と仲間の期待を一身に受けた我々は、その期待に応えるべく、志高く運動を推進することを誓います。
 本定期大会に出席できないことを残念に思いつつ。

06.10.19. 大阪都島拘置所にて
武 建一

 

大谷・旭光事件 武委員長の最終意見陳述
2006年9月25日

 本件に関する最終意見を陳述する前に、何故本日私が手錠をかけられた状態で出頭することになったのかについて、一言述べておきます。
 私は、9月22日別件の贈賄容疑で逮捕され、勾留されています。
 しかし、私は、贈賄罪に問われるような行為は一切していません。
 ただ、私は、権力が折りあらばと狙っている中で、権力弾圧に口実を与える軽率な点が私にあったことを反省し、組合員・支援者・関係者の皆様にお詫びしたいと思います。
 事実関係については、皆様に責任をもって速やかに明らかにすることをお約束します。
 我々が昨年(2005年)12月ないし本年3月に保釈で釈放された後、勾留中の1年以上のブランクを取り戻すべく運動面で全面的な巻き返しをはかり、ようやく押し戻し、更に前進しようとしていた現段階で、私に対して4度目の逮捕攻撃をかけてきた今回の権力弾圧は、昨年末の弾圧にもかかわらず運動を立て直し、更に前進しようとする当方労働組合の産業政策運動を恐れた権力側が、私に「贈賄罪」なる容疑をかけて、当方労働組合を社会的・政治的に抹殺しようとしたものに外ならず、まさに昨年来の権力弾圧の延長線上に位置づけられるものです。
 さて、本件大谷・旭光両事件について、我々全員が無罪であることは、既に弁護人が最終弁論において述べたとおりです。
 私は、今日まで、両事件について、これは「正当な労働運動に対する権力側による政治的弾圧である」と述べてきました。今回は最終意見陳述としまして次のことを強調しておきます。
 まず、我々に対して、「罪証隠滅のおそれあり」と称して、長期勾留し、かつ、長期間にわたる接見禁止処分を続けたことは、当方労働組合の社会的活動に大打撃を与えることを狙ったものであることは明白です。
 そもそも本件は、生コンクリート業界全体の秩序安定に向けた運動の中で発生した事案であります。生コンクリート業界の秩序安定にとっては、いわゆるアウト社、イン社との大同団結が絶対的条件であります。そのアウト社、イン社との大同団結の目的は何か、果たして当方労働組合だけがアウト社、イン社との大同団結を求めていたのか、また、アウト社、イン社との大同団結の目的達成により誰が利益を得て、誰が不利益になるのか、何故当方労働組合だけがやり玉に挙げられたのか明らかにします。
 生コン業界が関西で設立され今年で53年の歴史を刻んでいます。
1960年代の高度経済成長に支えられ新規参入が相次ぎ雨後の竹の子のように誕生した生コン業界は、その構成の80%が中小企業であり、大企業との取引関係は極めて弱い立場にあります。特に関西においては1970年の 大阪万博以降供給過多産業となり、過当競争に明け暮れ、業界全体の倒産の危機に直面するようになりました。そのような状況下で当時の通産省等の指導のもと構造改善事業を推進し、かつゼネコン、セメントメーカー等大手企業との対等取引を図るために事業協同組合法に基づく経済活動を行う生コンクリート協同組合が全国各地に組織されたのであります。大阪地区においても幾多の困難を乗り越え、1994年より大阪広域生コンクリート協同組合が設立され、共同受注、共同販売、統一シェア、共同集金、現金収受と生コン業界の秩序 安定が軌道に乗りつつあったのです。
 業界が軌道に乗り安定すると新規参入企業が生まれ、低価格競争が行われる歴史でもありますが、そのような悲惨な歴史を繰り返させることは、業界に とって百害あって一利なしと言わねばなりません。
 特に大阪広域生コンクリート協同組合設立以降10年間需要供給のアンバランスを調整するために33工場を集約し、そこに働いていた約1,000人以上の労働者が失業を余儀なくされました。この集約に使われた事業費は実に150億円にのぼり、本件が発生した2004年10月当時も今日も生コン販売数量?当たり300円を事業費として負担している状況下にありました。従って、多大な犠牲のもとで行った集約事業が無駄にならない努力としてアウト社、イン社との大同団結は生コン業界関係者の一致した重要課題であります。
 その目的は、ゼネコン、セメントメーカーなど大企業と中小企業の結集体である生コンクリート協同組合との対等取引関係の確立にあり、そのことにより、生コンクリートの販売価格の適正化、働く労働者の労働条件の維持向上、品質管理監査システムの確立、安定供給による消費者の利益の増進、株主への適正利益を確保するところにあります。
 この目的達成に向け、本件で「被害会社」と称している大谷生コンクリート株式会社及び旭光生コンクリート株式会社も自らの意思のもと協同組合への加入手続きを行ったのであります。このアウト社、イン社との大同団結を目指す取り組みは、関西生コン関連中小企業懇話会約100社、大阪広域生コンクリート協同組合約115社、神戸生コンクリート協同組合約17社、大阪兵庫生コンクリート工業組合約180社、大阪兵庫経営者会約70数社、当方労働組合、生コン産業労働組合、全港湾大阪支部、UIゼンセン同盟、建交労関西支部の5労働組合などが一致して進めたものであり、今日もその取り組みは継続しています。
 このような運動が前進することは、中小企業と労働者、消費者の利益には貢献しますが、大手資本にとっては不利益が発生します。では何故当方労働 組合を権力はやり玉に挙げたのか。それは当方労働組合がこの中小企業政策運動の中心的役割を果たしていたこと、生コン支部設立40年の歴史の中で一貫してこの政策闘争を追求してきたこと、大企業からの幾多の不当労働行為とも一貫して闘い成果を得ていたこと、企業主義的運動を克服し、背景資本への責任追及、産業別賃金、雇用、福祉政策のもと集団交渉権の確立、中小企業との統一戦線の発展、産業別運動の全国的典型を作っていること、そして、当方のこの運動が大阪、神戸地区から和歌山地区、舞鶴地区など全国に拡大しつつあったこと、更には、圧送業界、バラセメント業界に拡がりつつあったこと、すなわち経済産業の民主化を目指す運動が全国的に大きく高まれば、大企業本位の政策の一大転機になりかねないこと、これを恐れたのが今回の権力弾圧です。
 ところで、我々が逮捕・勾留されていた2005年1月13日から2006年3月8日までの生コン業界の動向を見れば、その狙い、本質が一層鮮明に なります。すなわち(1)アウト、インとの大同団結が進まず協同組合加入の意思表示をしていた会社も協同組合加入がストップしたこと、(2)そして無秩序な工場新設が大阪地区だけでも6工場について強行されたこと、(3)労働組合と業者との約束事(土・日・休日休業、共同試験場、新技術開発、広報活動)がことごとく踏みにじられたこと、(4)生コンクリートの販売価格が?当たり2,500円から4,300円下落して原価割れをおこし、多くの生コン会社が倒産の危機に直面したこと、などの深刻な事態が生じました。
 このような事実は、誰に被害が発生し、誰に利益となっているかを明白に示しています。
 さて、本年3月8日長期勾留されていた我々の保釈により現在何が変化したか。それは第一に、アウト、インとの大同団結に向け8社のアウト企業が協同組合に加入、更に残っているアウト企業のインへの加入促進活動が活発に展開されています。第二に、工場新設については過去10年間で33工場の集約、150億円もの膨大なお金をつぎ込んだことによる現在の秩序であることについて理解を深める運動が強化されています。第三に、関係5労働組合と関係業者団体との協力、協調の取り組みの中で本年5月1日より生コンクリート瑕疵担保保証システムがスタートしました。第四に、業界団体と労働組合との約束事の履行、基盤整備事業強化が徐々に行われています。第五に、生コンクリートの販売価格の下落に歯止めが掛かっています。原価割れによる受注会社と販売会社を相手に不当廉売による告発を行い、過積みを拒否し、道路交通法や各種法令の遵守を求めるなどの社会的運動が広まっています。
 我々は経済と産業民主化闘争を推進しています。権力は「日本的労使関係は、企業内活動以外には認めない」立場をとっており、ヨーロッパなどのように産業別組織形態、運動形態、理論思想形態をとっている我々の組織を「資本主義の根幹に触れる運動だ」と称して1980年代、大阪府警察本部の中に「関生対策班」なるものをつくり、大弾圧をかけてきましたが、その攻撃で打撃を余儀なくされた我々は、体制を立て直し、新たなる前進の基盤・方針を確立しつつありました。そのときに行われたのが本件の弾圧です。
 本件の権力弾圧に対し、全国の労働運動家、学者、弁護士などから「関生型運動こそ衰退している日本の労働運動の再生のカギである」として支援・協力の声が拡がっています。更にこの弾圧は国家的不当労働行為であるとして、既にILOへの申立を行なっております。今や国内外に大きな反響を生み支援の輪は大きく拡大しています。
 このような事実は、権力弾圧の狙いが当方への大打撃を与えることにあったとしても、労働組合の運動を押しとどめることはできず、むしろ「藪を突ついてヘビが出た」結果をもたらしていることを示しているのです。
私は、歴史の発展法則からしても今日の時代状況からしても、我々の運動が社会的に拡大し、発展を続けることに一段と確信を深めており、更に運動を前進させる決意です。
 裁判所が法に忠実であり、正義に背を向けなければ、被告人とされている我々全員は無罪です。

以  上

 

弁護士のコメント
政治資金規正法違反事件・不当判決を受けて(06/8/24)

里見和夫(武建一関西地区生コン支部執行委員長・弁護人)
 残念ながら極めて不当な、政治的判決が出されたと言わざるを得ない。最初に有罪ありきという裁判所の判断。ただ、裁判所の方もそのことが非常に後ろめたいのか、刑については、検察官が武委員長に対し禁錮10月、戸田議員に対し禁錮2年などという異常に重い求刑をしていたのに、全て罰金刑で処理するという中途半端な対応を示した。
 しかし、労働組合の有志が自らが支持する議員に対して、個々人のカンパを集約して寄付をすること、一体これが何の罪にあたるのか、なぜ罪に問われなければならないのか。裁判所は、政治資金の調達を政党中心とすることによって、政治資金の透明化をはかるという政治資金規正法の趣旨に反する行為だと述べた。冗談じゃない!自民党の橋本元首相が受け取った日歯連事件関係の1億円の政治献金、あれは一体どうなったのか。政党を中心と言うが、その結果、政治資金は一層不透明化している。労働組合の個々人の有志が支持する議員に対してカンパをする、それを単に集約して、武委員長が代表でまとめて送ったに過ぎない。このようなことを政治資金の透明化に反するなどと、どこをどうつつけばそんなことが言えるのか。この事件は、当初から、不当な政治弾圧として仕組まれたものである。裁判所の方が全うに判決を出す気があれば、当然無罪判決が書けたはずだ。ところが裁判所の方は、昨今の情勢からそのような判決を書くだけの信念がない。しかし、量刑の点では極めて申し訳ないという気持ちから、すべて罰金刑というような対応をする。非常になさけないとしか言いようがない。
 本来裁判所が裁判所としての機能を発揮すれば、例えば一昨日殺人の共謀罪に問われていた暴力団の組長に対して無罪判決が出され、その判決の中で警察が証拠をねつ造した疑いすらあるという指摘をする、本来、司法機関が司法機関としての本来の役割を果たした場合には、そのような判決が書けるはず。この裁判所にもそのようなことを期待したけれども残念ながらそういうところにまでは至らなかった。
 360万円の活動費の支給についてもある意味で当たり前のことだ。色々な組織の中で、個々の状況は千差万別。組合役員に就任する者の状況によって、必要な資金を労働組合として生活保障のために支給するというのは様々な形があって良い。そして、活動費として支給することを指示し、指示を受けた会計担当者も、活動費として支給したというように言っており、会計上もそのように処理されているという事実関係の中で、なぜそれが政治資金に化けてしまうのか、政治資金だと強引に判断しなければならないのか。私は裁判所の非常になさけない事実認定に満腔の怒りをもって糾弾しなければいけないと考えている。このような不当な判決に到底従うことはできない。

永嶋靖久(戸田ひさよし門真市議兼連帯労組近畿地方本部委員長・弁護人)
 里見先生がおっしゃったとおりですが、あと、戸田さん固有の虚偽記入の所、裁判官の話を聞いていると無罪ですよね。「確定的故意」がないけれども、「概括的故意」というのをもちだして、ようするに、「まちごうてたかもしらん」ぐらいは思ってたんじゃないかということで、有罪という。あれは法律的な判断としてもあの裁判長の言うてることは事実認定の問題じゃなくて法律的な判断としてああいうことを書いていいんかどうかという大きな問題がある。聞いてもらって、無罪の言い渡しをしてもあそこはほんまに無罪の言い渡しをしてもおかしくない、そこさえあんな「概括的故意」というのをもちだして有罪にしている無理というのを一言だけご報告しておきたいと思います。

>>抗議声明  >>公正裁判を求める署名

 

政治資金規正法第5回公判(06/6/27)

 政治資金規正法の第5回公判が大阪地裁1004号法廷で6月27日に開かれ、弁護人の弁論と被告人の最終陳述が行われた。
 弁護人らは、2005年1月と3月の2次にわたる逮捕、「大谷・旭光事件」の公判で保釈が確実となった翌日に政治資金規正法による逮捕があったことから、本件は関生支部役員の長期勾留と組合職員らへのみせしめであることを指摘。公訴事実はいささかも立証されていないことから、無理なことを「事件」にしたてたことが本件の本質であるとし、事実関係の詳細を示しながら、戸田に対する資金の流れになんら違法性がみられないことを明らかにした。
 具体的には、戸田に対する寄付は組合からではなく(労働組合から個人に対する政治資金寄付は、平成11年12月の政治資金規制法改正以降禁止)、有志からの個人寄付であること、すなわち、戸田に寄付されたのは、組合の財産ではなく、個人の寄付を集めたものを代表して武の名で寄付したことを述べた。組織から強力な支援を受けている候補者は多数おり、戸田による資金要請先は組合ではなく有志であり適法な方法で行われていることを指摘した。「(組合運営は)意のままの武の言うことが通らないことはありえない」などと、武委員長の「独裁」状態を主張する検察に対しては、「労働組合の運営をまったく知らないから言えること」と断じた。収支報告書の虚偽記載(連帯労組有志からの寄付の記入漏れ)については、戸田事務所の会計担当者自身の判断で間違った記載をし、戸田がそれに気付かなかったことがすべての事実であると述べた。また、連帯労組の広告塔の役割もはたす戸田に対して、近畿地方本部執行委員長としての活動費支給までもが違法献金とされていることについて、改めて被告側の正当性を指摘。いずれの公訴事実についても無罪を主張した。
 最終陳述に立った武委員長は冒頭、「本公判で明らかになったのは、政治資金規制法違反はなく、裁判が予断と偏見なく行われれば無罪は明らかであること。憲法を守らなければならないのは警察や裁判官などであり、弾圧は私たちの守られるべき基本的人権を侵害している。」と述べた。
 また、日本の労働組合の多くが要求、交渉、行動のすべてを企業内で行っているのに対し、関生型は産業単位でそれらを行っており、個別企業にとらわれず、その産業で横断的に団結を生み出しており、この運動が資本主義の根幹に触れると指摘。事実関係については、それぞれの有志で政治活動をするのは当然であって違法性はないとし、裁判官に対して適正・公平に判断することを切に願うと述べた。
 公判終了後武委員長は、傍聴にあつまった組合員や支援者に対し、「予断と偏見と政治判断がなければ、無罪は明らかである」と述べ、「国策捜査」に反対し「公正裁判」を求める署名を通じて、反動を許さない人を全国に拡げることを訴えた。
 戸田の意見陳述全文はこちら
 署名については>>コチラ

 

政治資金規正法第4回公判(06/5/25)

 政治資金規正法違反の第4回公判が5月25日、大阪地裁1004号法廷で開かれた。
 検察は、組合に罰金50万円、武委員長に禁固10ヶ月、戸田市議の団体に罰金50万円・追徴90万円、戸田市議に禁固2年・追徴金360万円を求刑した。
  この事件、長期勾留されていた別件について保釈寸前に武委員長を逮捕したことや、大勢のマスコミを動員して戸田市議を市議会控え室で逮捕したことからみても、なりふり構わぬ政治弾圧のねらいが当初から明らかな事件だったが、求刑内容にはそのねらいがむき出しで反映されているといわざるをえない。
 弁護団も公判後、「求刑内容の重さが異常である」と語った。
 また、武委員長は、「起訴状を読めば関生支部を最初からヤクザ組織と同じ扱いにして事件をつくっていることが分かる。一連の事件は、1980年代初頭、当時の大槻文平日経連会長(故人)が、『関生型の運動は資本主義の根幹にふれる』と発言して以来続く、一貫した国家的弾圧の一環として仕組まれている」と指摘。傍聴に駆けつけた労組代表や支部組合員に対して、この不当弾圧に対抗して「国策捜査の中止」と「公正裁判」を要請する個人署名を、著名人の呼びかけにより全国的に展開していることを述べ、この取り組みを大きく拡大しようと呼びかけた。
 署名については>>コチラ

 

大谷・旭光事件公判(06/5/8)

 大谷・旭光事件(強要未遂・威力業務妨害)第19回公判が大阪地裁で開かれ、前回にひきつづき検察側から武谷執行委員に対する尋問が行われた。
 起訴状には「人に義務のないことを強要」とあり、これを立証したい検察は前回、「大谷生コンと神和産業が別会社であることを労組として認識していたか」「労使関係のない会社にストライキをするのは違法ではないか」などと尋問。武谷執行委員は大谷生コンが神和産業の第2工場であることを主張した。
 今回の尋問では検察が、同執行委員が大谷生コンと神和産業との関係について調べていたことに対し、「(2社の関係を)知ってどうするつもりだったのか」「イン社が別にアウト社をもって営業しているのは放っておけないか」などと尋問。武谷執行委員は大谷生コンが神和産業の第2工場と認識しており、その為の調査であったことを述べた。

 

政治資金規正法第3回公判(06/4/25)

 4月25日、政治資金規正法違反の第3回公判が大阪地裁1004号法廷で行われた。公判は、戸田ひさよし門真市議(連帯労組近畿地本委員長)に対する弁護側・検察側の尋問と、裁判官からの質問が行われた。
 公判では、証拠についての審議が行われ、検察側は金銭支援の要請等は違法ではないかと質問した。
 戸田市議は、政治資金規制法違反とされている容疑については労働組合からの献金ではなく、労組員の任意の集まりである政治活動委員会からのカンパであったこと、近畿地本の委員長職であることに対する当然の組合活動費であると主張した。
 また、戸田市議が独自で発行している「ヒゲ戸田通信」には政治資金についても公開しており、市民に対して透明性を明らかにしていると主張。さらに、今回の事件は生コン支部への弾圧であり武委員長の長期勾留を目的にしたものであること、議会中にマスコミと打ち合わせをして私を逮捕し、社会的に抹殺しようとした狙いがあること、戸田事務所で事務員として全てを任せていた者が昨年2月からパソコンのデータを権力に渡しており、これは横領であり証拠とならないこと、を述べた。

 

大谷・旭光事件公判(06/4/17)

 大谷・旭光コンクリート事件(強要未遂・威力業務妨害)第18回公判が14時30分から大阪地裁803号法廷で行われた。
 公判では検察側が立証しようとする「大谷生コンと神和生コンは別会社であることを労働組合として認識をしていた」。また、「大谷生コンへのストライキは広域協組加盟の目的だけに行われ、労使関係のない会社にストライキ行動をするのは違法であるのではないのか」と言う尋問が武谷被告人に行われた。
 武谷被告人は、大谷生コンが所有するミキサー車は、神和生コンの名義であり、大谷生コンは神和生コンの第2工場であることを主張した。
 今回の公判は30分程度で終了し、武委員長の尋問も予定されていたが検察側の尋問が無く本日の公判で全ての被告人への尋問が終了した。
 次回の公判は5月8日午後2時から開廷され、証拠物の最終確認と日程調整が予定され、検察側の論告求刑は6月頃となる。

 

政治資金規正法第2回公判(06/4/13)

 4月13日、大阪地裁1004号法廷で政治資金規正法違反の第2回公判が行われ、戸田ひさよし門真市議(連帯労組近畿地本委員長)と武建一同労組生コン支部委員長の被告人質問が行われた。
 本公判から裁判官が変更されたことを受けて戸田市議は「裁判官は資料を読むだけではなく、法の下の平等と公正を」と訴えた。
 容疑とされている政治資金規正法違反については、(1)生コン支部に対する第3波の弾圧であり、権力は生コン支部を暴力集団として仕立て上げることを目的としていること、(2)資金は非営利/民間の労組の有志からのカンパと組合活動費であることを述べた。
 武委員長は、労働組合が政治資金として戸田市議に献金をしたことはなく、生コン支部組合員で政治に関心のある有志が集まって政治活動委員会が設置されており、そのなかで議論されていると証言。さらに、戸田市議は生コン支部の広告塔であり、連帯労組の政策運動の広がりと、地域住民の生命と安全の保障、そして組織拡大に努力していることから支援していると述べた。

 

大谷・旭光事件公判(06/3/16)

 3月16日、大阪地裁803号法廷で第17回公判が行われた。
 公判では長期勾留(1年2カ月間勾留・06年3月8日保釈)をされていた武執行委員長、武谷執行委員(11カ月間勾留、05年12月15日保釈)の弁護側からの尋問が行われた。
 武委員長は保釈後初めての公判であり、開廷前に駆けつけた組合員・支援労組・支援企業団体に対して、勾留中に御支援を頂いたことに感謝の言葉を交わしていた。
 弁護側尋問では、今回の事件の背景とされた生コン業界の状況。1年2カ月間の長期勾留の中での生コン業界の現状について尋問がされた。
 武委員長は、不当逮捕されるまでは生コンの売り価格は安定していたが、逮捕後5,500円〜6,000円引きという物件が多くなり品質面にも影響が出ていることを主張。その原因は、アウト社、イン社の大同団結で業界の安定を図る目的での集まりとして懇話会があったが、組織率が激少し機能しなくなったこと。また広域協組がメーカー直系指導型となり運営もセメントメーカーの政策で行われ、8社程の新設プラントが設立されたこと。また、アウト対策と称して土曜日稼働をしたことで価格が低下し、協組機能がマヒ、いつ崩壊しても不思議でない現状となっている。91年から94年の間で51社が倒産した時代に逆戻りをするような状況変化となっていること。
 過去、1970年の万博需要以降、生コンの需要が落ち込み、供給過多産業となり個々の企業だけでは経営が成り立っていけない状況に陥り、我々労組は共注共販しかないとして、1975年中小企業政策を出し、業界の構造改善事業に労使が一体となって協力してきたことで中小企業の基盤が整備され強化された。しかし、ゼネコン・セメント・販売店等はいつの時代でも生コン業界のまとまりを嫌い、結束を嫌う。
 また、大阪府警の中に「関生対策部」と言う50名体制の専従班を作り、労使問題に介入し事件をでっち上げ、81年から83年の間に100名近い逮捕者を出す大弾圧があったことを主張。今回の弾圧も我々の政策運動潰しであり政治的大弾圧であると証言。また武谷執行委員の尋問は、大谷生コンと神和生コンとの関係を証言した。
 事件とされた大谷生コンへの申し入れ行動については、神和生コンと大谷生コンの代表者は同じであり、大谷生コンは第2工場である。04年度の春闘未解決による行動の一環であることを証言。

 

政治資金規正法違反事件第1回公判(06/3/07)

政治資金規正法違反第1回公判 13時30分〜16時05分

 3月7日、生コン支部にかけられた第3次弾圧事件である政治資金規正法違反の初公判が100名を超す組合員と支援団体がかけつけ大阪地裁201号大法廷で行われた。公判は検察側の冒頭陳述。武委員長の意見陳述、並びに主尋問・反対尋問が行われた。
 武委員長の意見陳述では、支援傍聴に参加された団体、他労組、組合員に対して感謝の言葉が述べられ、1年2ヶ月間の長期勾留で身体的拘束を受け不自由な思いを受けているが、快適とは言えない拘置所は、闘いの場であり、学びの場でもある。今後とも健康に注意し完全黙秘で闘って行くことが私の信念であると力強い声で述べられた。また、裁判官に対して、自民党代議士はヤミ献金事件で否認をしているのに在宅起訴のみに終わらせ、本件では私を含め3人も逮捕した。これは法の平等性に欠ける運営であり、裁判官は社会的良識を持つべきと主張。
 また、検察側の起訴理由とする、「戸田市会議員に生コン支部武委員長から違法献金の受渡があった」とすることについて武委員長は、「労働組合として政治資金寄付をしたのではなく、政治に対して志のある組合員が任意でカンパを出し合ったものであり、労組とは別機関の資金からのものである。戸田氏は関西地区生コン支部の組合員であり、近畿地本委員長である。労働組合として広告塔の役割を果たしている組合員である。これに対して組織活動費として労働組合の財政から支払ったものである。よって事件とされている労働組合からの資金提供ではないので何ら法に触れることではないと無罪を主張した。

 次回の公判は4月13日 戸田近畿地本委員長(門真市市会議員)の主尋問と反対尋問が予定されています。

 

大谷・旭光事件公判(06/3/2)

 3月2日、大阪地裁で「大谷・旭光事件」第16回公判が開かれ、連合・交通労連関西地方総支部生コン産業労働組合(生コン産労)の岡本幹郎書記長が証言に立った。
 生コン産労は、連帯労組と同じく生コン関連産業に従事する労働者が多数加入している。この日の公判では、生コン関連業界で働く労働者の雇用と生活を守る立場にある労働組合の立場から、広域協同組合設立の経緯と目的および労働組合としてのスタンスについて証言した。
 尋問は、「生コン業界崖っぷち」と大きな見出しのある1994年3月14日付の新聞記事を示しながら、そのような窮地にたった原因を問うことから始まった。証人は、バブル崩壊後の需要減、協同組合の機能不全、アウト業者との価格競争による値崩れから、このままでは過去の大競争に突入することに危機感をもった事業者側より、労働組合に対して業界再建への協力を求められたことを証言。大阪府下の各協組が合併して広域協同組合が設立される際も、業界安定と雇用確保の立場から労側も全面的に協力するとともに、広域協組未加入業者に対して協組加入を要請したことを明らかにした。
 関西生コン関連中小企業懇話会(懇話会)が設立された背景については、広域協組設立当初は加盟社が多く出荷量も安定していたが、時間の経過とともに工場の新設やアウト業者による値引競争などを要因に、広域協組の出荷量が減少。広域協組の運営が安定しなければ業界の秩序が崩れ雇用と生活が破壊されることから、労側としても広域協組未加入業者の加入を促進する必要がでてきたと説明した。
 懇話会加盟の17社は、個々での広域協組加入が可能であったにもかかわらず、先ず懇話会に加入している。その理由として証人は、未加入業者の加入促進にあたって広域協組は積極的役割を果たしていないため、労働組合がアウト業者とイン業者の調整役を果たしていた経緯を明らかにした。
 同じ労働組合の立場から連帯労組の活動をどのようにみていたかとの質問に対して、証人は「学ぶ点が多く、敬意をもってみていた」と述べ、連帯労組あるいは武委員長が労働側の考え方を代弁していたことを示唆した。
 また、これまでの裁判で検察は「懇話会の運営が民主的ではなかった」とする疑いをかけていたが、この日検事による「広域協組には、さまざまな問題をクリアしなければ入れないのではないか」との質問に対し、証人が「未加入業者が広域協組に加入したことにより事業所がつぶれることがあってはならないため、軟着陸を目指しており、業者側もそのように理解していたとみている」と返答。「懇話会の運営が非民主的」という検察側の疑いは覆された。

 

大谷・旭光事件公判(06/2/16)

 大谷、旭光コンクリート事件(強要未遂、威力業務妨害)第15回公判が13時30分から803号法廷で開廷された。
 第15回公判は、大阪広域生コンクリート協同組合(広域協組)の副理事長が証人として出廷。広域協組が設立されるまでの経緯と関西生コン関連中小企業懇話会(懇話会)の設立経過等を具体的に説明すると同時に、生コン業界安定にむけて労働組合の協力の中で取り組んできたことが証言された。
 現在の広域協組は単一の組織で大阪府下全域をカバーしているが、広域協組設立以前は、東大阪、南大阪、市内など各地区別に生コン協同組合が分立していた。協組運営は機能的でなく、ダンピングや過当競争等が続き、1991年から94年の間に50数社以上の破倒産企業が続出し、多くの労働者が失業したこと、またマスコミ報道にも「生コン業界崖っぷち」という大きな見出しが出る等、業界は崩壊寸前であったこと、そしてこの危機的状況を打開するために労働組合と中小企業が協調して、広域協組が94年11月に設立され、95年4月から共販事業を開始。結果として過当競争の抑制、価格の安定、品質管理、取引条件の改善などが進み業界が安定してきたことを証言。しかし、業界が安定していく中でアウト業者が品質を無視するような販売価格で台頭し、イン社とアウト社の生コン出荷数量も年々アウト業者の水位が高まってくる状況を説明。また、この状況を放置すれば広域協組の存続の危機につながるとして、労使協調してイン社、アウト社の大同団結で業界の再建とアウト社の協組加盟を目的とした懇話会が平成15年10月に設立され、17社18工場が協組加盟の方向へ進んでいることが広域協組の機関会議でも報告されていたことを証言。大谷生コン、旭光コンクリート社も加盟を前提に各種会議に参加していたことが証言された。

 

大谷・旭光事件公判(06/1/30)

 大谷生コン、旭光コンクリート事件の第14回公判が大阪地裁で開かれた。
 前回と同じく、広域協同組合加盟社の役員が証人として引き続き出廷。広域協組加盟の条件について時間を掛けて協議してきた内容について、正確に当時を思い出しながら証言された。
 広域協組と懇話会が各種委員会等を設置し、アウト社が広域協組に加入しやすい条件整備などについて議論し、合意をみたこと、その後発生する問題については、広域協組加盟後に継続して調整する旨合意されたことを証言した。
 大谷生コン、旭光コンクリートの「(連帯労組から協組加入を)強要された」とする主張は、自らが各種委員会等において約束し、合意された事項について誓約書も交わしながら、その誓約書を反故にしたこと、また、マル適マーク説明はコチラ)を取得するために偽って懇話会に加盟し、取得すれば約束事を反故にするという反社会的行為を平然と行ったことを暴露した尋問であった。

 

大谷・旭光事件公判(06/1/16)

 06年1月16日、大阪地裁803号法廷で大谷・旭光事件の第13回公判が行われた。公判には昨年12月15日に釈放された5名も出廷し、今なお勾留されている武委員長と久しぶりの対面に激励の言葉を掛け合った。
 13回公判は、弁護側からの証人尋問が行われ、広域生コン協同組合に加盟する企業の役員が証人に立った。
 懇話会設立に至った経過と目的、生コン業界の情勢。広域生コン協同組合の事業活動等について尋問が行われた。
 懇話会の設立のきっかけとなったのは平成15年5月18日に宝塚グランドホテルで開催された「関西生コン創業50周年記念行事」からであり、アウト(協組非加盟社)とイン(協組加盟社)の大同団結が必要であったことや、生コン産業の再建と安定を目的として、平成15年10月1日「関西生コン関連中小企業懇話会」が結成されたこと、また、経営者会が平成16年3月に総会を開き、特別会員加入制度を成立させアウト企業17社を特別会員とし、6ヶ月後の同年9月末を目途に広域生コン協同組合に加盟する事が決議された。
 その様な中で懇話会に加入しているアウト企業は、工業組合・広域協組に加盟する約束が交わされていたこと。尚、その為に推薦人が必要であることや、加入時期についても確認されていたこと等の事実関係が述べられると同時に、「人に義務の無いことを強要した」とする検察側の立証を真っ向から否定する証人尋問の内容となった。

 

検察官による「重大な人権侵害」 

 勾留中の戸田近畿地方本部委員長(兼現職門真市議)本人から裁判所に対する接見禁止の一部解除請求が、本件担当検事らにより不当に妨害された。弁護人は、「重大な権利の侵害」として検察庁に対し内容証明にて抗議するとともに法遵守の指導を求めた。
 下記は一連の経緯と内容証明である。

戸田市議に対する権利侵害とそれをはねのけた経過

 戸田門真市議本人による接見禁止等の一部解除請求が、検察官により不当に妨害された。弁護人は「重大な権利侵害」として即座に検察庁の本件担当部署に電話し、担当検事から当時戸田が勾留されていた警察署の留置係に指導するよう求めた。
 ところがその後、戸田市議から弁護人へのさらなる訴えにより、事態打開が進んでいないことが判明。弁護人ははじめに電話した検事に再度問い合わせたが、同検事は「調べてみたら担当は自分ではなかった」と対応。弁護人は改めて検察庁で担当検事の名前を問い合わせた後電話しなおしたが、そこで当人不在のため代わって電話口にでた刈谷検事(大谷・旭光事件も担当)の回答もまた「同請求書も、接見禁止の間は禁じられている信書にあたるのではないか」というものだった。
 弁護人は検察に対する抗議では事態が打開できないと判断し、裁判所に電話。最終的に令状部の長瀬裁判官に経過を報告し、同裁判官から検察官に連絡がなされた。その結果、同裁判官から弁護人事務所宛に「裁判所に出す文書はフリーパスとすることになった」と電話があった。
 12月30日に人権侵害が発生してから8日後にようやく事態が収束。弁護人は「重大な人権侵害」に対する抗議と、検事に法遵守を指導するよう要請する内容証明を大阪地検検察正宛てに送付した。
 検察は戸田市議が法の下に守られてしかるべき権利を侵害したばかりか、責任の所在を明らかにせず、検事の資格をもつ者ならば当然理解しているべきことを聞かれているにもかかわらず、責任ある対応ができなかった。
 戸田市議がこの権利侵害をはねのけた後に、最初に留置場から裁判所にあてて出した接見禁止等の一部解除請求は、この件についての、彼自身による大阪地検検事正宛の抗議文の発信だった。もちろん、これに対しては許可決定が出され、彼自身からも、検事正宛の抗議文が出された。


大阪地検検事正宛 内容証明

2006年1月11日
大阪地方検察庁検事正 中尾巧殿
弁護士 永嶋靖久

冠省
 当職は,政治資金規正法違反被告事件の被告人戸田久和の代理人として,本書を呈します。
 上記戸田は,大阪府西警察署留置場に在監中であり,接見等禁止決定を受けています。
 本年1月4日,上記戸田が,同人作成の接見等禁止の一部解除請求書3通を,大阪地方裁判所第12刑事部1係あてに提出しようとしたところ,同日,大阪地方検察庁山内峰臣検事が,同請求書は,接見等禁止決定によって,被告人からの発信を禁止されている文書にあたるから提出させてはならないと,上記警察署留置管理係官に指示して,これにより,上記戸田による上記一部解除請求が妨げられることとなりました。
 上記戸田が一部解除請求を妨げられるという事態は,上記戸田の弁護人である当職から報告を受けた大阪地方裁判所第10刑事部裁判官が,山内検事に対して,電話で事態の解消を指導する1月6日までの間続きました。
 これは,上記戸田に対する重大な権利の侵害であって,当職は上記戸田の代理人として厳重に貴職に対して抗議します。
 また,山内検事だけでなく,1月6日,当職の電話に応対した検事(刈谷検事であると思われる)も,当職に対して,接見等禁止の一部解除請求書も信書にあたるから,被告人が提出できないのは当然ではないかと,当職に答えています。貴職が,御庁検察官に対して,厳に法遵守を指導されるようあわせて求めるものです。
                  不一

弁護士 永嶋靖久

 

武執行委員長・新年のあいさつ (大阪・都島拘置所より)
企業の枠を越えた産業別運動を敵視
 新年明けましておめでとうございます。
 昨年1月13日、大阪府警警備部は、私をはじめ関生支部執行委員4名を逮捕し、3月9日には新たに2名の執行委員を逮捕。さらに、12月8日には戸田ひさよし近畿地本委員長(門真市議会議員)と職員を逮捕し、公判で被告人質問も終り、これ以上勾留する口実がなくなった同13日には私を再逮捕しました。これら逮捕劇は、昨年1月に始まる権力弾圧の延長線上で仕組まれた一連の弾圧事件です。
 権力による今回のでっち上げ事件の狙いは、私たちが逮捕・拘置されている間、大阪府下の生コン価格が下落していること、週休2日制が崩されつつある事実が事件の本質を表しています。
 中小企業の権益を守る私たちの産業政策運動は、大阪府から和歌山県に至る近畿全域に拡大し、これが全国の生コン業界に広がりつつあること。関連業界のバラ輸送・圧送業界に拡大しています。この運動は、グローバリズム・新自由主義の名による「弱肉強食」の弱者犠牲の競争原理に対し、NOを意味します。弱い立場の中小企業が団結して大企業との取引関係を改善する運動、企業の枠を越えた産業別運動、中小企業との共同的運動の追求、企業内闘争での限界を産業政策闘争によって労働者の雇用・労働条件を維持向上させる運動、これが私たちの運動です。これを大企業と権力は認めたくないのです。

連動する国の戦争政策と権力の暴走
 いま我が国は、大変危険な方向に進みつつあります。反戦ビラを自衛隊の官舎に投函しただけで逮捕され75日間も勾留されたり、政党のビラをマンションのドアに投函しただけで逮捕され23日間勾留され起訴されたり、常識では考えられないことが起きています。このような権力の暴走は、国の動きと無関係ではありません。周辺事態法・有事法制度・盗聴法・住民基本台帳法・国民保護法などによる国民監視管理体制の強化、自衛隊の海外派兵、憲法改悪、集団的自衛権発動の動き、戦争のできない国から戦争をできる国へと大きく舵を切っているのです。
 暴力団対策法施行後、「暴力団員に人権はない」として、逮捕した人に拷問を加えています。オウム真理教信者にも運転免許証の住所変更が遅れただけで逮捕するなど、法の運用が公平・平等性を失っています。私たちに対する事件も、民事暴力として暴力団対策法の拡大適用をしているのです。さらに政府は、戦前の悪法の復活である共謀罪の制定を昨年の国会に提案しましたが、今年はその成立を狙っています。

一部特権階級のために国民を犠牲に
 今日の動きは、戦前への道に向かっています。小泉首相の靖国参拝は象徴的なことです。
 その背景は、770兆円以上もの国の借金を国民の負担で解決するため、福祉・教育費の切り捨て、医療費の引き上げ、大増税、中小企業商工業者保護政策の切り捨て、加えて労働政策の規制緩和による低賃金労働者、不安定労働契約、大量失業、集団自殺など、これまでの大企業本位の政策のツケを責任のない国民に犠牲を転嫁することなのです。そして、国民の反発を巧みに避けるため、御用学者やマスコミを利用しています。いわく、「改革、改革」と称したり、「小さな政府」を合唱してそれがあたかも国民の利益であるかのように宣伝しているのです。
 さらにアメリカ帝国主義の尻馬に乗りイラク戦争賛成・自衛隊派遣と、アメリカとの一体的政策を実行していますが、これが泥沼化し国際的孤立を余儀なくされているのです。
 支配者は、現実には極めて困難に直面しています。しかし、一部特権階級のためにすべての犠牲を国民に求めているのです。私たちは、このような政府の策略やごまかしに惑わされることなく立ち向かう必要があります。

団結条件をいかし変革と勝利を確信
 こうした敵の攻撃が本格的で全面的になればなる程、それは数多くの弱い立場の者の団結条件をつくってくれています。
 いま、世界では大きな変化を求める運動が発展しっつあります。全世界でイラク戦争反対、軍の撤退・反グローバリズムの闘いが高揚しています。国内では、郵政法案時にみられたように、支配者内部に対立矛盾が激化しています。
 私たちは、敵の攻撃を反面教師として成長し、意志力を高め、団結の質を高め、行動力を高め、反撃体制のもとで勝利を確信しています。これまで進めてきた日米安保条約破棄・改憲阻止、反戦平和、国際連帯、中小企業の大同団結、品質管理体制の強化、品質保証システムの機能、安定供給、適正価格の収受、新技術開発、共同事業推進、知的能力向上をめざすマイスター塾の成功等に全力を傾注します。
 そして、非正規労働者をはじめ労働者の組織化、他労阻との共闘、社会変革をめざす政治戦線の統一に取り組みます。
 世界と日本、産業を民衆本位に変革する労働運動が求められており、そのような立場で皆さんと団結し意気高く闘う決意を申し述べ、新年の挨拶とします。

 

5名保釈!第1次弾圧から337日、第2次弾圧から281日。
 第1次、第2次弾圧で逮捕・勾留されていた6名の仲間のうち、武委員長を除く5名が12月15日夜7時39分、大阪拘置所を出所し無事釈放されました。
 第1次弾圧から337日、第2次弾圧から281日ぶりの仲間と家族の笑顔となりました。
 反弾圧・政策闘争推進へ全国統一ストライキを構えた前夜の吉報に、家族と多くの仲間が駆けつけ、満面の笑顔と握手、感激の涙で肩を抱き合う姿が・・・。5名の仲間は口々に、「長期の勾留だったが無事戻れた。これからも闘う」「弾圧が継続しているので、手放しでは喜べない。今なお拘束されている仲間の早期釈放に全力を」と訴えました。
 みなさまの変わらぬご支援に心より感謝いたしますとともに、今回の喜びを糧とし、拘束されている仲間を早期に取り戻すと同時に政策闘争をこれまで以上に発展させ、権力者の卑劣な意図を打ち砕く闘いに全力をあげる決意です。

 

2005年10月22日  S役員からの手紙
 “告発!逮捕劇の深層”を読ませてもらいました。まず、本書の出版にあたって「ご協力」「ご努力」「ご苦労」されたみなさんありがとうございます。
 本書を読ませてもらった感想は、連帯労組の組合員、役員であることの喜びと誇りと感謝の気持ちでいっぱいになりました。内容に関してのコメントは差し控えますが、武委員長のメッセージに確信を持ち、安田氏のあとがきに感激しております。本当に毎日の面会や組合運動に頑張っているみなさんに頭が下がります。ありがとうございます。
 今回の弾圧によって連帯労組のファンが増えております。しかし、公然化はできません。
 私事ではありますが、今回の不当逮捕、勾留で、ダイエットもできましたし、タバコも止めれましたし、連帯労組のファンもできましたから感謝とは言いませんが、その様な面ではプラスになっております。
 生コン支部定期大会も盛会に開催され、運動方針も確認されたと聞いております。
 これからも不当弾圧が加えられてきますが、その弾圧によって強い労働組合になりますから、私たちにとってはプラスになり仲間も確実に増えます。
 共に頑張りましょう!

 

2005年10月19日  S役員からの手紙
 連帯労働組合の仲間のみなさん、又、ご通行中の労働者のみなさん、お元気でお過ごしでしょうか?
 私は国営住宅の住民になって200日以上が経過しておりますが、仲間の努力により、私たち6名は有名になりまして、今、サインの練習をしております。
 今、7枚目の保釈請求却下書を職員から受け取りました。4枚目位から職員の「またや、悪いなあ」の一言を聞くようになりました。13日に生まれてはじめて裁判所の証言台で証言をしたのですが、緊張して自分が言っている事がわからなくなったり、みなさんに笑われたりしているのですが、次回の公判では、リラックスして証言したいと思っています。
 このダイコー(大阪拘置所のこと)に来る時間があるのであれば仲間を増やしてください。お願いします。それが、私たち委員長、K役員、T役員、N役員、H役員が一番喜ぶ事ですので、私たちがこの国営住宅から引っ越しする前に、一万人に増やしていて下さいよ。旗がないのでタオルを振って応援してるから。
 この手紙を書いたのは10日午後なのですが、切手がないので24日に郵送します。

 

2005年10月11日  H役員からの手紙
 皆さん、お久し振りです。
 毎日、お忙しい中、頑張っておられると思います。
 1月13日に逮捕、勾留以来、接見禁止で手紙を出すことも出来ませんでしたが、3日の公判後に接見禁止が解除されて皆さんに手紙が出せることを大変喜んでいます。また、公判が開かれるたびに外からの声援に対して感謝しております。
 さて、来期に向けて私はより一層の闘争心で頑張っていきます。
 今回の弾圧に負けることなく、頑張っていきます。この気持ちは、勾留されている仲間全員が同じだと思います。
 そして、未だに勾留は続いていますが組合の仲間と共に前進していきたいのでよろしくお願いします。
 それでは、失礼します。

 

2005年10月3日  T役員からの手紙
関西地区生コン支部、トラック支部の役員、事務局のみなさまへ

 関西地区生コン支部、トラック支部の役員のみなさん、また事務局のみなさん、変わりなくお元気でいますでしょうか?自分は元気でいます。
 そうはいっても、役員・事務局のみなさんは日々お忙しいでしょうが、がんばって下さい。
 自分たちの公判のときは、忙しい中、毎回支援にきていただいてありがとうございます。みなさんの顔を見て自分は元気100倍になり気分もよくなります。
 今回、なんとか「接見禁止」が解除となり、お手紙を書きました。これも役員のみなさん、仲間のみなさん、また支援してくれている他労組他組織のみなさんのおかげです。
 役員や事務局のみなさんには、日々お忙しいでしょうが、お体の健康を損なわないようにお気をつけてください。

 

第3次弾圧 勾留理由開示公判(12/20)

 関西地区生コン支部にかけられた≫第3次弾圧事件の勾留理由開示公判が12月20日、大阪地裁で開かれた。
 警察が容疑としたのは、政治家個人に対する団体献金を禁止した政治資金規正法に違反して関西地区生コン支部が戸田門真市議(兼同労組近畿地方本部執行委員長)に政治資金を寄付したというもののようである。公判では、裁判所が警察/検察の情報を鵜呑みにして武委員長らの勾留を決定した実態が浮かび上がった。これに対し、弁護人と武委員長らは、警察と検察は法違反を口実にしているにすぎず、実際は長期に武委員長を勾留すること自体を目的にしていると批判し、即時釈放を強く求めた。
 裁判官は検察側の起訴状を読み上げ、勾留理由は「罪証隠滅の恐れ」「逃亡の恐れ」があることからだと説明したので、弁護人はこの裁判官の判断に対し次々質問を浴びせた。
 まず、弁護人は起訴状の内容に関していつ・誰が・どこで・どのように「罪」とされる行為を実行したのか、証拠をもって説明するよう求めた。これに対して裁判官は「捜査の密行性から、証拠を示すことは適切でない」と回答。しかし、密行性が必要だといいながら、警察自身は家宅捜索から逮捕に至る過程を大々的にマスコミにリークして報道させた。とくに戸田市議については事前に府警記者クラブに情報を流して各マスコミを動員して議員控室で逮捕劇を演出し、また職員についてはわざわざ駅頭で待ち伏せ逮捕した。こうした卑劣な手法を弄してきた点を弁護人が追及したのに対し、裁判官は、マスコミが動員されたのが「警察の指示」によるものかどうかは分からないとだけ返答。傍聴席からは裁判官の無責任な対応に怒りの声があがった。
 弁護人は武委員長が別件ですでに11ヶ月勾留されており、12月12日の公判をもって証拠調べが終了し、すべての勾留理由がなくなり、保釈される直前のまさにそのとき再逮捕されたことを指摘。さらに、武委員長は大谷・旭光事件ではすでに勾留理由のうち「逃亡の恐れ」はなくなっていたのに、なぜ本件勾留理由で再びこのような理由があげられるのか、また、逮捕に先立つ家宅捜査で大量の証拠資料を押収し、収集・保全されているのであれば、被疑者として勾留する必要がないと追及。これに対し裁判官は、「武さんが勾留されていた事実は知っているが理由はしらない」「関係者に働きかけて罪証隠滅する恐れがある」などと説得力に欠ける返答に終始した。
 本件で勾留中の戸田市議は現職の門真市議会議員であり、勾留されることによって職務遂行を一方的に妨げられている。市議会議員という職業を考慮した場合、勾留までする必要があるのか、弁護人は裁判官の説明を求めた。また、弁護人は自民党議員による巨額のヤミ献金事件の容疑者は逮捕されなかったり、事情聴取も在宅のままであることに対して、戸田氏への司法の対応が著しく公平性を欠いている点についても指摘。裁判官の判断の根拠について釈明を求めた。裁判官は、自民党議員のヤミ献金と本件の対応の違いについては「個別事情の違い」と述べるにとどめ、戸田氏の職業への配慮については「考慮したうえで勾留の必要があると判断した」などとおよそ釈明にはならない返答にとどまった。
 職員についは弁護人からも他2名の勾留者からも「共謀できる立場にもない」などと、即刻釈放がひときわ強く求められた。
 弁護人らは求釈明の最後にあたり、裁判官に「事件」の真意を指摘。戸田氏の弁護人の永嶋弁護士は、十分な証拠の収集・保全が終わっており、具体的には勾留の必要がないこと、戸田氏は府警本部がマスコミに逮捕日時を事前に周知し議会控室を取り囲ませたうえ逮捕しており、このようななかで捜査の密行性など保たれないこと、「自白をしないうえで勾留」ならば黙秘を続ける限り勾留がつづいてしまうこと、以上のことから本件は被疑者らに対する社会的信頼失墜と、関西地区生コン支部への信頼失墜を目的としていること、他の政治献金と比較して疑いが認められるにしても逮捕・勾留する必要まであるのか疑問であること、戸田は前回市議選でトップ当選を果たすなど市民の支持をえており、被疑者の信用失墜が目的としか思えないこと、武委員長はこの事件がなければ間違いなく保釈されており武委員長の身体拘束を長引かせることが目的であること、を指摘した。
 また、武委員長と職員の弁護人である里見弁護士は、職員がこれまでの取調べのなかで自らの知っていることや見てわかることには正確に応じてきているのに刑事が執拗に取調べを長引かせて勾留延長されていること、武委員長はこの「事件」がなければ12月12日の公判をもって間違いなく保釈されたこと、その保釈時期を狙い撃ちして武委員長の身体を拘束しつづけようというのが今回の逮捕・勾留の真意であること、別件での勾留はすでに11ヶ月、今回の件でついに越年することになり、まったくの人質司法であること、を指摘した。
 両弁護人は3名を勾留する根拠は皆無であり即時保釈されるべきことを強く求めた。

武建一関西地区生コン支部執行委員長の意見陳述
1.11ヶ月間という長期勾留がようやく保釈可能となったとき本件による 逮捕・勾留です。誰が見ても私を更に長期勾留するための意図的、政治的なものであることは明白です。このような不当弾圧は断じて許せません。しかし、この出来事は、我々の組織の社会的影響力の大きさを権力が認めたものであり、むしろ我々に大きな自信と確信を与えるものです。私はこの攻撃を誇りにすら思います。「嵐は若木を育てる」の言葉どおり、権力による今回の攻撃は、我々に組織力を強化するチャンスを与えているのです。私は、一層固く、皆さんと団結して闘うことを明らかにします。
2.職員は直ちに釈放すべきです。
  一般の組合員であり、事務職員です。なぜ本件を主導する立場にあると考えるのですか。その常識なるものを疑います。私と共謀できる立場でもないのです。職員を長期勾留する理由は全くないのです。直ちに釈放することを改めて強く要求します。
3.本件は、私の長期勾留、戸田議員の失脚を意図したものですが、逮捕・勾留の妥当性、法の運用の公平性が問われるべきであります。
  自民党代議士であった村岡兼造のいわゆる1億円ヤミ献金事件は、村岡が否認しているのに在宅起訴であり、一方、450万円が問題となっている本件では私を含め3人も逮捕されました。これは公平なる法の運用でしょうか。社会的に理解納得できるものではありません。
4.今回のことで利益を得る者、それはゼネコンと一部販売店です。一方被害を受けるのは、多数の中小企業と多数の労働者です。
  大阪府下の生コンの価格は、私が逮捕されてから値下げが続き、このまま推移すれば1991年から1994年まで経験したように多くの企業の倒産が予想されます。そのことは多くの労働者の失業となります。一部の者の利益のため多数が犠牲になる、このようなことは許せません。
5.権力の意図がどうであれ、我々は今まで進めてきた政策闘争を一層発展させる立場です。即ち、インとアウトの大同団結、共同受注・共同販売体制、品質管理・保証システム、新技術開発、教育活動、広報活動、集団的労働 関係等既に示している10項を実践することです。我々の示している政策活動の社会的有用性が裁判において理解されることを求めます。
6.小泉内閣は戦争できない国から戦争できる国に舵を切っています。それが周辺事態法であり、有事立法です。国民の監視・管理強化のための盗聴法であり、住民基本台帳法です。更に新たに共謀罪の成立を急いでいます。まさに警察的軍事国家体制作りです。民主主義の危機が進んでいるのです。
7.一方外交的にはアメリカへの従属性を強め、軍事同盟強化によりアメリカの行う戦争に自動参戦できるよう、憲法改悪して集団的自衛権発動を可能ならしめようとしています。小泉総理の靖国神社参拝は、心の問題ではなく、再び過去の亡霊を呼び戻すものです。
  過去の侵略戦争により多くのアジア、自国の人民を犠牲にしたことを反省することなく、再びいつかきた道に戻りつつあるのです。参拝に対し、中国・韓国・我々が反対し闘う理由はそこにあるのです。
8.小泉内閣の行う経済・産業政策は、構造改革と称して弱肉強食の市場原理主義、即ち一部の強者が多数の弱者を踏み台にするやり方です。
  所得の格差拡大、政治的自由における格差の拡大、市民的自由における格差の拡大がそれです。つまり、一部特権階級だけが自由であり、多くの弱者を切り捨て踏みつける政策なのです。このような小泉内閣の行う政策を許すわけにはいきません。
9.民主主義とは多様な価値観を認める社会システムであるはずです。それは反対意見も尊重することが必要であります。にもかかわらず、予断、偏見をもって我々に対して行われている今回の弾圧は、民主主義を破壊するものです。このような弾圧は、とても認めるわけにはいきません。多くの労働者、労働組合、中小企業と団結し、この不当弾圧粉砕に向け 闘うことを表明します。
10.最後に、あらためて職員、戸田議員と私の勾留を直ちに取消し、即時釈放することを求めます。 

戸田ひさよし門真市議(兼連帯労組近畿地方本部執行委員長)の意見陳述
 被疑者として不当に逮捕・勾留されている、門真市議会議員かつ連帯ユニオン近畿地本委員長の戸田ひさよしです。
 まず、傍聴席をいっぱいに埋めてくれている皆さん、廊下に待機している皆さん。逮捕以来11日ぶりに皆さんの前に出てきました。
 取り調べの公安刑事は、「ずっと勾留して年末28日に起訴だ」とか、「その後、正月を過ぎてもずっと出れないぞ」などということを言っておりますが、何を言われようと、何が起ころうと、私は戦闘意欲満々で、気力体力とも充実して元気いっぱいです。
 今回の連帯ユニオン第三次弾圧は、直接的には3人の身柄を取られ、派手な信用失墜宣伝攻撃にさらされた痛手はありますが、一方では、権力側の悪あがきであり、連帯のスポークスマン、議員でもある私への逮捕宣伝攻撃によって、かえって、これまでよりもさらに広範な人々の耳目を連帯ユニオン弾圧問題に引きつけています。
 韓国の労働者民衆が集会のたびに唱える、「タンギョル!」「トゥジェン!」、すなわち「団結!」と「闘争!」によって、一見ピンチに見える状況をチャンスに転化していくわれわれの真骨頂を、獄の内外をつないで示していくことを皆さんと共に心中深く確認しつつ、私は、今私の正面に座っている、私への勾留と接見禁止を決定したご当人、長瀬敬昭裁判官に対して、順次意見を述べていきます。
 そもそも、勾留理由開示公判は、勾留決定をした裁判官に対して、その理由が正当であるか否かの問い直しを行い、裁判官は自分の出した勾留決定への批判や問題点指摘を受けて、それらの指摘の方に道理があれば、それを受け入れて勾留を取り消す途を開くための制度でもあるはずで、勾留理由の単なる「開陳」のための場ではないはずです。裁判官は、弁護人の道理に適った指摘を勘案し、私と職員、武委員長の勾留を取り消す決定をすぐに行うべきです。
 今裁判官の手元には、私の手書き文字による意見書が出されていますが、それを留置場で書き上げることにどれほどの苦労を被疑者が強いられているか、あなたはわかっていますか。
 留置場では、筆記具を使える時間帯は1日にたった9時間半だけ。しかもその中に取り調べがあり、昼食・夕食があり、貴重な弁護士接見と週2回は風呂があり、実際に書き物ができるのは、1日のうち1〜2時間だけ(私の場合、当局に要求して2日間だけ特別的に時間が少し増えましたが)。しかも、うるさくがなりたてる場内ラジオに気を散らされ、机もなくて、膝の上に用紙を置いて、自分用、裁判官用、弁護士用の3部を書き上げたわけです。
 書面作りだけでなく、せっかく接見禁止の一部解除によって、現職市議として、議案書など議員配布資料の差し入れを受けているのに、夜9時から翌朝7時半までは当局に本類はすべて回収されて目を通せない。読める時間帯でも、夜6時半からは文具を取り上げられてしまうため、アンダーラインを引くことさえできない、というのが留置場の実態です。これが拘置所であれば、机が与えられ、一定数の書類や文具を終日房内に置いて使うことができます。
 それなのに、長瀬裁判官は、より不自由な警察留置場をあえて指定して12月28日まで勾留せよ、との決定を出している。いったい、何を考えてそんな指定をしたのですか?!
 さらに留置場では、毎晩文具類を回収されるために、取り調べに対して黙秘していても、警察署内で取調官が、私の書きかけの原稿を毎日のぞき見ることが簡単にできるのであって、被疑者の黙秘の意志を踏みにじって、その内心を取調官が書き写すことさえできるのです。
 私は、本件逮捕、勾留に対して大きな怒りを持っています。それは、本件逮捕が、大資本に拮抗して、労働者及び良質な中小企業の権利と生計を守るために、果敢かつユニークで先進的な運動を展開してきた連帯ユニオン関西地区生コン支部の運動と組織を潰すため、その中でも本年1月13日、3月9日の2回の逮捕弾圧でずっと勾留監禁を続けてきた生コン支部の武委員長を、監禁し続けるための、極めて不純な警察政治的な目的を持ったものだからです。
 私の地元の門真市民・有権者の皆さんにあっては、突然に戸惑わされ、驚かされるような形で、私が門真市の現場から切り離されてしまいました。今はまだわかりにくい部分もあろうかと思いますが、今後裁判が展開されていけば、実相が明らかになります。私のこれまでの実績と、心根に信を置いて、じっくり見守っていただきたいと思います。
 この悔しさと怒りに立脚し、今後、よりしっかりした闘いの構築に奮闘する決意を私としては固めているところです。
 さて、私に対して一本の呼び出し状も寄こさなかった警察が、12月定例議会本会議前の、議案説明を受けているさ中、なぜ突然、大勢のマスコミを動員して市役所・市議会に乗り込んできて、テレビカメラの放列の前で私を逮捕、連行し、長期監禁するようなことをするのでしょうか?
 こういった異常なやり方の中に、本件弾圧の本質が如実に示されています。
 私に対する家宅捜索、逮捕、取り調べの担当者は、大阪府警警備部公安3課の光井弘警部補ですが、この光井警部補らの公安チームこそは、左派的な労組・大衆運動団体に対して、数々のデッチ上げ弾圧、コジツケ弾圧を行ってきた部門です。
 光井警部補は、12月13日火曜日午後2時40分から4時25分までの私への取り調べの中で、職員のことを取り上げて、「職員さんもまだ勾留中や、気の毒にな」とうそぶきながら、「ま、生コン支部について他にもいろいろ聞きたいこともあるしな」、と思わせぶりにニヤリとしながら、こちらの表情を探りました。これなどは、まさに「語るに落ちる」であって、職員の逮捕・勾留の目的が、本件の範囲をはるかに超えた、生コン支部への情報収集、その強要にあることが如実に示されています。
 さて長瀬裁判官。公安警察や検察の言うがまま、求めるがままに、逮捕令状や勾留決定、接見禁止決定を次々と出してきた裁判官たちの判断責任は、どう考えるべきでしょうか?
 それは、決して日々のルーティンワークのひとつとして軽く考えてよいことではありません。職員を、すぐに家族の元に返してください!マンション構造問題も加わって、一層混乱を増している建設関連業界を立て直すためにも、武委員長を、すぐに労働組合と生コン産業の現場に復帰させてください。そして私、戸田をすぐに門真市民の元に、連帯ユニオンの仲間の元に返してください!
 現在、門真市議会は年に4回しかない定例議会を開会中です。明日21日の最終本会議においては、「指定管理者制度導入の条例」制定など約20本もの議決があり、また、市政への一般質問や意見書採択が行われます。議員である私の議会出席を、これ以上妨げないでください。
 また、議会出席だけでなく、私は議員として日常的に市民の相談に対応し、市政を調査・研究し、提言をする活動をしていかなければなりません。それらへの妨害は直ちにやめてください。
 何十日間勾留しようとも、私は警察や検察に対しては黙秘を続けるのですから、それがこれほど明らかであるにもかかわらず、勾留を続けるということは、黙秘への報復・嫌がらせとしての勾留であり、また、地方自治と議員活動への妨害・蹂躙以外の何物でもありません。
 長瀬敬昭裁判官が、良識を取り戻して勾留解除の判断を下すことを求めて、私の陳述を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。

 

大谷・旭光事件公判(12/12)

 連帯労組関西地区生コン支部にかけられた弾圧の公判が12月12日、大阪地裁で開かれた。前回に引き続き、検察側から勾留中の組合役員に対する尋問がなされた。
 この日は検察側が「威力業務妨害および強要未遂」の裏付けとなる供述をひきだそうとさまざまな質問をしたが、役員の返答は検察側の思惑とは裏腹に両社が広域協組加入義務を負っていたこと、連帯労組が加入にあたって保証人としての責務があったことを改めて指摘するものであった(根拠については>>9/22第6回公判を参照)。
 「事件」当日あるいは関係する事実関係については、組合役員から「威力業務妨害および強要未遂」を裏付ける検察側証人の証言が覆される供述があり、検察側証人の証言にほころびがみられた。例えば、旭光コンクリートの上田常務は、「広域協同組合に入るとシェア(出荷割り当て)が減るため労働者をリストラしないといけない」旨証言していたが、その件についてこの日の役員の回答は、「旭光コンクリートの会社の規模と証人のいう従業員数が釣り合わず不自然である」と指摘した。また、連帯労組が複数人で旭光コンクリートのプラントを訪ねたときの出来事について、検察は(連帯労組の組合員がミキサー車の前に)立ちふさがって、「連帯労組の人間に懇願したが出荷させてもらえなかった」とする検察側証人の証言を鵜呑みにしていたが、この日の役員の供述からは、会社側が自らプラントを止め、「威力業務妨害」を自作自演したに過ぎない疑いが強まった。
「威力業務妨害および強要未遂」を裏付けるとされる検察側の根拠は、この日の役員に対する尋問によって次々とほころびがみられた。
なお、本日の公判をもってすべての証拠が確定し、不当にも再々逮捕された武委員長をのぞく5名の保釈が12月15日に認められた。第1次弾圧から337日、第2次弾圧から281日ぶりの仲間と家族の笑顔となった。

 

大谷・旭光事件公判(11/24)

 連帯労組関西地区生コン支部にかけられた弾圧の公判が11月24日、大阪地裁で開かれた。前回に引き続き、検察側から勾留中の組合役員に対する尋問がなされた。
 大谷生コンが誓約していた広域協同組合への加入を拒否し、生コン支部が約束を守るよう要請したことについて(大谷生コンおよび旭光コンクリートの広域協組加入手続きをめぐる生コン支部との関係については>>9/22第6回公判を参照)、検察側はこれを「強要」に結びつける証言を得ようと躍起になっていた。しかし、検察官がどの執行委員に質問しても、返ってくる答えは(懇話会に加入する)全社が広域協組に加入すると認識しており、約束をやぶる場合は当然説得すると供述。
 また、検察側は大谷生コンの実質的経営権はシンワ産業の伊葉社長にあるのに、なぜ大谷生コンの協組加入や春闘交渉相手として伊葉社長を訪ねないのかと質問するなど、「人に義務のないことを強要」とする起訴状の裏付けとなる供述を引き出そうと試みていた。しかし、役員の話から「強要」の事実はなく、あくまで約束の履行をもとめる説得をしたとする役員の真摯な対応とは対照的に、約束を守らず交渉に応じない伊葉社長の不誠実な対応が明らかになった。
 勾留されている役員のうち一名は、「事件」とされる喫茶店での話し合いにおいて交渉当事者である事実も確認されていない。にもかかわらず検察側はその役員と本件との関係をつくることに以前から執着し、この日も別席で話されていた内容が聞こえたかと何度も質問。たまりかねて弁護士が「聞こえていないと何度も言っている」と意見をはさむほどであった。
 「威力業務妨害および強要未遂」を裏付けるすべが次々と消えるなか、公判は検察側がさらなる長期勾留をねらう時間稼ぎの場と化している。

 

大谷・旭光事件公判(11/10)

 生コン支部にかけられた弾圧の公判が11月10日、大阪地裁で開かれた。
冒頭、産別労働組合として当然の行為を「事件」とし、不当逮捕・勾留があまりにも長期にわたっていることに対して弁護人から意見が述べられた。弁護人は被告人がいずれも無罪であると断言。大谷生コン、旭光コンクリートは連帯労組関西地区生コン支部を保証人にして広域協同組合加入を誓約したのであり、両社がこれを守らないために労組として当然の行動をとったにすぎないこと、それなのに逮捕・勾留されるとは極めて不当であること、被告人らの身柄はすでに10ヶ月の長期勾留を強いられていること、被告人らは均等な防御権の行使が妨げられていることを改めて指摘した。
本来ならばこの日をもって検察側の尋問がすべて終了する予定だった。ところが、検察側は執拗に時間をかけて一人目の尋問を行い、二人目の尋問を15分したところで終了時刻がきた。尋問にかかる時間が予定よりも大幅に遅らされたばかりか、質問内容は主旨が分からず中味の薄いものであった。加えて、質問のスピードは極めて遅く、弁護人がたまりかねてもっと簡潔に尋問をするようにと意見を挟むほどであった。この日の検察側の尋問は「事件」の証明にはほど遠く、勾留延長のための時間稼ぎと思わざるを得ない。

 

大谷・旭光事件公判(10/13)

 10月13日、大谷生コン・旭光コンクリート事件併合の弁護側立証が6名の不当逮捕者に対して行われた。
 まず、一人一人に組合の役職と当時の事件とされた状況尋問が行われた。
 尋問に対して不当逮捕されている仲間は、「協同組合に入る義務は、誓約書を交わした会社の連帯保証人となった連帯労働組合関西地区生コン支部の責任であり、その約束を履行させるための正当な労働組合活動である」と主張。「義務無き行為」をしたとする検察側の立証と真っ向から争う姿勢を明確に示した。

 

大谷・旭光事件公判(10/3)

 生コン支部にかけられた弾圧の公判が10月3日、大阪地裁で開かれ、弁護側の冒頭陳述と生コン支部・武執行委員長に対する弁護士からの尋問が行われた。
 冒頭陳述では、弁護側が生コン産業の特質と、関西地区生コン支部が追求してきた産業政策運動の意義を証明するとして、広域協同組合が1994年に設立される前と後で業界にどのような変化があったか指摘した。
 弁護人から武委員長に対する質問で、武委員長は生コン産業が中小企業協同組合を通じた共生・共同によってしか生き残れない構造的事情、産別労組として生コン支部が当然追求してきた産業政策運動の意義と成果、これまでの弾圧経験から明らかな資本・権力による生コン支部敵視、業界の生き残る道を明快に証言した。
以下、弁護士と武委員長のやりとりについて要点を報告する。< >内が弁護士の質問、その下に武委員長の証言を要約している。※一部報告者により編集。

<生コン産業とセメント、ゼネコンとの関係は>
セメントの拡販政策として生まれた生コン業界においては、セメント資本が資本・人事面で実質的に支配し、業界の80%を占める中小零細企業を牛耳ってきた歴史がある。
関西に生コン工場ができたのは1953年。以降、高度成長で雨後の竹の子のように急増。しかし、1970年の万博後、需要が供給に対して極端に減った。各社人員、コストの削減を進めたが、需要減にはついていけなかった。その頃から生コン産業は慢性的な供給過多産業に陥った。
 需要が増えると、会社は労組敵視政策をとり、組合ができると警察や暴力団を入れたり、ひどい労組敵視が続けられてきた。70年代、当時の通産省は生コン産業を構造不況業種に指定。生コン支部は業界をまともにするため、反労組的な態度を取らない会社と協力していくことにした。それでも価格はどんどん低下をつづけ、倒産がでてくるとそれまで反労組的な会社も労組に協力をしはじめた。1973年、生コン支部は必要にせまられて産業政策を打ち出した。

<生コン支部の産業政策は業界にどう受け入れられたのか>
 当時の大阪兵庫工業組合理事長は、構造改善事業にあたって雇用を第一義とすることを確認。同事業には労働者の福祉増進というのも入っていたのでこれを活用した方がよいということになり、労使協調へ向かう。中小企業が多い生コン業界にはよろこばれた。

<背景資本の追及について>
 その会社だけでなく、実質それを支配する背景資本に責任を認めさせた。80年代初頭、連帯労組、連合・生コン産業労働組合、全港湾、全化同盟(現在のCSG)と当時の工業組合(使用者団体)が協定を結び、退職金や賃金の統一、年間休日104日などが労組あるなしに関わらずすべての労働者に適用されることとなった。この運動が名古屋、東京にひろがっていった。これをおそれたのが三菱鉱業セメント会長の大槻文平(当時の日経連会長)で、生コン支部を弾圧してきた。鶴菱闘争(神奈川県にある三菱の孫請け会社での解雇撤回闘争)があり、関西が連携して解決した。大槻は「これは脅威だ」と言っている。

<そんななか、生コン支部に刑事弾圧があった>
 80年、業界との協定で「8月14〜20日まで盆休み」としたが、阪南協同組合の数社がこの協定を実行しなかった。これに抗議したことが「強要」、ペナルティーを求めたことが「恐喝」とされた。83年までに100人以上が逮捕、50人以上が起訴された。東淀川署には公安のエキスパートで対策班がつくられ、事件をしたてあげるために各社に訪問してまわった。

<なぜ広域協組の設立が必要だったのか>
 大槻文平による強い政治力をつかった権力弾圧と日本共産党による組織分裂策動によって、生コン支部の組合員数は半分以下に落ち込んだ。経営者は対労組敵視機関として「弥生会」をつくり、労組がストライキをしたら当該企業に資金援助をした。そのために基金をつみたてたり、今までの労働条件を一方的に破棄したり、賃金のゼロ回答をつづけたりした。この弾圧と労組敵視策により生コンの市況は乱れ、94年はリューベあたり8000円まで落ち込み、業界は壊滅的打撃を受けた。
 この危機を乗り切るため、当時の東大阪協同組合から生コン支部に話があり、「労組とは対決から協調へ」と言ったので、91年11月から値戻しに取りくんだ。ゼネコンがこの価格を受け入れないので東大阪協組は出荷拒否などしたが、ゼネコンの抵抗と圧力でいったん挫折した。現実には、リューベあたり8000円を割ると採算があわず、1年余りで51社が倒産した。
 なんとかしなければならないとの危機感はあったが、当時イン(協同組合加盟社)が37%。労働側も経営側にまかせていては業界が根底からつぶれると考え、94年2月、連帯労組、全港湾、連合・生コン産業労組の労働3団体で産業政策協議会をつくり、業界そのものを建て直しにかかった。以降、大阪府下5つの協同組合を一つにして広域協同組合を設立した。経営側は初めのうちは協組加入をためらったが、リューベあたり14300円にすれば採算にのってくると説得をかさねて、ほぼ85%の協組組織率を実現した。

<再び業界の危機>
 大阪府下の生コンの年間需要は、10年前の大阪広域協組設立時には800万リューベを越えていたが、建設関連投資の抑制や新増設の続出によって年々出荷量が落ち込み、いまや480万リューベを割ろうとしている。出荷量の急減によってイン(協組加入社)でも「この状態で座して死を待つより、(協組を)脱退して販売する」企業が現れた。これを放置すれば、過去に経験したようにインとアウトの過当競争、生コン価格の原価割れ、倒産・失業を招くという深刻な事態に至る。

<業界の生き残る道>
 ひどいのは大分県で、リューベあたり3800円。労働条件も劣悪を極める。こういうことをなくし、社会的有用性のあるコンクリートをつくり、需要創造につなげるべき。新たな需要の創出に向けて、新技術開発について作業をはじめた段階にある。また、労組として公共工事に品質管理、及びチェック機能のあるマル適マークの認可を受けている工場を優先使用するよう公共団体に促してきた。最近ではほとんどの現場でマル適マークを取得していなければ公共工事がとれなくなっている。
 阪神大震災でコンクリート神話が崩壊した。山陽新幹線のトンネル崩落などをみると、施工不良とともにコンクリートの品質管理がされていないと思うことがあった。働いている側から過積載やシャブコンなどをチェックするようになった。
 大谷生コンも加水、過積載などやってはいけないことをやっているので注意してきた。連帯労組は「関西生コン関連中小企業懇話会」ができる前からこうした運動をしてきた。最近マスコミで(シャブコンなどについて)報じられていたが、連帯労組はずいぶん前から取り組んでいた。

<大谷・旭光に対して広域協組加入を求めたことは、誓約書の履行を求めたにすぎない>
 2004年9月末の(広域協組加入の)タイムリミットをむかえ、最初は懇話会に加入する全社が広域協組に加入することになっていた。全社まとまって入らなければ、説得が必要と考えていた。そうしなければ業界が駄目になるからどうしても説得が必要。両社が、誓約書にある約束を履行するのは当然の義務。

上記証言の他、武委員長は大谷生コンと暴力団との関係を具体的に述べ、暴力団や警察がいかに正当な労働運動を妨害・弾圧してきたかを指摘した。さらに、大谷高雄(大谷生コン社長)のこれまでの証言について「まったくの作り事」と断言。大谷高雄の証言が虚構であると証言した。

 

委員長から関西地区生コン支部第41回定期大会へのメッセージ
(10/5 獄中より)

 大会参加の皆様に心より感謝の気持ちを込めてメッセージを送ります。
 生コン支部は1965年10月17日、当時の西淀川労働会館で設立大会を開き、それまでの企業別支部から産業別組織として新たにスタートし、今年で満40年の歳月を経て今日を迎えています。生コン支部と共に汗を出し、悩み、苦しみ、時に涙し、喜び、40年共に歩んだ私にとっては誇りに思うと同時に感慨深いものがあります。この歴史的に記念すべき大会に、都島拘置所に勾留されている6人が参加できないことは誠に残念なことであります。しかしシャバにいる仲間たちがこの大会を準備され、組織し、このように成功裡に、しかも賑々しく開催されましたことを心より喜んでいます。努力された仲間の皆さんに、心より敬意を表します。また2件にわたる裁判公判日には組合員家族、中央役員、生コン産労、全港湾、OB会、各会社代表、大和田委員長、和田先生はじめ多くの皆様の傍聴参加をいただき、大変勇気づけられています。ありがとうございます。
 今回の不当弾圧の本質、狙いが何であるかは、私たちが逮捕・長期勾留の間、何が起きているか見れば誰が考えても分かることと思います。すなわち週休2日制がアウト対策と称して崩されつつあるのです(これは23年前の弾圧の時も同じ経験をしました。休日変更・労働条件の改悪・賃上げゼロ回答です)。大阪における生コンの販売価格が値下がりしていること(これも23年前と同じです。これは消費者には還元されず、ハウスメーカーと一部販売店の利益になっています)。このことにより犠牲を受けているのは倒産の危機に直面する中小企業であり、雇用不安が発生している労働者です。権力弾圧で得をする者、それは一部の大企業であり、損をするのは中小企業と労働者であることは今回の弾圧事件で実に分かりやすくはっきりしています。被害企業と称される2社も、このあおりを受けるのです。
 大阪府下の生コンの年間需要は、大阪広域協同組合が設立された10年前は800万立方米を超えていて、1工場あたり6000立方米平均でありました。ところが建設関連投資の抑制、新増設プラントの続出により03年〜04年、年々インプラントの出荷は落ち込み、インの中の企業でも「この状態で座して死を待つより脱退して販売する」会社が現れたのです。この状態に手をこまねいていると、過去に経験したようにインとアウトの過当競争、原価割れの生コン価格、倒産、失業になりかねない深刻な事態であったのです。
 このような事態を打開すべく関西生コン産業政策協議会は、業界の危機打開策を打ち出し運動を展開したのであります。すなわち、
 (1)イン、アウトの大同団結。それには歴史と現状認識を一致すること。
 (2)適正価格の維持と原価公表。これは消費者との信頼、信用を得るのに必要  条件です。
 (3)品質管理と保証システムの確立。
 (4)新技術開発による需要創出。
 (5)共同事業化によるコストの平準化。
 (6)適正公平なるシェア決定システムの確立。
 (7)販売店の協同組合化。
 (8)知的レベルアップをめざすマイスター塾の設立。
 (9)広報活動によりコンクリートの社会的有用性を明らかにする。
 (10)産業別賃金、福祉、雇用、各制度の確立。
等であります。
 この様な運動を取り組む事によって、大阪兵庫生コン経営者会は、
 (1)共同試験場の建設
 (2)生コン会館建設
 (3)適正工場配置の共同事業を関西生コン政策協議会と合意したのです。
 特に大企業と権力の言い分とは、「中小企業と労働組合が団結し政策活動を行うことは、大企業中心の産業支配システムにたてつくことであり、これが資本主義社会では許されない」との立場であります。彼らは一般国民の利益とか権利より一握りの大企業の番犬なのです。一般国民と権力とは、敵対関係にあるのです。しかし彼らはその醜い本質を隠すためマスメディアを使い、「強要未遂だの威力業務妨害だの」の事件を必要としているのです。
 ところが一方では、敵の攻撃は仲間の団結促進になるのです。労働運動の歴史が教えていますことは、資本と権力の攻撃の中で労働組合は誕生し、労働組合は経済要求の実現だけではなく、政治の仕組みを労働者本位に変えることをめざし闘うようになったということです。敵は攻撃により労働者を鍛え、自覚させたのです。敵は自らの相手への攻撃が、自らの墓穴を掘ることになるのです。この歴史の発展法則に、我々は確信を持っているのです。今回、敵は我々に最大のチャンスを与えているのです。そこから得られるものは、政策闘争の発展なくして「中小企業を救うことはできず、労働者の雇用、労働条件の維持・向上は不可能である」ということです。
 生コン支部40年の歴史と伝統は、敵のいかなる攻撃に対しても体を張って不屈に闘う強固な意志力、先進的政策活動能力、電撃的反撃対応であります。敵には強く、仲間には頼れる、求められる労働組合です。我々はここに生コン支部魂を見て、誇りにしているところです。
 40年前、奴隷的賃金・労働条件下にあった生コン労働者。今、東京大学に入学するより難しいといわれ、他産業の仲間からうらやましがられている優れた労働条件。職場には自由があり笑いがあり、明るい連帯感がありぬくもりがある。中小企業の良き味方、闘う仲間たちの闘う砦である労働組合、これが生コン支部なのです。「敵の攻撃を反面教師として成長する」、揺るぎない階級的観点に立った労働運動を今後も力強く発展させなければなりません。
 さて政局について、先の衆議院選挙では自民大勝、自公両党により議会では3分の2以上の議席を獲得することに成功しています。これは小泉による巧みな焦点隠し、選挙制度、自公癒着、マスメディアによる誘導等によるものです。けっして支配者の行おうとしている大増税、年金はじめ福祉の切り捨て、グローバリズムの名による大競争によって多数の弱者を痛め、会社倒産、大量失業等にYESを与えたのではないのです。ほんのわずかの期間でメッキはすぐ剥げます。そこが反撃チャンスです。
 すでに支配者の内部では、対立矛盾が激化しています。郵政民営化をめぐる内部分裂、これはその始まりが表に現れただけですが、今後この動きは一層強くなると思われます。それは既得権を守ろうとする側と、アメリカと多国籍企業の利益を優先する側との対立矛盾なのです。小泉総理自身、来年9月には辞めると言っています。これは今までの莫大な借金と無駄遣いのツケを国民に転嫁する、それには消費税等の税金を大幅に上げるしかないのです。国民の反発を恐れているのです。アメリカの尻馬に乗り自衛隊を戦闘地域に派遣し、いつ反撃にあうやらビクビクしているのです。
 憲法改悪、自衛隊の合法化、集団的自衛権の発動を是認する動き、テロ対策と称して国民保護の名による国民監視、人権抑制システムの確立、好き放題のことを考え、実行しようとしています。第二次世界大戦時、ドイツ・ヒトラー政権が行ったように、日本の軍国主義者が行ったように「初めは政権と最も闘う側を弾圧し、やがて身内まで弾圧の対象にして体制を維持した」、このことにより世界を戦争の惨禍に引き込み多くの尊い人命を失ったことは記憶に新しいことであります。この歴史事実から教訓を引き出すことが大事なことであります。少数の支配者が多数の国民を欺瞞により議席を獲得したからといって傍若無人な振る舞いをすれば、彼らは自らの墓穴を掘るようなものです。しかし法則的には、彼らは国民への攻撃は避けられないのであります。議席は多数でも、それを支配しているのは少数なのです。彼らの攻撃を、反撃の最大の武器として闘うことなのです。そこに勝利の道が開かれるのです。
 労働組合は今まで展開してきた春闘、政策闘争を発展させつつ、労働組合の社会的任務として経済闘争・思想闘争・政治闘争を三位一体的に追求することが時代の要請として強く求められています。世界を変え、日本を変え、産業界を変え、職場を明るくする観点です。グローバル市場原理主義、新自由主義の名による、帝国主義の行う地球的規模の収奪、搾取政策、略奪のための戦争と対決して闘うことです。それには過去を反省し、歴史教育に力を入れることです。改革と称し中小企業と労働者の権益を剥奪することを許さない闘いを展開することです。マスメディア、支配者の作った彼らに都合の良い常識に惑わされることなく、物事の本質を見る目を養うこと、これは労働者的学習力を身につけることです。そのことにより「苦しい時は原因は何か、闘う時は敵は誰か」、的を得た闘いにより勝利するのです。
 今日需要が落ち込み競争をあおる時代状況が作られ、労働組合は抵抗勢力として叩かれ弱っています。このような時代に我々は何をなすべきか。それは企業主義、本工主義、企業内労使協調主義を実践的に克服する方針を確立し闘うことです。産業政策活動は経済の民主化、産業の民主化に加え、労働組合の企業内的運動の限界を克服する運動でもあるのです。今日、多くの非正規労働者を組織する場合においても重要な取り組みでもあるのです。
 産業別的団結テーマは、組合員のみだけでなく未組織労働者も対象になります。賃金、福祉、雇用、安全衛生、人格権等と下請企業の地位向上テーマと団結主体としての協同組合化等です。労働組合の組織形態は、業種別・産業別が団結体にとって有効です。これは生コン支部の歴史が教えています。
 傾向の異なる労働組合、諸団体との共通テーマによる共闘をさらに発展させること、困難な闘いを余儀なくされている仲間の闘いを共有し連帯して闘う、これは「他人の痛みを己の痛みとして感じられる労働運動」の実践であります。
 一昨年来取り組んでいる幹部活動家のレベルアップ、各ブロック職場の活性化は、引き続き重要な実践テーマです。今大会が運動方針の確立に加え、質の高い団結力と行動力を獲得すること、権利侵害・弾圧粉砕、組織拡大、諸課題実現に向け飛躍的前進の基礎を確立することであります。
 記念すべき歴史的大会の成功、バンザイ。

2005年10月5日  獄中にて
委員長  武 建一

 

旭光事件第6回公判(9/22)

 生コン支部にかけられた第2次弾圧(旭光事件)の第6回公判が9月22日、大阪地裁で開かれ、検察側の証人・久門守(旭光コンクリート営業部長)に対する弁護士からの反対尋問が行われた。
 連帯労組は生コン業界で働く労働者の雇用と生活を守るため、広域協同組合の安定運営を通じて業界の秩序回復を図る運動を中小企業と団結して進めてきた。その成果は他地域と比べて高水準な適正価格の確立にあらわれていた。しかし、こうした業界全体の安定を視野に入れた協同組合運動に協力せず、自社のみが儲かればよいとする態度を変えないアウト社(協同組合未加盟社)が未だに多数存在する。大谷生コン、旭光コンクリートもアウト社であり、公判では広域協組の標準価格を大幅に下回る安値で販売していた実態が浮かび上がった。この日は弁護人が旭光コンクリートの営業部長である久門証人にどの程度値引き販売していたかを追及。証言を渋っていた証人だが、ついに大阪では(広域協組の標準価格より)4000円以上値引きして販売したことがあると認めた。
 広域協組の重要な役割の一つは生コンの適正価格を確立して業界の秩序を守ることだが、連帯労組に対する弾圧以降、広域協組の標準価格は下落傾向にある。このまま安売り競争が激化すれば、労働条件や賃金への影響はもちろん、利益優先による品質低下で市民のくらしが脅かされることになるのは過去の経験から明かだ。
 証人は「最初から広域協組に入る気はなかった」と悪びれず供述している。しかし、旭光コンクリートは広域協組加入の推薦依頼書を連帯労組と交わし、また、懇話会と広域協組が合意したら広域協組に加入する旨の誓約書を懇話会と交わしており、これを履行する責任がある。ところが証人は、「懇話会と広域協組との合意プロセスが非民主的である」などと述べ責任を転嫁しようとした。だが、最初から広域協組に入る気がなかった証人は、懇話会で意見を述べる機会が何度もあったにもかかわらず何も言わなかったことはこれまでの公判で明らかにされているし、推薦依頼書の内容を真剣に検討したこともなかったと認めている。それなのに「(広域協組加入の条件合意に)納得できなかった」などとつじつまの合わない言い逃れをつづけた。
 勾留されている役員のうち一名は、「事件」の交渉当事者である事実が何ら確認されていない。にもかかわらず検察側はその役員と本件との関係をつくることに執着し、証人は「事件」当時のその役員の表情や一言一句を検察に促されるままに供述した。しかし、後に弁護人が追及したところによると、その役員が発言したとされる内容は、検察の調書作成時にはなかったことが判明。証人がいかに「強要」をうけたかを説明する場面で、決定的な発言が抜け落ちることは考えにくい。証人の供述が検察官の執拗な誘導にもとづいてつくられた可能性をにおわせている。
 公判を重ねるごとに自社の利益のみ追求する無責任なアウト企業の実態が明らかになるとともに、不当な長期勾留を少しでも長引かせようとする検察側の思惑がますます明らかになってきた。

 

大谷事件第7回公判(9/12)

 第1次弾圧(大谷生コン事件)の第7回公判が9月12日大阪地裁803号法廷で開かれ、前回に引き続き検察側証人である大谷高雄(大谷生コン代表取締役)に対する弁護側からの反対尋問が行われた。
 弁護側は、証人が経営する大谷建材が、20年前にセメント取引関係にあったA社とのトラブルで暴力団を介在させた事件をとりあげ、証人と暴力団は深い繋がりがあると指摘した。
 また、生コン業界の安定条件とされている価格問題、品質問題等を追及。
 バブル崩壊当時の生コン業界や広域協組が設立されて以降の業界の状況、自社の生コンがいくらで売られているのか、と言う質問に対してもあやふやな返答を繰り返し、弁護士から「セメント販売を手がけているのに業界のことを知らないというのは全く無責任であり、品質問題についても無責任な発言ではないか」と厳しく指摘される場面もあった。大谷生コンの脱税事件を境に「経営権を伊葉社長から300万円で証人が譲り受けた」ことはあまりにも低額であり、税務上問題があるのではないかと厳しく追及された。
 今回の公判では、証人が警察に出した供述書が如何にでたらめで、でっち上げられた内容であると言うことが鮮明に表れた公判であった。

 

旭光事件第5回公判(8/25)

 生コン支部にかけられた第2次弾圧(旭光事件)の第5回公判が8月25日、大阪地裁で開かれ、検察側の証人・久門守(旭光コンクリート営業部長)に対する検察からの主尋問と弁護士からの反対尋問が行われた。
 検察の主尋問は、連帯労組が旭光コンクリートの意志に反して連帯労組が広域協組加入を強制し、加えて同社が最終的に拒否すると理不尽な営業妨害行為を行った、と印象づけることをねらうものだった。そのため、同社が広域協組加入に先立って加盟した関西生コン関連中小企業懇話会の会合で同社をふくむアウト社に対し広域協組加入の意義や生コン業界秩序確立の必要性が何度も話し合われた事実や、アウト社加入の条件を巡る調整作業が、アウト社を代弁する立場の懇話会と、広域協組、関連労組との間で行われていた事実には一切ふれようとはしなかった。
実際、久門証人は、平成16年6月前後から同年9月29日まで懇話会の事務局メンバーに就任していた。したがって、会議時の書記をしたり懇話会幹部の会合に立ち会ったりしていたし、アウト社が広域協組に加入することの必要性について何度も聞いていたことは疑いない。
 また、前回公判では、この事件で不当逮捕された支部役員の一人が、交渉当事者である事実は何ら確認されなかったことが明らかとなった。その支部役員は、旭光の役員と支部担当役員が同社の広域協組加入をめぐる話し合いを喫茶店で行った際、たまたま隣のテーブルに座っていたにすぎなかったのである。ところが、検察側は、久門証人に対して「(その役員にも)話は聞こえていたか」とか、「(その役員が)こちらを見ていたか」などと質問して、「事件」とその役員とをなんとか結びつけようと躍起になっていた。
 本件起訴に正当性がないばかりか、今回の「事件」とは全く無関係であることが明らかな役員まで長期勾留している異常事態が明らかとなった。

 

大谷事件第6回公判(8/22)

 8月22日、大谷生コン事件第6回公判が大阪地裁で開かれ、検察側証人・大谷高雄(大谷生コン代表取締役)に対する検察側の主尋問と弁護側の反対尋問が行われた。
 証人は、広域協組加入を「誓約」したことは一度もないと改めて強調。起訴状にあるとおり、大谷生コンは連帯労組から「人に義務のないこと」を無理強いされたとする部分を改めて強調した。
しかし、弁護側が証人の捺印がある「推薦依頼書」(広域協組に加入申請する際に必要な推薦を懇話会に依頼する書類で、大谷生コンは、同業者1社と連帯労組の推薦を得て作成したこの推薦依頼書において、懇話会と広域協組との間で条件合意に至れば広域協組に加入すると誓約している)などを証拠として提示。了解して判をついたことの認否を求めたが、証人は責任逃れのあいまいな返答をつづけた。
 また、証人は「推薦依頼書を出したが広域協組に入るつもりはなかった」などと証言。その理由は推薦人となった連帯労働組合などに対しても一切説明していないとした。
懇話会に加入するアウト社が一丸となって業界秩序確立に取り組める環境を整備するため、懇話会は大谷生コンなどのアウト社に対し研修会を開くなどして広域協組加入の意義をくりかえし説明してきたこと、さらに、個社の事情に配慮しながら広域協組加入を推進してきたことが、尋問の節々で明らかにされている。
 しかし、証人は弁護側反対尋問で推薦依頼書について尋ねられると「見たような気がする」「田中(大谷生コン常務)に任せていたので・・・」などと言葉をにごすことが多くなり、無責任きわまりない態度をとった。
 先の公判で尋問を受けた検察側証人・田中慎吾(大谷生コン常務)も、懇話会に出席しても「内容は聞いていない」「入る意思がなかったから、興味もないので報告の内容は覚えていない」などと明らかに不自然な証言をくり返しており、自社の利益のみ追求する無責任なアウト社である大谷生コンの体質が改めて浮き彫りとなった。

 

大谷事件第5回公判(7/14)

 7月14日、大谷生コン事件第5回公判が大阪地裁で開かれ、検察側証人・田中慎吾(大谷生コン常務)に対する検察側の主尋問と弁護側の反対尋問が行われた。
 この日の弁護側反対尋問では、田中証人が主尋問で行った証言が次々に覆されていった。
 平成15年10月1日、連帯労組の組合員らが威力をもって大谷生コンの業務を妨害したのか、という点についての証言もそのひとつ。田中証人は検察側主尋問で、工場構内に入ろうとするミキサー車に10数人の連帯労組組合員らが手を広げて立ちふさがり進入を阻止した、と証言していた。しかし、当日の様子を撮影した検察側提出の証拠写真をもとに組合側弁護士が問い質していくと、田中証人は口ごもり、手を広げて立ちふさがっている組合員などいなかったこと、ミキサー車付近の人数もせいぜい3〜4人にすぎないこと、を渋々と認めざるをえなかった。
 検察側は、連帯労組が大谷生コンに広域協組加入を無理強いしたことが強要未遂罪にあたるとして武委員長ら被告らを起訴したが、すでにこれまでの証人尋問で、大谷生コンは関西生コン中小企業懇話会に加入するに当たって、「条件が整えば広域協組に加入する」旨の誓約書を提出していた事実が明らかになっている。検察の主張はほころび始めているわけだが、田中証人はそれでも加入を無理強いされた被害者を演じつづけようとして、「懇話会に加入したのは事実だが、それでも広域協組に加入するつもりなど最初からなかった」と強弁していた。
 しかし、実際には、広域協組、懇話会、関係労働組合の間で大谷生コンらアウト業者の広域協組加入条件を整備するための協議が重ねられ、懇話会の会合では協議の進捗状況が逐一報告されていた。大谷生コンも会合に出席するたびにその報告を聞き、懇話会事務局から意見を求められていたのだが、田中証人はあくまでも最初から加入するつもりがなく、したがって広域協組との条件交渉になど全く関心がなかったといわんとするあまり、懇話会に出席しても「内容は聞いていない」「入る意思がなかったから、興味もないので報告の内容は覚えていない」などと、明らかに不自然な証言をくり返さざるをえなかった。
 広域協組は、供給過多の生コン産業において過当競争を防ぎ業界の安定を図るために設立された。安値競争による雇用喪失・労働条件悪化・生コン品質低下を防ぐため、共同受注・共同販売を通じて適正価格の安定を図っている。大谷生コンや旭光コンクリートなどのアウト社(協同組合員外社)はこうした業界の努力を無視してダンピングし、業界の混乱に拍車をかけている。田中証人は、大谷生コンが広域協組の価格よりもリューベあたり2000〜3000円引きで販売していると悪びれずに証言。自社の利益のみ追求し、業界秩序を乱す無責任な態度が改めて浮き彫りになった。

 

旭光事件第4回公判(7/11)

 生コン支部にかけられた第2次弾圧(旭光事件)の第4回公判が7月11日、大阪地裁で開かれ、検察側の証人・上田和広(旭光コンクリート常務)に対する弁護士からの反対尋問が行われた。
 本公判で、被告人の一人が完全にえん罪であることが明らかとなった。平成16年9月29日、被告人らは広域協組加入の約束履行を直前になって渋る旭光コンクリートの上田証人らに会いに行った。その際、当初訪問する予定であった役員らと証人は面識が無いため、証人は以前から顔見知りである役員に一緒に来てもらうよう頼んだ。証人らと被告人らが対面したときも、その役員は別の場所におり、交渉当事者である事実は確認されなかった。本件起訴に正当な理由がないばかりか、一名の役員については「事件」当事者ではなく、まったくのぬれぎぬで半年以上勾留されている事実が明らかにされた。
証人は広域協組への加入を拒否した理由について、前回までは「(広域協組に入ると他府県との取引に制約を受けるため)現在ある奈良県の小口取引ができなくなるから」などと述べていた。しかし、「他府県と取引があるアウト社(広域協組未加入社)は他にいくつもあり、この問題は広域協組加入後に広域協組と当該府県の協組とで調整を行っていくこと」や「小口取引が一切できなくなるという説明ではなかった」ことを、弁護人が証拠書類を示しながら問いただすと、あっさりこれらを認めた。証人は初めから広域協組加入の意思がなかったにもかかわらず、広域協組加入によって不利益を被るという同じアウト社の関係者から聞いた情報を、加入拒否の言い訳として利用していた実態が明らかになった。
 また、広域協組加入にあたって必要な出資金や預託金などの費用についても、証人は加入拒否の理由にあげている。しかし、出資金が退会時には返金されることや、預託金は広域協組で批難をうけるような行為をしないかぎり取られないことについて、半年以上にわたり研修会に出席していたにもかかわらず、「説明を受けていない」としらばくれるなど、諸費用の意味を全く理解しようとしていなかった。
 本公判でも証人は、広域協組が供給過多の生コン業界において過当競争を防ぎ業界の安定を図るために設立されたことに理解を示している。他方、旭光コンクリートも一番安いときで定価(広域協組が提示する価格等)より2500〜3000円引きで販売していたこと、他のアウト社と値引き競争で物件を取り合ったこと、体力がなければそれ以上価格を下げられずあきらめることもあると認めた。
 小口取引についても、広域協組加入にあたって必要な諸経費についても、同じく経営側として業界の秩序安定に対し無責任な態度をとるアウト業者の口車におどらされ、広域協組と懇話会ができるかぎり個社の事情に配慮して広域協組加入の準備に尽力してきたことはすべて無視されてきた実態が、公判を重ねる度に明らかにされている。
 検察と証人による責任回避の逃げ口上が次々とくずされるなか、公判の終わり際、検察側は証人に「問題が解決すれば約束を守る(広域協組に加入する)つもりだったのか」「問題は解決したと思ったか」と、なかば旭光コンクリートに広域協組加入の義務があることを認める内容を苦し紛れに確認。弁護人の反対尋問を通じて、連帯労組の運動の正当性と、検察および裁判所の不当性が一層確固たるものとなった。

 

旭光事件第3回公判(7/4)

 生コン支部にかけられた第2次弾圧(旭光事件)の第3回公判が7月4日、大阪地裁で開かれた。検察側の証人・上田和広(旭光コンクリート常務)に対する検察からの主尋問と弁護士からの反対尋問が行われた。
 検察側は生コンの製造方法や「事件」当日の様子について、前回までに聞いたことのある質問を何度もするなど、事件の真相にせまることなく時間稼ぎとも思われる尋問を続けた。また、連帯労組と旭光コンクリートは労使関係がないことを間接的に何度も確認。企業の枠を越えた産業別労働組合の運動形態を認めないばかりか、「連帯労組が威力を用いて圧力をかけている」かのような供述を引き出すことに躍起だった。
 上田証人は、同社が公共工事現場(京阪奈自動車道)に03年9月、JIS規格外(輸送時間オーバー)の生コンを納入したことを認め、「元請の指示に従ったまで」と開き直った。国交省の発注現場で、コールドジョイント(建造物が一体化しない)の要因となるにもかかわらず、証人はその事実を悪びれず認めた。生コン製造・輸送を担う会社の常務である上田和広の証言は、コンクリートという公共性の高い製品の供給に携わる者として社会的責任を全く欠いたものといえる。
 弁護士による反対尋問では、大阪広域生コンクリート協同組合には「最初から入るつもりはなかった」と明言。他方で過積載の事実に対する連帯労組のクレーム取り下げと、公共工事を受注するためマル適マーク取得を求めて懇話会に働きかけたことを供述。しかし、マル適マーク取得については、自社の出荷数量を工業組合に報告する義務を受け入れられず一度は断念。業界全体の秩序確立に協力せず、自社の利益のみ追求する身勝手な態度がここでもさらけ出された。
 また、イン(協組員企業)とアウト(非協組員企業)の大同団結を目的とする懇話会の会合には半分以上出席しているが、「話を聞きに行っただけ」と形だけの参加であったことを供述。最初から広域協組に入るつもりはなかったにもかかわらず、広域協組加入に必要な推薦依頼書や懇話会への加入申込書に記名・捺印し、書面は「読んで理解した」と供述するなど、供述内容の矛盾もあらわれた。書面には、「懇話会と広域協組との間で問題解決すれば広域協組に加入する」旨書かれており、弁護士がこれに同意して記名・捺印したことを問えば「問題は解決しない」と回答。懇話会と広域協組の間で条件交渉が行われていたことを知りながらも、インとアウトが大同団結することは不可能だからという理由である。しかし、インとアウトが大同団結しなければ労使とも業界共倒れを招くことは必至である。弁護人による反対尋問の中身を要約すれば、業界での生き残りをかけた労働者と中小企業の努力を踏みにじる、旭光コンクリートの無責任な見せかけの行為が、公判で激しく責任追及されている状況である。

 

大谷事件第4回公判(6/27)

 生コン支部にかけられた第1次弾圧(大谷生コン事件)の第4回公判が6月27日、大阪地裁で開かれた。前回に引き続き、検察側の証人・田中慎吾(大谷生コン常務)に対する弁護側からの反対尋問が行われた。
  連帯労組関西地区生コン支部は、生コン産業に従事する労働者の雇用・労働条件を確保するため、企業の枠を越え、業界としての雇用責任を追求。業界安定に向けて中小企業で構成される大阪広域生コンクリート協同組合への加入を促し、過当競争による業界混乱=雇用喪失を防ぐために同協組の安定に向けた活動を推進している。
  大谷生コンの田中証人は先の主尋問で連帯労組と労使関係がないことを強調しているが、そもそも大谷生コンは、証人がそれまで勤めており広域協組加盟社でもある神和産業の伊葉社長が、広域協組に入らない別会社をつくるために大谷建材の大谷を社長に据えて実質は伊葉が経営する「大谷生コン」をつくったものである。当然ながら連帯労組は、個別労使関係を越えて産業基盤の安定をはかる観点から正当な組合活動を行ったことを主張。本裁判の焦点は、このような産別労組として当然の行為が、正当な組合活動として社会的に公平な審判を受けるか否かにあるといえる。
  証人は、「広域協組に加入する意志は当初から全くなかった」ことを証言。その理由として、広域協組に入ると営業活動に制約を受けることなどをあげている。企業活動は個社の自由意志に基づいて行われるとする言い分で、起訴状にも「人に義務のないことを行わせようとした」とある。
  しかし、大谷生コンは「事件」までに工組/協組加入にあたって連帯労組と協組加盟社からの推薦をうけて、協組加入の誓約書を交わすなど、加盟の意思表示をしていた。ところが、すべての手続きの終了間際になって突然約束を反故にしたのである。
  当日の反対尋問では、大谷生コンが協組加入を前提に手続きを踏んでいたことを弁護側がするどく追及し、証人もこれを認めた。これまでの公判で@大谷生コン自身が協組加入手続きをふんでいたこと、A証人は協組の意義や労組としてこれに関わることに対して一定の理解を示していること、Bしかし協組加入にあたって個社営業の制約や出資金を要するなど基本的条件をこばみつづけ、最終段階で約束を反故にしたこと、C一方で公共工事に参入するため、マル適(全国生コンクリート品質管理監査会議が定める判定基準の合格工場の表示)取得を目的に、工業組合には加入したことが明らかとなった。大谷生コンの「自社だけがもうかればよい」という無責任な態度がさらけだされるとともに、連帯労組は大谷生コンに対して誓約に基づく義務の履行を求めたにすぎない事実が明らかにされた。

 

旭光事件第2回公判(6/16)

 生コン支部にかけられた第2次弾圧(旭光コンクリート事件)の第2回公判が6月16日、大阪地裁で開かれた。
 原告側の証人に立った上田和広(旭光コンクリート常務取締役)は、広域協同組合加入をめぐって連帯労組から圧力をかけられた旨主張。広域協組の安定が生コン業界とそこで働く労働者全体の利益につながることには一切触れず、広域協組の共同受注・共同販売システムに組み込まれることにより自主営業の範囲や既得権が規制されることを問題視するなど、自社の利益のみを擁護する供述を繰り返した。

 

大谷事件第3回公判(6/9)

 生コン支部にかけられた第1次弾圧(大谷生コン事件)の第3回公判が6月9日、大阪地裁で開かれた。
 検察側は、大谷生コンと連帯労組の間に直接的労使関係がないこと、連帯労組が大谷生コンを訪ねた当日と翌日の出荷をキャンセルしたことにより多大な実質的損害を受け、客への信用も著しく失ったことを強調。いかにも身に覚えのないいやがらせの被害者であるかのような証言をひきだした。
 弁護側の反対尋問では、広域協組加盟にあたって必要な確認事項や、バブル崩壊後94年に広域協組が設立されるまでの間、業界がどのような状態にあったかについて証人が知っていたか否か尋ねたが、大谷生コンは広域協組加入の誓約書を交わしているにもかかわらずいずれも回答はあいまいであった。また、証人の田中慎吾は工場長も勤めた経歴をもつが、過積載の事実があったことは認めたものの、生コン品質との関連については否定した。

 

旭光事件第1回公判(5/23)

 生コン支部にかけられた第2次弾圧(旭光コンクリート事件)の第1回公判が5月23日、大阪地裁で開かれた。公判では、検察側が労働組合の正当な活動を「強要未遂」「威力業務妨害」などとくりかえし、労働組合が労働者の雇用確保ために行っている協組加入推進を指して、あたかも一部の強欲者の違法行為であるかのように話を仕立て上げた。武執行委員長をはじめ4名の仲間と弁護団は、意見陳述を通じて生コン支部が関連労組とともに進める産業政策運動の意義と弾圧の不当性を明示するとともに、早期釈放を改めて強く求めた。


武執行委員長の意見陳述 (旭光事件第1回公判)

 1.私が全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(以下「生コン支部」という。)の執行委員長であることは認める。
 2.私は、「多数の生コン支部組合員らと共謀の上、生コンクリートの製造を行う事業者等で組織する大阪広域生コンクリート協同組合への加入を拒否していた旭光コンクリート工業株式会社代表取締役上田哲夫らをして、旭光コンクリートの広域協組への加入を強いて承諾させようと企て」とあるが、そのような事実はない。
  なお、「広域協組への加入を拒否していた旭光コンクリート」とあるが、事実と違う。旭光コンクリートは、平成15年12月、「平成16年9月末日までに広域協組に加入する」と誓約していたのに、平成16年9月末頃になっても誓約に反して正式加入手続をしていなかっただけだ。
 3.私は、平成16年9月29日片山氏、西山氏および城野氏が喫茶店「みらぼう」店内においてどのような発言をしたか、同年10月1日片山氏、西山氏らが旭光コンクリートプラントにおいてどのような行為をしたかについては、いずれも知らない。
 4.私は、威力を用いて旭光コンクリートの業務を妨害したことも、同社を脅迫したこともない。
 5.「人に義務のないことを行わせようとした」とありますが、それが旭光 コンクリートの広域協組への加入のことを指しているのであれば、既に述べたとおり同社は、平成15年12月、「平成16年9月末日までに広域協組に加入する」と誓約してたから、同社が広域協組に加入することは義務のないことではない。
 6.上記のとおり旭光コンクリートは、平成16年9月末日までに広域協組に加入することを誓約しており、生コン支部の組合員が同社に対してその約束の実行を要請するのは当然の権利の行使なので、それを処罰することは許されない。私は無罪である。

 補足をのべる。
 一連の「事件」で6名が逮捕・勾留され、既に長い人で4ヵ月以上、短い人でも2ヵ月半も経つ。このような長期勾留自体が極めて不当であり、早期釈放を重ねてお願いしたい。
 私は、法に触れることは一切していない。アウト(協組未加入社)とイン(協組加入社)の大同団結を求めてきたのは、今に始まったことではない。1970年の大阪万博以降、生コン業界は需給のアンバランスで供給過多産業となり、アウト・インの大同団結を求めて35年の歴史を刻む。中小企業業種の生コン業界で個々バラバラに競争すれば、業界が破滅することは今までの歴史が証明している。業界が破滅すると大量の失業者が出て、労働者の死活問題となる。なぜ業界が破滅するのかという理由を以下、述べる。
 (1)生コン業界は圧倒的に中小企業で構成され、取引相手はセメントメーカーや大手ゼネコンという巨大資本で、決して対等な取引はできない。法律も認めるとおり、協組に加入して対等な取引をすることが保障されているし、必要不可欠である。
 (2)生コンという商品の特性は、製造から荷卸しまで90分以内でなければ価値がなくなる。鮮度が大切でストックがきかない特性をもち、今日つくったものは今日でなければ意味がなくなる。生コン業者は常に安売りせぎるを得ない立場にあり、一定の数量を確保しなければならない。例えば、4.5リューベ車が今の労働条件を維持するためには、月当り500リューベ輸送しなければならない(輸送費・2,000円/リューベ)。これが月当り250リューベになると輸送費は倍の4,000円/リューベになる。だから、安売りしてでも一定の数量を確保しようとする。
 この間、私たちの呼びかけに応えて生コン関連労組が業界再建に取り組んでいる時は、業界は安定した。しかし、92〜94年の数年間、業界は過当競争をくり返し大阪府下だけで51工場が倒産した。こうした反省にたって94年に広域協組が設立され、アウトとインの大同団結を呼びかけ、品質保証・安定供給・適正価格を求めてきた。中小企業と労働者が対等平等にこの運動に取り組んできた10年間は倒産がない。
 6名が逮捕・勾留されて以降、生コンの販売価格は既に500〜1,000円下がったと聞いている。私たちが昨年、一昨年来、広域協組に強く求めてきたのは、このまま推移すれば業界がつぶれるという危機感をもったからで、業界再建への運動にとりくんできた。94年の広域協組の出荷数量は800万リューベであったがその後、需要が減少してきた。その要因は、@バブル崩壊と公共事業費削減による需要の減少、Aアウトの出荷量増大にある。04年、広域協組の出荷量は遂に500万リューベを割って486万リューベとなり、05年の需要見込みを480万リューベとしている。もし、需要が500万リューベを割り込むと、広域協組はもたない。協組がなくなると業界は崩壊し、大量の倒産・失業がでる。こうした不幸な事態を避けるために、業界にアウトとインの大同団結を求め、理解して広域協組に加入するよう呼びかけてきた。広域協組がつぶれて大量の雇用が喪失すれば、誰が責任をとるのか。「失業者が出るのは当然だ」という考えでないのであれば、正当な活動に対する弾圧を直ちに止めるべきだ。



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大谷事件 第2回公判

2005年5月16日午後1時半〜4時15分 於:大阪地裁803号法廷
(被告人 武建一委員長、片山好史執行委員、武谷新吾執行委員、福嶋聡執行委員)

 この日は証人尋問が行われ、原告側から大谷生コン常務の田中慎吾が証人に立った。証言の要点は下記のとおり。

@ 大谷生コンは広域協組に入ることを何とか避けたかった。
A 大谷生コンが広域協組に入るか入らないかは連帯労組には関係がない。
B 連帯労組は大谷生コンに対して広域協組に入ることを執拗に迫り、加水摘発など事実無根の嫌がらせをしてきた。

 証人尋問の内容は、大谷生コン自らが行った違法な加水行為を棚上げにして、連帯労組の正当な組合活動を「嫌がらせ」「業務妨害」と誹謗中傷するなど、ウソを覆い隠す見えすいたふるまいに終始した。当日は、検察側尋問であったが、検察と大谷生コンが生コン支部の運動を潰すための茶番劇を延々と3時間にわたり繰り返された。次回公判の後半から弁護側反対尋問が開始される予定で、そこで今回の事件の本質を厳しく追及していく予定です。

 


 

大谷事件 第1回公判
2005年4月7日午前10時〜12時 於:大阪地裁201大法廷
(被告人 武建一委員長、片山好史執行委員、武谷新吾執行委員、福嶋聡執行委員)

要 点
弁護側は検察による起訴の内容について、「大谷」の記述が個人を指すのか法人を指すのか明確にすることを求めた。最終的に法廷で確認されたのは「機関としての個人」であること。
被告人の意見陳述の要旨は次の3点。
  各自、自分が生コン支部の執行委員であることを認めた。
  大谷はすでに協組加入を誓約しており、自分たちはこの履行を求めたにすぎないので、「人に義務のないこと」を強要したのではない。
  ミキサーがプラント内に入らないようにしたことは、正当な組合活動として行った。
武委員長の意見陳述は、@公訴事実、A裁判所・検察官・府警に対する意見、B運動の妥当性と正当性、以上3点についてなされた。主な発言内容は次のとおり。
  「人に義務のないこと」ではなく、誓約内容の履行を求めるのは当然の権利。これを処罰することは許されない。
  法の下の平等にもとづいて4名を即時釈放すること。
  長期勾留のいやがらせ、内部の裏金づくり、暴力、これら大阪府警の性質は、金儲けのためならヤクザを使いウソをつく大谷と似ている。検察は一部特権階級の立場にあり、法の下の平等が揺らぎかねない。
  大谷がこのようなことをするのは、運動の正当性と妥当性を理解していないから。労使一体となって協調しているときは業界がみだれることはなく、権力弾圧のあったとき業界は過当競争に陥る。協組組織率拡大は運動の成果。私たちは弱者切り捨ての政策に反対して闘う。
検察官は、連帯労組を「武委員長の独裁体制」と表現し、連帯労組と広域協組との関係を「武の支配下にあるのが1割。武は広域協支配を通じて関西の生コン業界を支配」などと言うなど、1・13弾圧の際の産経新聞の書き方そのものだった。
※ 検察官の話すスピードはとても速く、声は小さく、聞き取れないところが多数あった。

 

公 判 報 告
(この報告は起訴状に対して弁護士が質問をしている途中から取り始めたメモにもとづいて作成)
里見弁護士:第3、法人としての大谷高雄を指しているのか。
  第4 大谷は協組に加入の義務がないとの前提か。
  第5 9月30日の件について、被告武谷・片山において「ハンコを押して・・・」とは、被告武谷・片山いずれによる発言か。
  第6 「大谷の名誉・財産」とは、大谷高雄個人を指しているのか、法人としての大谷生コンを指しているのか。
  第7 (聞き取れず)
  第8 「人に義務のないことを・・」ここでいう「人」は大谷高雄個人を指しているのか、法人としての大谷生コンを指しているのか。
検察官:(大谷に)加入の義務が無いことはあきらかなのに、加入を強要した。
里見弁護士:検察官の回答はゼロ回答。争点が明確にならないと釈放しないのは、人質と同じ。
  @ 共謀…開示された証拠をみても、裏付ける事実は見あたらない。いつどのように共謀が行われたのか、明確に行われなければならない。再度釈明を求める。
  A 強要…その中身は。「協組加入を承諾させようとした」とあるが、法人たる大谷生コンに強要したときこえる。しかし、「人に義務のないこと」の「人」は、大谷高雄個人を指す。法人としての大谷生コンを加入させようとしたことと、大谷個人を脅迫したこととの関連を示してもらわないと分かりにくい。全部会社に対する行動なのに、なぜ大谷個人の名誉毀損になるのか。再求釈明。
裁判官:検察官は釈明が必要。事前共謀か現場共謀か。
検察官:事前共謀。
裁判官:法人か個人か。
検察官:特にない。(早口で聞き取りにくい)
裁判官:機関たる個人を指しているということでよいか?
検察官:それでよい。
中島弁護士:「機関たる個人」ということだが、名誉・財産は個人のものか?
検察官:従前通り。そのとおり。
     
≪事実関係について被告人の意見陳述≫
 武建一委員長
  @公訴事実、A裁判所、検察官、府警に対する意見、B運動の妥当性と正当性について述べる。
  @  私は全日建連帯労働組合関西地区生コン支部の執行委員長、他被告人の3名は同じく執行委員である。「私は多数の組合員と共謀して、大谷生コンを広域協組に加入させようと企てた。大谷は拒否したのに・・・」これは、事実と違う。平成16年9月30日、武谷、片山がどのような発言をしたのか、同月6日、各執行委員がどのような行為をしたのかは知らない。同社を威力で脅迫したことも、暴力を用いたこともない。「人に義務のないこと」が、協組加入のことを言うのなら、すでに平成16年9月末までに加入することを誓約していた。この履行を求めるのは当然の権利。これを処罰することは許されない。私は無罪だ。
  A  法はすべての人に平等でなければならない。堤義明は3月3日に逮捕、21日間勾留され、1億円の保釈金で保釈。この人の罪は資本主義の根幹を揺るがしかねないのではないか。(この人のしたことは)インサイダー取引の疑い。財産引き継ぎのため、家賃なども会社のいろいろな経費で払っている。資本主義の成立には3つの基本原理があるといわれる。一つは高度な信用保証が確定したとき。一つは単純簿記から複式簿記への移行。(もう一つ聞き取れず)。堤さんの事件はこれらが揺るぎかねない。国家の本質にさわる。
 この4人は5月1日までは勾留されることが明らかで、勾留は4ヶ月になる。この4人がおこしたという事件は、堤さんのしたことほど国を揺るがすようなものか。法の下の平等にさわる。
 検察のこの間の取り調べは、3回あわせて30分もしていない。事件と関係の無いことを聞く。最初から起訴ありき。いやがらせにすぎない。現職の検察官の三井という人が、内部で裏金をつくっていると言った。これは詐欺行為。公文書偽造にあたる重大なこと。警察は捜査、逮捕したのか。民衆の弾圧はするのに。
 府警は多くの人に証言をもとめている。そのとき「今後取り調べに全面的に協力する」と言わせている。府警に呼ばれて協力するよう言われたら誰でも怖いからそういうに決まっている。
20数年前、府警は50人の特対をつくって組合をつぶそうとした。
3月5日、本部留置所に行った。私のとなりの人は3時間も壁に向かって立たされる、平手で打つ・・・
検察官:異議。本件とは関係のないことを言っている。
里見弁護士:3点にまとめて本件と関係のあることを述べている。
裁判官:陳述を続けて構わないので、関連を分かりやすく述べてください。
    (委員長意見陳述のつづき→)その人は病院へ連れていかれ、診断書がでた。そこではじめて暴力があったことが認められた。これは大阪府警の性質を示している。この性質は、大谷社長と似ている。
 金儲けのためならヤクザを使う、ウソをつく。以下私の経験にもとづいて述べる。○○は(聞き取れず)市況よりうんと高いセメントを売っている。
検察官:異議。証拠調べの前にこういうことを言うべきではない。
里見弁護士:強要された体質のことを述べている。長くは言わないので続けさせて。
裁判官:異議を棄却します。被告人はポイントだけを述べるように。
  B  なぜこのようなことをするのか。それは運動の正当性と妥当性を理解しないからだ。(連帯労組の活動は)職場における民主・団結に大きな力を発揮してきた。40年前は1500時間労働、年間所得60万円。現在、職場での人権無視はほとんどない。運動の成果だ。関西の生コンは、万博後供給過多に。操業は20%で、安定供給、適正価格が求められていた。
 30年間、労使一体となって協調している限りは業界が乱れなかった。権力弾圧のあったとき、業界は過当競争に陥る。91年から3年間で51の会社がつぶれた。このとき協同組合は37%、今、労使ともに取り組んで81%。ようやく適正価格を収受できるようになってきた。11年前、関西生コン産業政策協議会をつくり、ここで定期的に会社と話をしているから生コンだけで倒産したところはない。
 私たちはグローバリズム、弱者切り捨ての政策に反対して闘っている。弱肉強食の結果が戦争。北朝鮮敵視政策にも反対して闘っている。金利のつけを国民にまわしている。
 私たちの運動は京都・奈良・和歌山にひろがっている。中小労働運動のモデルとしても注目されている。弱者を救い、一部特権階級と闘う。検察は一部特権階級の立場。法の支配が揺らぎかねない。
検察官:被告人の陳述は長すぎる。
里見弁護士:検察官の今の中断がなければもう終わっていた。続けさせて。
裁判官:本件の核心にふれて述べるように。
    (委員長意見陳述のつづき→)法の下の平等にもとづいて即時釈放を求める。
     
 武谷新吾執行委員
 公訴事実について述べる。9月30日夕方、大谷生コンの事務所に行き、「押印して」など「語気するどく申し向けた」こともない。加入手続きのことで話し合いをしただけ。
 ○日、車がプラントに入らないようにした。大谷の実質支配は伊葉(シンワ生コン)。
 (私の行為は)組合活動として行った正当なもの。
     
 片山好史執行委員
 私たちが生コン支部の執行委員であることは認める。
「広域協組への加入を承諾させようと企て・・」これは事実と違う。加入を否定・拒否していたのではなく、加入の意思は明確にしていた。だから「加入を承諾させようとくわだて・・」の部分は否認する。
 9月30日夕方、加入書に押印してもらいにいったことは認める。しかし「今日がタイムリミット」などと言ったことはない。
 ミキサーをプラント内に入らせないようにしたことは認める。
 人に義務のないことを行わせたのではない。正当な組合活動として行った。
     
 福嶋聡執行委員
 私が生コン支部の執行委員であることは認める。
 「承諾させようと企てた・・」これはすでに約束していたと聞いていたので、約束を守ることをしぶっていたという程度で認める。
 車の進入阻止したことを認める。
 プラントへ言ったことは認めるが、そのとき車は進入しなかった。自分が立ち去った後のことは分からない。
 加入要請の為に行ったのだから、「人に義務のないこと」を行わせようとしたのではない。
 よって私のしたことは正当な組合活動。
     
≪弁護人の意見陳述≫
里見弁護士:被告人と同じ意見。
位田弁護士:シンワへのことは要請行為であり、人に義務のないことではない。よって被告人は無罪。
中島弁護士:被告人を被疑者と言ったが、間違っている。大谷生コンには加入義務があった。被告人のしたことは正当な組合活動。
森弁護士:強要未遂については無罪、もう一つの方は威力業務妨害について認める。違法性については異議を申し立てる。
     
≪検察官より証拠について≫ (以下、検察官が述べたこと)
各被告人の生い立ち、家族構成、前科。
連帯労組の組織概要…組織分裂、委員長独裁体制
広域協組の組織概要…(聞き取れず)
連帯と広域協組の関係…武の支配下にあるのが1割、広域協支配を通じて関西の生コン業界を支配。
 大谷生コンの組織概要…当時、大谷と伊葉(聞き取れず)。武は自分の息のかかった会社を(広域協組に)入れさせようとしている。大谷の不当加水をマスコミに。これを止める条件として懇話会への参加と損害賠償請求取り下げを求め、大谷はこれをのんだ。(途中、聞き取れないところ多数)
 OUTの協組加入を要請することを執行委員会などで言う。大谷など2社が加入をやめておいた。業務妨害の実力行使も辞さず。武谷と片山が脅迫した。その日は大谷が「この件は委員長に直接電話する」ということで(武谷と片山は)帰った。
 平成16年10月1日、プラントにおいて従業員は「出荷したい」と言ったが、「交渉しないと止める。伊葉の系列やからな」などと言った。武谷らは車の進路妨害を続け、武谷は伊葉に対して「今日は知らんことにしといて」などと言った。10月7日の取引1950万円すべてキャンセル。そのようにして2500万円の損失。妨害の仮処分。
     
≪検察官が示した証拠について弁護人から質問≫
里見弁護士:13ページの文言は、連帯労組が主語ならおかしい。
検察官:「懇話会は」という主語が抜けている。
中島弁護士:10ページ、10.1起訴状には片山の名前がないが?
検察官:「押しかけた」にはかかるが、「妨害した」にはかからない。
     
≪弁護人からの意見≫
里見弁護士:4名の意見として書面で提出。その中の同意そしょう甲15番については一部同意にきりかえ、今日、証本を用意している。本文4行目、漢字4文字が不同意。1行目、3行目〜11行目不同意。
     
≪証拠書類について≫
検察官:・写真で武谷、片山を確認。○○当時、大谷高雄は経営の立場でない。(聞き取れず)
片山、武谷の名刺。
15号証、12枚の顔写真
大谷高雄の通話明細
(等々、多数早口で読み上げ)
(11時45分より、証拠ビデオを見る)
里見弁護士:このビデオは3つの場面で構成されている。10時58分18秒から32秒にかけて、突然とんでいる。なぜそうなっているのか、調査の上、説明を願いたい。
裁判官:連名でだしてもらえますか。
里見弁護士:はい。
     
検察官:田中しんごへの尋問6時間。21〜22、26〜29号まで。21号に書かれているよ
うなことが実証。
裁判官:反対尋問の時間は?
里見弁護士:少なくとも主尋問と同程度かそれ以上。
裁判官:証人を採用します。
  次回期日5月16日(月)午後1時半〜。午後いっぱい。803法廷。
  次々回期日6月9日(木)午後1時半〜。
     
    12時、第1回公判終了

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旭光コンクリートの件に関する勾留理由開示公判(3/24)

 3月9日、生コン支部にかけられた第2次弾圧(旭光コンクリート事件)の勾留理由開示公判が3月24日、大阪地裁で開かれた。公判では、長期に及ぶ接見禁止・勾留理由の具体的根拠は何ら示されず、武執行委員長をはじめ4名の仲間と弁護団の意見を通じて、国家権力による労組弾圧の意図と実態が浮き彫りとなった。傍聴には被逮捕者の家族や組合員をはじめ、法廷の収容人数を優に上回る85名の支援団体・個人等が駆けつけた。


武建一執行委員長の意見陳述

 今回、新たに不当逮捕された仲間も固い決意を示してくれた。裁判官の話は、まさに「結論ありき」の予断と偏見に満ちた労組弾圧の暴論であり、法を運用する義務のある裁判官の任務を放棄した姿勢は断じて許されるものではない。加えて、長期にわたる接見禁止と勾留は現在もなお続いており、その理由を明快に開示すべきである。
 裁判官のいう「勾留理由の認定」は、お笑い草と言うしかない。「今後もなお継続して調べなければならない」ことを勾留のひとつの理由としているが、実際はどうか。私の場合、今回の再逮捕(旭光コンクリート事件)から2週間以上も経っているのに、本件容疑の取り調べはわずか10分以内を2回だけ。(1・13大谷事件)を含めても計30分程しかない。調べる意志など最初から毛頭なく、ただ長期に勾留しているだけである。黙秘を続けているから自白を強要する為に長期に勾留しているのが実情で、裁判官が憲法を蹂躙することは絶対に許されない。 また「証拠隠滅」というが、今まで本件と全く関係のない所を含めて40ヵ所も強制捜索し、全く不必要なものを「証拠書類」として押収した。例えば、私が友人からもらった手紙や風呂のサービス券、回数券まである。これが本件とどうした関係があるというのか。全く、本件と関係のないものを押収している。さらに、「被害者への圧力」というが、「被害者」と称している者に対して、我々が圧力を加える必要は全くない。現に我々の組織が存在しているのにそのようなことは起こっていないことを裁判官はどう説明するのか。

過去の弾圧との共通点と今回の特異な面

 私はこれまで42年間の労働運動を通じて、事件と疑われた弾圧を経験した。そこで、過去の弾圧と異常に共通する点と、今回の弾圧には今までにない特異な面があることを述べたい。
 共通点は、我が組織が飛躍的に前進し、中小企業と手を携えて一部特権階級の横暴を規制し、多数の利益の為に産業政策運動を大きく前進させてきた時に弾圧事件が加えられたということ。
 ●1973年、関西小野田事件が発生した。会社による組合員の兵糧攻めに対して大衆行動を展開したことで、「逮捕・監禁罪」の事件が打たれた。当時はセメントメーカーという大資本が、我々に対して「不当労働行為のデパート」と言われる程の露骨な組合潰し攻撃をかけてきたが、思うようにいかない。それは、我々の運動が大きく前進し、集団交渉が実現した年であった。この年に弾圧事件が加えられ、以降10年間の裁判闘争で無罪を勝ち取った。我々はこの攻撃を反面教師として闘い、運動を大きく前進させてきた。
 ●1980年の阪南協事件。当時、大阪兵庫工組と我々を含む4労組が集団交渉を行い、年間休日104日や業界の責任による雇用保障、賃金・労働条件のあり方等を協議し、運動が大きく前進していた。事件というのは当時、阪南地区の生コン協同組合が労働組合や業界の約束事(盆休み期間)を決めていたにもかかわらず、一部業者がこれを無視して稼動したことで業界の秩序が維持できなくなった。この約束事を履行するよう求めた運動に対する弾圧で、最高裁までいったが、執行猶予となった。
 ●1982年の三永事件。会社が雇った社長が暴力団と手を組んで、我々の運動を潰しにかかった。これに対して宣伝し、ビラを配布したことが「強要ならびに名誉毀損」と事件をでっち上げられた。この裁判で明らかになったことは、1982年当時、5つの会社が1千万ずつお金を出してヤクザを雇い私を殺害しようとしていたことが明らかとなり、証人も出てきた。ところが裁判所はこうしたことに全く触れず、政治的な判断で判決が下された。
 これら1980〜1982年の弾圧期は、我が組織が1年で1,000人以上拡大し、82年から3,500人以上の組織に成長した。この段階で、当時の大槻文平日経連会長は「関生の運動は、資本主義の根幹に関わる運動である」。従って、権力の総力をあげて弾圧していくことを豪語していた。当時、東淀川警察に大阪府警の専門家を50人も常駐させ、労働組合と各企業が解決して「解決金」という名目の協定書があれば全部被害届を出せ、と。被害届を出さなければ、税務署等を総動員して会社に圧力を加えるというようなことをした。
 当時は、組織が飛躍的に前進し、労働組合と協同組合が一体となって業界の構造改善事業を推進。過剰設備で供給能力が大きい一方、需要が少ないという問題を解決するには、各企業が負担金を出し合い、企業や労働者を整理しなければ業界自体がもたない、ということで労使による構造改善事業が大きな成果をあげた。これによって、大多数の中小企業の経営が安定した。
 だが、中小企業の経営や労働者の雇用が安定する一方、取引先のセメントメーカーやゼネコン、大手商社など大企業にとっては我慢ならない。こうした運動が全国に広がり、企業内労働組合の制約を一気に克服して産業別労働運動が大きく広がることを恐れて異常な権力弾圧を加えた。当時、大阪府警の捜査官は「関生支部と山口組を潰すんだ」と豪語していた。しかし、我々はこうした攻撃に対して断固として闘い、新たに運動を発展させてきた。

産業政策運動漬しの弾圧と断固、闘う決意

 これら過去の弾圧事件と今回の「大谷・旭光事件」との共通点は、我々の組織や運動が飛躍的に前進する基盤ができた時に事件がつくられたということ。一昨年来からバラセメント協同組合、圧送協同組合、大阪広域協同組合を軸に業界の基盤を整備。生コンでは新たに和歌山や舞鶴等で中小企業を中心とした協同組合が共同受注、共同販売システムを確立して互いの競争を抑制し、労働者と労働組合、経営者、業界が一体となって取り組む運動が前進してきた。その結果、和歌山では一昨年の販売価格が7,000円/リューベと原価を割っていたのが、今では13,000円/リューベ以上となり適正価格に接近してきた。これは、労働組合と業界が一体となって取り組んだ成果だ。我が組織を破壊しようとする不純分子を排除し、組織を強固なものにするべく組織拡大にむけての態勢が整った、この時期に引き起こされた弾圧である。過去来の弾圧で一貫して共通するのは、我が組織を潰すために大きな打撃を与え、中小企業と結束することを妨げ、潰すことが目的であるということだ。
 では、共通していないことは何か。73年の小野田事件では、さすがに我々を逮捕したり強制捜索することができず、いきなり起訴された。82年の三永事件の時は、強制捜索も逮捕もあった。しかしこの時には、23日以内で保釈された。ところが今回はどうか。「大谷事件」で3ヵ月も拘束され、まともに取り調べもしないで時間を引き延ばすために拘束しているだけである。明らかに今までと違って、非常に長期にわたって拘束することがあなたたちの目的だ。大企業の代弁者になっているあなた達は、権力の犬となっている。我々はこうした弾圧に対して断固として闘う決意を申し述べたい。

 

片山好史執行委員の意見陳述(3/24)
 私は,旭光コンクリートの上田常務らに対し,脅迫したことはありません。9月29日,私と西山執行委員は,駅前第3ビル地下の喫茶店で,上田常務と話合いをしましたが,上田常務は広域協組への加入を拒否してはいませんでした。ただ,社長と相談してからでないと返事はできないということでした。私は,あくまでお願いしますという姿勢で話をしていたのですが,社長と相談するというので,話合いは打ち切りになりました。脅迫など何もありませんでした。
 なお,他一名の執行委員も逮捕されているようですが,彼は広域協組の加入問題について,上田常務と話をしていません。私と西山執行委員を上田常務と引き合わすために,同行していたにすぎません。
 10月1日に,私や組合員らが,ミキサー車の周りに立ちはだかって進行を阻止したことはありません。
 今回の逮捕はまったく不当なものです。私は,関西地区生コン支部の執行委員として最後まで闘います。

 

西山直洋執行委員の意見陳述(3/24)
 不当です。労働組合の存在、そのものを否定しています。更に先ほども言ったよ
うに、それは不当な弾圧行為です。逮捕されてから以降、連日に渡り、取り調べ
がありますが、取り調べの内容そのものが今回の事件と全く関係のないことばか
りです。
 また、勾留延長を請求する検察官自体が全く関係のないことを私に質問してそれ
に答えなさいと、中味については今話題のライブドアについてどう思いますか、
答えなさい。わかりません私は。まさに今マスコミ等によっていろんな労働組合が弾圧されて
います。大阪では、大阪市職労組、明らかな弾圧行為です。そして市の不当労働
行為です。
 これは労使共に決められたことなんです。それを歴史的に検証すればわかるはずです。それを未だになって税金の無駄使いやとか、そんなんやったら労働組合って何なんですか。
 日韓FTAってご存じでしょうか。私はびっくりしたんですが、日本政府が韓国政府に要求している事柄、韓国の我々も交流している労働組合なんですが、民主労組を潰せと。
 政府がこのような動きをしているんです。さらに憲法を無視し労働組合弾圧を行っています。私はこの弾圧、あえて弾圧と言わしてもらいますが、国家権力による不当弾圧。
 絶対許せません。最後まで闘います。以上です。

 

弁護士による意見書(3/24)

3月9日、生コン支部にかけられた第2次弾圧(旭光コンクリート事件)の勾留理由開示公判(3月24日:於大阪地裁)において、弁護団が述べた意見書です。

平成17年3月24日

弁護人  里見 和夫
弁護人  菊池 逸雄
弁護人  位田   浩
弁護人  森   博行
弁護人  中島 光孝

 被疑者4名に対する強要未遂、威力業務妨害被疑事件について、弁護士らは、裁判官の勾留理由開示に対し下記のとおり意見を述べる。

1 本件勾留は、犯罪の嫌疑の点、罪証隠滅のおそれの点、逃亡のおそれの点、及び勾留の必要性の点のいずれをとってみても正当性がないと考えるが、本意見においては、とくに、本件勾留が敢行された捜査官憲の真の狙いについて述べておきたい。
2 本年1月13日、被疑者武建一及び片山好史ほか2名の連帯労組(略称)組合員が本件と同一の罪名にて勾留され、2月2日付にて起訴された後、本件被疑事実による逮捕・勾留が敢行されている。これら被疑事実の中で語られているのは、いずれも、被疑者らが共謀して生コン会社に対し威力業務妨害を行い、それにより広域協組(略称)への加入を強要したというものである。
3 しかしながら、広域協組は、弱小零細事業者が過当競争を繰り返してきた生コン業界において、商品である生コンの品質保証、適正価格、安定供給を確保するため、業者同士が団結して共同事業を展開することを目的として設立された団体であり、他方劣悪な労働環境下にあった生コン労働者を組織する連帯労組は、使用者団体である広域協組の設立目的に賛同し、その活動に積極的に協力していく以外に、生コン労働者の労働条件を確保し、その生活を守ることができないと判断し、これを運動方針としてきたものである。なぜなら、大企業職場であれば、労働組合が使用者に対し、争議行為を威嚇手段とする団体交渉を行うことにより要求を実現し、組合員らの労働条件の維持向上を図ることも可能であるが、弱小零細事業者がひしめき合う生コン業界においては使用者自身がゼネコン等に生コンを安く買い叩かれる弱い立場にあるので、労働組合としても、このような使用者がダンピング競争により疲弊し、さらに倒産していくことを阻止することを第1の活動目標とせざるを得ないからである。したがって、大企業労組における労働運動とは異なって、生コン業者が多数団結してゼネコン等と対等平等の取引を行うことができるように、生コン事業者の共同化運動を推進することこそが、すなわち生コン労働者の労働運動であるといってよいのである。
4 そうすると、前件同様、本件被疑事実も、このような労働運動の一局面を捉えて、その刑事責任を問おうとするものにほかならないうえ、注目すべきは、捜査の主体が大阪府警警備部及び大阪地検公安部であることからも明らかなように、これを一般刑事事件としてではなく、公安刑事事件としてみているということである。つまり、共闘関係を形成しつつある労使関係に国家権力が介入し、その間に楔を打ち込まんとする「邪悪な意図」を、弁護人としては嗅ぎ取らざるを得ないのである。まさしく、前件同様本件も、労働運動に対する弾圧以外の何ものでもなく、本件勾留は、捜査権を濫用して行われたものと断じるほかはない。
5 よって、本件勾留の不当性は明らかであり、弁護人らは被疑者らの早期釈放を心より願うものである。

以 上

 


 

大谷生コンの件に関する勾留理由開示公判(1/21)

武建一執行委員長の意見陳述

(1)不当弾圧事件の本質と狙い、(2)今日の時代認識と産業政策運動の社会的意義、(3)我々の40年の闘いと今後のスタンス、(4)裁判所に対する要望を述べたい。

不当弾圧の本質と狙い

 今回の「大谷生コン事件」は、我々の組織に対する弾圧を意図したものであると同時に、中小企業が大企業に対して発言力を確保し、対等な取引関係を実現する運動に対する弾圧でもある。
 随分以前から、「『阪南畜産事件の次は、関生支部だ』ということを大阪府警本部のある人物が発言していた」という話を聞いていた。つまり、いま「事件だ」と言われる前から、我々を弾圧する為に大阪府警を中心に企まれていたことは明白だ。

「強者の論理」は終焉

 「赤字を黒字にした」ことを最大評価に、日産自動車のカルロス・ゴーン社長がもてはやされている。だが、彼の基本的な手法は、徹底的なリストラ・労働者の大量首切りであり、強い者が弱い者を踏み台にして利益を確保するのが本質だ。 いま、ブッシュが世界的に行っている内政干渉は、カルロス・ゴーンと同じように弱者を弾圧し、資源を剥奪する。さらに、小泉内閣が進めるグローバリズムの名によるIT革命、金融革命、行財政革命は、多数の弱者を踏み台にして特定の多国籍企業の利益を代弁する。
 こうした時代は、今や主流になっているようにみえるが、終焉の時代を迎えざるを得ない。アメリカのイラク侵略・占領の泥沼化、世界的な反グローバリズム運動の高揚、国内でも小泉構造改革に対する商工業者、農民、労働者の怒りと反発が強まっている。従って、こうしたやり方はもう通用しない。

政策運動の社会的意義

 我々が進める産業政策運動は、4点の社会的意義がある。@大企業の横暴を規制し中小企業を元気にすることにより、労働者の雇用・労働条件を確保すること。30年の政策闘争で、雇用安定と労働条件の維持向上に大きな役割を果たしてきた。 未組織・組織を問わず、生コン産業に従事するすべての労働者が、この運動によって利益を享受してきた。A経済と産業の民主化を実現する運動であること。一部の大企業が政治・経済・産業を支配し、事業所数で99.7%を占める中小企業とそこで働く人々を踏み台にして利益をあげる。 この仕組みを改めることは、民主主義の大切な原理だ。B産業別労働運動の目標は、産業別賃金・労働条件、産業別雇用計画、産業別福祉制度を確保することにある。C世の発展法則に則った運動である。150億年前のビッグバンによって宇宙が誕生し、人類500万年以上の歴史で、弱肉強食の市場原理=資本主義はわずか400年。 長い歴史の大半は、共生・共存の歴史であり、我々の政策闘争は、社会正義をもった運動だ。

40年の闘いとスタンス

 40年前に生コン支部ができた時、奴隷的な労働条件であった。人間性のかけらも認めない、ひどい労働条件を改善するために必死になって闘った。そして今や、人並み以上の労働条件を勝ち取ることに成功した。
 だが、これは血の滲むような多くの犠牲を払った結果だ。私たちの仲間は、会社が雇ったヤクザに殺され、私自身も耳にしているだけで5回も殺されかけた。そして、多くの仲間が容赦なく権力弾圧を加えられた。しかし、我々は断固として理不尽な攻撃に耐え、資本の攻撃に敢然と闘い抜き今日の労働条件を確立した。 80年代には、日経連の大槻文平会長が「関生型の運動は資本主義の根幹に触れる運動である。箱根の山は越させない」ということで資本と権力による大弾圧を受け、果敢に闘った。また、政党による組織分断攻撃に対して断固として闘い、労働組合の自治権を確保した。生コン支部40年の歴史は、いかなる攻撃に対しても一歩も怯むことなく闘った歴史である。
 我々は、この闘いの歴史を誇りとし、今回の弾圧に対しても断固として闘うことを明らかにしたい。裁判官が自らの職務を遂行するのであれば、直ちに4人全員を釈放すべきである。

 

片山好史執行委員の意見陳述(1/21)
 自分は、労働組合運動をやっていて、今回やったものの活動については労働組合運動として正しいことをやっていると自分は思っています。まして、取り締まりのなかで、組織の悪口や、そして自分はここにおったらあかんような、やめさすような形を、取調べのなかで刑事が言っております。
 自分は、この労働運動を誇りに思っております。以上です。

 

武谷新吾執行委員の意見陳述(1/21)
 私たちは、中小零細企業で働く労働者です。私たちの運動は、大企業から競争を強いられ収奪されている中小零細企業を擁護するという観点から、中小零細企業の経営者とともに運動を展開しています。私たちの中小零細企業と共同した運動が前進し、広がりがはじまると、必ず警察権力が介入し、不当な弾圧を行ってきたことは歴史が物語っています。また、警察権力の介入や弾圧により、中小零細企業の経営者とそこで働く労働者の権利と利益が侵害されていることも歴史上明らかです。今回まさに、中小労働運動に対する警察権力による不当な弾圧であり、正当な労働組合活動を妨害する権利侵害であるということに対して強く抗議をします。
 最後に、きょう私たちのために集まっていただいた仲間の皆さんや、他労組の皆さんですが、私たちはご覧のように元気なので、支援はそこそこに、運動のほうに力を傾注していただきたいと思います。武谷新吾でした。

 

福嶋聡執行委員の意見陳述(1/21)
 私も労働運動をやっている意味で、これは今回は、大阪府警と企業が手を組んだ不当弾圧だと思っています。今回私たちは、ストライキを行いました。そのストライキに対し、威力業務妨害・・・要求があるのは労働組合です。要求があるのは当たり前です。それが強要未遂、それも大阪府警とが手を組んでやった企業が、毎年巨額な所得隠しで、脱税で実質の経営者が逮捕されたという反社会的な企業です。そのような企業と大阪府警が手を組み、我々を不当弾圧、不当逮捕した。我々4人を不当逮捕した。これはれっきとした事実です。あくまで、我々はその実質経営者と労使関係がある。その上で、その会社に行った。それで労働組合としての行動を打ったまでです。それを威力業務妨害・・・要求があるのが当たり前。要求なくしてどうして行動が打てますか。要求があるから行動を打って、ストライキを打ったわけです。そのストライキに対して、威力業務妨害要求に対して強要未遂罪。全くでたらめだと思います、これは。私は、労働組合運動は、あくまで労働者が主体でやっておるものです。警察が関与する場ではないんです。これは民事に不当介入した大阪府警と、それに加担したこの昨年脱税を侵した、反社会的な業者の、企業のこれは我々組合に対するただの不当弾圧としか受け取れません。私は、この不当弾圧と最後の最後まで闘います。そして、勝つまでね。これは絶対、これは不当弾圧としか認められない。最後の最後まで闘う意志と、それとこの4人の早期釈放を要求します。

 

弁護士による意見書1

平成17年1月21日

被疑者 武 建一 弁護人  里見 和夫
菊池 逸雄
被疑者 福嶋  聡 弁護人  森  博行
被疑者 武谷新吾 弁護人 位田   浩
被疑者 片山好史 弁護人 中島 光孝

 上記各被疑者に対する強要未遂・威力業務妨害各被疑事件について,勾留理由開示公判にあたり,各弁護人は以下のとおり意見を述べる。

一 「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」の有無
 各被疑者には罪を犯したことを疑わせるに足りる相当な理由がない。本件勾留は強要未遂及び威力業務妨害の罪を犯したことを疑わせる足りる相当な理由があるとしてなされたものであるが,各被疑者においては,被害者とされる大谷生コン若しくはその代表者の生命,身体,自由,名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫したこともなく,又暴行を用いて,義務のないことを行わせたこともなく,さらに,その権利の行使を妨害したこともない。また,威力を用いて人の業務を妨害したこともない。これらの行為の嫌疑を肯定できる客観的・合理的な根拠もない。各被疑者は,全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部・関西地区生コン支部の委員長あるいは執行委員として,労働組合活動を行っていたにすぎない。

二 「罪証隠滅のおそれ」の有無
 各被疑者に罪証隠滅のおそれはない。強要未遂及び威力業務妨害にかかる証拠の最たるものは被害者の供述,被害者において確保されている写真,ビデオテープ,録音テープ等であるが各被疑者においてこれらを隠滅することは不可能である。また,被疑者側に存する労働組合活動にかかる行動内容を記載したメモその他の文書はすでに捜査機関によって押収されている。さらに,勾留の要件となる罪証隠滅のおそれは,具体的な資料によって裏づけられた高度の可能性のあることが必要であるが,本件では罪証隠滅の高度の可能性があることを示す具体的な資料は存しない。

三 「逃亡のおそれ」の有無
 各被疑者に逃亡のおそれはない。各被疑者は前記労働組合の委員長あるいは執行委員として活動している。妻も子もいる。各被疑者は信念をもって労働組合活動を行っており,処罰を免れる目的で身を隠すことなど毛頭考えていない。また逃亡の高度の可能性があることを示す具体的な資料はない。

四 「勾留の必要性」の有無
 仮に罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがあることを示す多少の資料があるとしても,各被疑者の身柄を拘束しなければならない積極的な必要性は存しない。これに対し,拘束によって各被疑者の労働組合活動が阻害されるという不利益は極めて大きい。各被疑者は不当労働行為救済申立事件や労働事件の遂行を担当しており,各被疑者が勾留されることによって事件当事者たる労働者の不利益は甚大なものとなる。したがって,本件勾留には実質的な必要性はない。

五 本件勾留の本質
 大阪広域生コンクリート協同組合(広域協組)は,弱小事業者が過当競争を繰り返してきた生コン業界において,商品である生コンの品質保証,適正価格,安定供給を確保するため,業者同士が団結して協同事業を展開するために設立されたものであり,他方,劣悪な労働環境下にあった生コン労働者を組織する連帯労組は,労働条件の維持・向上を図り労働者の生活を守るため,使用者団体である広域協組の上記要請を受け容れて,むしろその事業に積極的に協力していくことが得策であると判断し,これを運動方針としてきた。したがって,本件被疑事実とされた事実関係は,このような労働運動の一局面を捉えるものである。
 本件事件で注目すべきは,捜査の主体が大阪府警警備部及び大阪地検公安部であることである。捜査当局は,これを一般刑事事件としてではなく,公安刑事事件としてみている。つまり,共闘関係を形成しつつある労使関係に国家権力が介入し,これに楔を打ち込まんとする「邪悪な意図」を,弁護人としては嗅ぎ取らざるを得ない。被疑者逮捕と同時に,広域協組を含む30数か所に対し大規模な捜索が行われたとのことであるが,これは弁護人の上記懸念をより強くさせる。
 本件逮捕・勾留は,連帯労組の労働運動,広域協組に結集した弱小事業者の運動及びこれらの共闘関係を一挙に打ち砕く意図に出たものであり,強要未遂や威力業務妨害はその方便にすぎない。

六 結論
 以上より,本件各被疑者について勾留をする理由も必要もないことは明らかであり,原決定は取り消されるべきである。

以上

 

弁護士による意見書2

平成17年1月21日

被疑者 武 建一 弁護人  里見 和夫
菊池 逸雄
被疑者 福嶋  聡 弁護人  森  博行
被疑者 武谷新吾 弁護人 位田   浩
被疑者 片山好史 弁護人 中島 光孝

 罪証隠滅の虞れについて補足する。
 被疑事実摘示の行為は,正当な労働組合活動の一環としてなされたものであって,違法性もなければ罪証隠滅の虞れ即ち被疑者らが自らが行った組合活動を隠蔽する理由もない。
 何故このことを強調しなければならないかと言えば,捜査側の提出証拠が,その信憑性は一先ず措いても,大阪広域生コンクリート協同組合を解体若しくは無力化しようというゼネコンやセメント資本の意向を代弁する立場に立って収集・作成されたものだからである。
 本件全体の本質は生コンの品質・価格問題である。阪神大震災は粗悪な生コンが如何に大きな被害をもたらすかを証明した。また現存するマンションについても粗悪な生コン,シャブコンなどにより耐久性・耐震性が危ぶまれるマンションは決して少なくない。
 シャブコンについて言えば,阪神大震災後はさすがに影を潜めていたが,長引く建設業界の不況を背景にして,ここ数年,シャブコン使用が目につくようになってきており,厳重な注意が必要になってきている。
 実際に,本件に登場する大谷生コンもシャブコンを使用し,関生支部が摘発したことがあった。
 生コンの品質を適正に保つことが困難な大きな理由は,建設工期であり,生コンのダンピング競争である。即ち圧倒的に中小企業が多い生コン業界では,工期,価格において発注元であるゼネコンに過当競争を強いられ,それが生コンの品質悪化・労働条件の悪化を招いていたのである。
 生コン業界において適正な品質,適正な価格を実現しようとすれば,中小企業が協同組合に結集するよりほかにない。
 ここに協同組合加盟企業(イン)と非加盟企業(アウト)の問題が生ずることになった。
 非加盟企業社(アウト社)は,ゼネコンの企図する生コン適正価格破壊に協力し,セメント資本相互間のシェア争いによって仕入が有利になっている。
 しかし,アウト社がこのような漁夫の利を得るのは,協同組合が解体,無力化するまでの間であって,協組が解体,無力化した後には,生コンの過酷なダンピング競争に巻き込まれるのである。
 大阪広域生コンクリート協同組合は,生コン製造企業を組合員とする協同組合であって,使用者団体である。大阪広域生コンクリート協同組合に加盟する企業の労働者の労働組合別の組織率をみても,関生支部の組織率は,第3位に過ぎないから,協組加盟企業が増えることが関生支部に有利というわけでもない。
 そうであるにも拘わらず,関生支部が,協組加盟要請行動を行っていたのは,協組の健全な存続が全生コン産業労働者にとって必須であると認識していたからである。
 協組の成立と解体・ダンピング競争と生コンの品質悪化は過去数十年,生コン業界が繰り返して来た歴史だったのである。
 冒頭,被疑者らの行為は正当な組合活動であって,被疑者らに罪証隠滅の虞れがないと述べたのは,このことからである。
 生コン業界の歴史的経験,不況を背景とした建設業界の今日の客観情勢を踏まえて,正当な労働組合活動として行ったものだからである。

以 上

 

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