近畿地方本部・３支部合同２０１０春闘幹部学習会

連帯ユニオン近畿地方本部は２月２７日、「近畿地方本部３支部合同２０１０春闘幹部学習会」を生コン会館で開催した。

冒頭司会の高副委員長から、「１０春闘がスタートする。本年は、セメント・生コン業界にとって業界再建を図れるのか、それとも崩壊するのかの分水嶺に立っている。いまこそ、産業政策運動と１０春闘を結合させ、１２項目の実現にむけ旺盛に取り組もう」と挨拶。

さっそく、関西地区生コン支部武建一執行委員長から「２０１０春闘情勢と闘い方」について講演を受けた。
武委員長は最初に、１０春闘について６つの課題を提案。
第１に、０９春闘の成果を振り返ることである。昨年経営側は、１００年に一度の危機だと煽っていた。これは、これまで大もうけしてきた大企業や米国支配層が自分たちの利益を確保し国民を欺くために経済危機を利用したのである。昨年セメントメーカーはトン当たり３，０００円値上げを目論んでいたが、失敗に終わった。０５年の権力弾圧以降３回もセメント値上げを一方的に行ってきた。０９年は、中小企業も一緒に値上げを阻止できたことである。
生コンの販売価格が下がっているのにセメントだけが値上げするのは、中小企業の経営を圧迫することになる。これからが生コン個別に値上げ交渉はしない。各協組を窓口にして交渉するよう求めている。これ以上の値上げを強行すれば、大企業の優先的地位を利用したこととなり、独禁法に抵触することになる。
近畿の生コン工業組合や協同組合の役員人事にメーカーの影響を排し介入を許さない取り組みを進めたこと。建交労とＵＩゼンセンと決別して３労組（生コン産労、全港湾大阪支部、連帯関生支部）を中心に生コン政策協議会として０９春闘集団交渉を行い、賃上げ１５，０００円など多くの成果を勝ち取ったこと。

第２に、時代状況をどうみるのかである。現在の資本主義は帝国主義となり高度に発達した時代に入った。地球が誕生して４６億年、人類が文化をもち始めて２万年余りで一番永く続いたのが弥生や縄文時代の共同社会だった。現在の資本主義が始まって１５０年足らず、金融資本の発達、株式の発行、複式簿記など封建時代に比べて生産力が飛躍的に発達してきた。
しかしこのシステムも機能しなくなってきたのが、今日の時代だ。冨と貧困の格差拡大し、０８年リーマンショックによる金融危機（倒産＝恐慌）で人権の破壊と経済の疲弊が加速された。リーマンショックで１４００兆円の資産を失った。（日本経済の３年分がパーになった）　株式の暴落＝信用不安の拡大。当時のＹｏ財務大臣は「日本は蚊に刺された程度だ」と発言していたが、実際は大企業製造業を中心に非正規労働者の大量首切りや倒産の続出で深刻な経済危機が日本を襲った。
市場原理主義＝グローバリズム（新自由主義）ですべての産業で競争をさせた。（弱肉強食）年収２００万円以下の低賃金層の増大と１億円以上の資産を形成する富裕層の拡大で貧富の差が２極化する。
これからは、格差拡大社会から共生・共同（協働）社会づくりと民主主義の徹底を促進させなければならない。

第３に、闘いの歴史に学ぶことである。９２年に３労組が結集して生コン政策協議会が結成される。同時に生コン業界の再建の取り組みが始まる。大阪府下の生コン協同組合が合同して「大阪広域生コン協組」が発足する。９４年には、春闘で週休２日制（年間１２５日）の実現で一日あたりの稼働率を引き上げる。
１０春闘では、中小企業に働くセメント・生コン労働者への雇用福祉基金の創設を実現して、会社が倒産しても業界全体で雇用を確保し保障できる制度を確立していく。

第４に、セメント・生コンの情勢認識である。１０年は、セメント国内消費量が１０年前の８，８００万トンから半分以下の３，８００万トンまで減少する。すでに太平洋セメントは生産量の３割カットのため主力３工場の生産中止を決定した。生コンも１０年前の２億?から３分の１の８，０００万?まで減少、全国生コン工組が本年３月から全国で１２００工場を閉鎖することを発表し、この大阪兵庫だけでも３０工場が閉鎖する。
大阪兵庫では、１６年前の１，０００万?から５２０万?まで減少し、これを大阪広域協組が２９０万?、阪神協組が１６２万?、アウトが７０万?と互いに棲み分けして販売する。
この出荷量で経営維持するには、政策淘汰（生コン工場の共同廃棄）の促進で広域協組２６工場、阪神協組４工場、合計３０工場を廃棄していく。当然、出入り業者（セメント、骨材、混和剤など）の権益も保障させていかなければならない。それには、４月１日実施の生コン１８，０００円／?を出荷ベースで実現することである。これには、協同組合が自立自尊の精神に基づき取り組むことである。そのためには、１２項目の政策合意の促進と実現である。
そしてセメント値上げは、各協同組合を通じて行われること。そして、生コン原価の公表も必要であり、適正な価格をめざすことである。
労働組合と敵対する工組・協組役員は直ちに辞任すること。セメントの共同購入の実現などを進めていく。
産業政策の実現をめざして「社会政策研究会」の発展で、社会に必要な建設資材など資本の投資を促していくこと。コンクリートの必要性を訴えていくこと。

第５に、産業別最低賃金制度の確立で、年間６００万円を維持させること。傾斜賃金から横断的賃金制度の確立をはかる。２つめに産業別雇用保障制度の確立をさせる。３つめに産業別福祉制度の確立させる。４つめに生コン傭車運賃の適正化を図っていく。５つめに中小企業の経営を安定させるため、生コン販売価格を維持させる。

第６に、セメントの輸送運賃の引き上げである。

１０春闘は、共通の目標をきっちり確認して共に闘っていくこと。敵の攻撃は団結を高める。資本の都合のよい制度の中で進むのではなく、敵の攻撃には電撃的に反撃していくことである。
と武委員長は語った。


ヘリ基地反対協議会・代表委員の安次富浩さん
「普天間基地閉鎖と辺野古新基地建設反対闘争」

憲法で保障された平和的生存権を求めて　
次に、ヘリ基地反対協議会・代表委員の安次富浩さんから「普天間基地閉鎖と辺野古新基地建設反対闘争」について講演を受けた。

以下、安次さんの講演より
最初に、沖縄は憲法で保障された平和的生存権を求めている。ところが在日米軍の専用施設が７５％も沖縄に集中。東京都面積の２０％に米軍基地が占有している。自公政権は、沖縄を軍事基地との「共存・共生」を押しつけてきた。
辺野古の闘う大義は①平和、②環境、③財政の３つである。

①の平和は、そもそも旧日本軍が存在しなかった平和な島であったこと。１９４４年に本土決戦の持久戦のために旧日本軍が土地の接収を行い、沖縄戦終了と同時に米軍が占拠した。
普天間の土地は、１９４５年住民が捕虜収容所にいる間に米軍が接収＝土地の強奪を行ったのである。住民が居ない間に農地や住宅をブルトーザーで整地して略奪した。

②の環境は、生物多様性豊かな美ら海。（大浦湾）ジュゴン、ウミガメ、アオサンゴ群落で、とくにジュゴンは北限の棲息地で絶滅危惧種となっている。辺野古地域の海岸はウミガメの産卵地である。大浦湾は海底が深くアオサンゴなど希少価値のサンゴが群生している。
辺野古沖を埋め立てると生態系が破壊される。

③の財政は、日本が新基地建設で３５００億円の見積もり。グアム移転協定で７０００億円の負担。世界に突出する思いやり予算。思いやり予算では全体の７５％を負担している。
７８年以降、総額５兆６千億円の思いやり予算だ。　　
米軍は、北部演習場の中に４カ所のヘリポートを建設しようとしていて、これに反対する住民が工事車両の通行妨害をしたとして代表２人を告訴して、私たちは前政権が行ったことなので撤回をするよう要求している。 当初予算３５００億円で見積もっているが、実際には１兆円を超えることが予想され、全額国税が投入されるのである。また辺野古の新基地Ｖ字滑走路を２本作って住宅地を飛ばないようにするとなっているが実際には住宅地の上空を飛ぶことになっている。

Ｖ字型滑走路を埋め立てるために、県内の土砂では足らないので県外から２１００万トンももってくることになっているが、著しい自然環境破壊をもたらすことになる。
現在米軍が使用しているＣＨヘリは５０年も経っているので老朽化している。そのため新たに次世代兵員輸送機ＭＶ－２２オスプレイ（米海兵隊・新型垂直離着陸機）が配備される模様である。滑走路と同時に２００メートルの岸壁（埠頭）建設で大型軍艦船が直接着岸できるようになる。弾薬もヘリも直接積み込みが可能になる。
米国公文書で沖縄返還時に核持ち込みなどの密約がされていたことが発覚し、非核三原則自体があいまいにされている。国民には非核三原則を堅持すると約束しながら、実際には米軍艦船による核持ち込みが容認されていたことである。
民主党連立政権に替わって、今年２月の名護市長選挙で勝利し、辺野古新基地建設計画を中止に追い込む展望が切り開かれた。しかし、首相、官房長官、外務大臣、防衛大臣は、県外移設に難色を示しキャンプシュワブ内に５００メートル滑走路を建設する計画を示唆したり、ホワイトビーチ沖に１８００メートル滑走路の新基地建設計画や九州の自衛隊基地を共用するような案が次々に出ている。どれも県民感情を逆撫でる内容であり到底容認できない。
私たちは、普天間基地の即時閉鎖すること、県内での新基地建設反対であり、米海兵隊は本国に帰るべきだと主張している。この大阪からも支援していただいていることに感謝申し上げ、普天間基地返還と県内新基地建設を断念させるまで奮闘する。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

沖縄の痛みを全ての人びとの痛みとして、みんなで受けとめよう！
「普天間即時閉鎖、辺野古（海・陸）やめろ、海兵隊いらない」緊急意見広告
沖縄在留米軍基地の移設問題がクローズアップされる昨今、この問題に関する沖縄県民の民意をくみ取り、「沖縄の痛みは全国民の痛み」と受け止めて『緊急に〝意見広告〟を発信する』と、各界著名人が『沖縄・緊急意見広告運動』発起人として名乗りを挙げました。
この運動は「日米安保の見直し」や、「軍事力に頼らない平和構想の実現を目指す」などの趣意書の趣旨にそった内容の意見広告を国内大手新聞に掲載（５月中）することを目的にしています。

日刊ベリタ／協力ホームページ ：http://www2.nikkanberita.com/okinawaiken/

発起人は以下の通り（アイウエオ順）
『沖縄・緊急意見広告運動』発起人
安次富浩（名護・ヘリ基地反対協議会協同代表）
上原成信（沖縄・一坪反戦地主）
大野和興（脱ＷＴＯ・ＦＴＡ草の根キャンペーン事務局長、日刊ベリタ代表）
尾形　憲（法政大学名誉教授）
武　建一（連帯労組関西地区生コン支部執行委員長、中小企業組合総合研究所代表）
本山美彦（京都大学名誉教授、「変革のアソシエ」共同代表）
山内徳信（参議院議員）

『沖縄・緊急意見広告運動』では新聞意見広告掲載を目指し、幅広く趣意に賛同する仲間を求めるため『趣意書』を作成。「わたしたちの発意」と題する趣意書の呼びかけ文を作成しました。