|
||||||||||||||||||||||||
近畿生コン関連団体の労使14組織は8月27日~29日、東日本大震災の津波による影響で壊滅的な打撃を受けた宮城県南三陸町を訪問しました。同団体らが一斉に被災地を訪問するのはこれで3度目となりますが、すでに南三陸町に〝近畿地区生コン関連団体東日本大震災対策センター〟を立ち上げ、常時3~4名のボランティアを派遣し、支援活動に取り組んでいます(連帯ユニオンでは仙台にもう一カ所設置)。 |
||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||
<地元の大学教授と懇談> 8月27日、一行は仙台市のホテルで『みやぎ建設総合センター』の副理事長兼センター所長であり東北大学名誉教授でもある大内秀明氏と、東北大学大学院教授の増田聡氏と懇談しました。 この懇談の中で、グリーンコンクリート研究センター・スーパーアドバイザーの小野先生から、「今回の震災を教訓とした復興プロジェクト案や原発事故を未然に防ぐ対策」、「放射性汚泥を安全に格納する方法や都市における津波高波対策などの提案」と、「ものづくりの大切さ」という観点から人材育成の面もあわせて提案されました。たまたま小野先生の教え子さんが東北大学で教授をされているということで、今後も互いに連絡を取りあい協力しあうとのことです。 同じくスーパーアドバイザーの玉井先生からは、「地球環境に配慮したポーラスコンクリートを活用しての沿岸部整備や漁場の育成」、「河川護岸や道路脇の緑化、透水性・排水性に富んだコンクリート舗装」などの提案をされ、これらを「震災で発生したコンクリートガラを再利用してコストの低減と環境への配慮」を同時に追求して、今後目指すべき低炭素社会と生物多様性をあわせての復興案を語っておられました。 過去の災害時での復興経過を振り返ると、本来あるべき地元主導による復興事業がなされているとは言い切れません。私たちは、「被災地と被災者の意見」が充分に反映されるような復興事業と、ポーラスコンクリートを活用して環境に充分配慮した復旧復興工事が必要だと提案をしました。
<志津川高校避難所「お別れ会」に力士参加、全員で黙祷> 懇談会の後、一行は志津川高校避難所の「お別れ会」に参加するために南三陸町に移動しました。 この間、近畿生コン関連団体が派遣したボランティアスタッフが主に支援活動の拠点としていた志津川高校が、その役目を終えて避難所としては閉鎖(被災者の方々が仮設住宅等に移る)されるため「お別れ会」が催されるのです。 「お別れ会」の冒頭、全国から集まったボランティアスタッフや被災者の方々と共に震災犠牲者に黙祷を捧げました。翌日に行われる『福興市』に参加して「ちゃんこ」をふるまう予定の大相撲・尾上部屋力士も参加したことで、参加者一同笑顔になり会場が一気に明るくなりました。 <対策センターを支援してくださっている方々と交流会> 志津川高校でのお別れ会の後、一行は団体の震災対策センターが設置されている南三陸町入谷(いりや)を訪れ、この間センターの活動に理解と支援をしてくださっている『海の市物産組合』代表の松野さん宅で、地域の方々との交流会に参加しました。 松野さんから冒頭、「辛く、しんどくても、前を向いて進んで行くことが復興への道であり、皆さん(我々)には復興を見届けるまで居て欲しい」との言葉をいただきました。 連帯ユニオン関西地区生コン支部の武委員長は、「私たちの代表として関西からボランティアに来ているスタッフを、暖かく迎え入れていただき感謝しています。日頃、皆さん(現地の方々)にお世話になっていることに対して、あらためてこの場で感謝したいと思います」と謝辞を述べ、「私たちは復興が完了するまで見届けたい」と決意表明がなされました。 私たちは今後の復興支援に役立てるよう、被災者の方々の声を直に聞きつつ、地域の方々と交流を図りました。 この交流会にも〝明るい〟尾上部屋力士たちが参加していましたので、地域の皆さんに元気を分け与えてくれたと思います。 |
||||||||||||||||||||||||
<『福興市』にたくさんの笑顔> 8月28日、南三陸町の復興に向けて毎月最終日曜日に開催され、今回で5回目の開催となる『福興市』に参加しました。 (財)日本相撲協会の協力で大関・把瑠都ら迫力満点の尾上部屋力士が参加。「ちゃんこ」1千食を1杯100円で販売、売り上げはすべて同地復興のカンパに寄付されました。 連帯ユニオン提供ラジオ番組、ラジオ関西『森脇健児の遊・わ~く・ウィークリー』から、番組を代表してKYOHEY君が『福興市』に参加。KYOHEY君は前日、地元の臨時災害コミュニティーFM「FMみなさん」(ベイサイドアリーナの廊下の一角に常設)にゲスト出演してきました。 KYOHEY君の取材の模様は後日番組で放送されました。 番組レポート>>こちら 全国各地の名物品から、宮城県の特産物、地元業者の名産品などの販売、またトラックの荷台を利用したステージでは、和太鼓や舞踊、志津川中学の吹奏楽部の皆さんによる演奏などが行われ、会場にはたくさんの笑顔があふれていました。 >>南三陸町で開催されている福興市の詳しい情報は福興市公式ホームページをご覧ください。
|
||||||||||||||||||||||||
<地元生コン関連業者と懇談> 8月29日、宮城県大崎生コンクリート協同組合の石ヶ森信幸氏((株)仙北生コン代表取締役)、南三陸町の(株)高野コンクリート代表取締役髙野剛氏と懇談。この懇談でも27日の大学教授らとの懇談内容と同じような提案をこちらからさせていただきました。 石ヶ森氏と髙野氏からは、「職員が多数亡くなり、日々の業務に追われている状況。県と国を今後どう動かしていくのかが課題」、「全国生コンクリート工業組合連合会(全生連)として、国に働きかけてほしい。 全国で唯一、宮城県はアウト社に対して○適マークを与えていない。受付の時点で拒否をしている。しかしながら宮城県ではアウト、インも同等の扱いである。そういった事もあり宮城県と協同組合に若干温度差がある」、「復興の生コン需要については、宮城県よりも岩手県の方が需要はある」、「宮城県知事は、高台移転の方向性を出している。南三陸町で地盤が約75㎝下がっている。今後、道路と鉄道によって震災から町を守ろうと考えている」、「建物(住居)も含めて建設するには規制がかかっている。仮設住宅の場合は許可がいらないが、本建物については許可が出ない」などの問題点を話されました。 私たちから、「小野・玉井両先生の提案を生かせるよう地元生コン業界も頑張って欲しい。現在の全生連会長は岩手県出身なので被災地の現状も気になるはず。私たちも全生連へ要請をする」と話しました。27日の建設業界を代表する東北大学2名の先生方との懇談を説明したことにより、さらに我々の考えを理解してくださったと思われます。 |
||||||||||||||||||||||||
<早期復興と防災について> 今回、私たちが滞在した期間で学んだこと、知り得たことのひとつに、行政が「町作りの青写真をしっかり描けていないのではないか?」ということがあります。被災者は建物を建てるにも規制がかかっており、〝早期復興〟に足かせとなっている部分も否めません。未だ混乱の渦中ではありますが、政府も含めて住民本位の復興に努力をしていただきたいと思いました。 グリーンコンクリート研究センター・スーパーアドバイザーの小野・玉井両先生は「川幅を広くして堤防を高くする」、「土舗装やポーラスなど植物の生えるコンクリートを利用して景観を保つ」、「道路を高架にして災害時にはそこへ非難する」などの防災案を東北だけでなく、「関西でも行うべき」と仰っています。 <住民本位の町おこし> 「住民本位の町おこし」をするために、自治体と首長との充分な対話が必要です。しかし、仮設住宅に入ると周辺住民がバラバラになってしまい、元々の町の自治機能が破壊されがちです。住民の自治機能を回復するものとして「『共同センター』のようなものを作りたい」との声を、地元の方々との交流で聞きました。とても良い案で、私たちも何か協力できればと思います。 <国政、行政への要請行動も課題を明確に、出来るだけ早く> 私たち近畿生コン関連団体の労使が取り組んだ国交省や経産省への要請行動の際、「復興事業には地元中小企業を優先的に(4月22日)」と申し入れたこと。同じく7月20日の要請行動の際には、東日本大震災の復旧復興について「政府調達における中小企業向けの比率目標は56.2%」との経産省目標『中小企業調達の数値』には疑問を呈したこと(我が国の大企業と中小企業との比率を考えれば80%でも少ない)。これら国政、行政への要請行動も課題を明確にして頻繁に、出来るだけ早く取り組まないといけないと感じました。 |
||||||||||||||||||||||||
<互いに協力して復興へ> まだまだ上記に挙げたように課題も多く、私たちの目に入らない、聞こえてこないことも沢山あると思われます。しかし今回、私たちの第三次東北訪問に尾上部屋力士やラジオ関西が同行してくださったことも手伝い、さらに地元の方々との交流が深まりました。お互いの関係がより密接なものになったことで、さらに多くの支援活動がこれからも出来ると思います。 私たち近畿生コン関連団体の労使は阪神大震災を経験(特に神戸地域)しているので、地震災害(南三陸は津波被害が酷かったが)の悲惨さは人ごとではありません。また、私たちの団体は労働組合や協同組合に結集した労働者や中小企業の集まりですから、社会的弱者本位や地元密着型の復興を望みます。今後とも被災地の方々と手を取り合い、早期復興に向けての対策を支援し、ボランティア活動にも力を入れて、少しでも地元の方々のお力になれればと思っています。
|
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部
〒550-0021 大阪市西区川口2-4-28
TEL06-6583-5546 FAX06-6582-6547
E-mail web@rentai-union.com
個人情報の取り扱いについて 及び プライバシーポリシー