私たちは6月4日に大阪府警公安第3課が、「道路運送法違反」なる容疑で私たちの仲間を不当逮捕し、市民運動活動家や活動拠点など十数カ所の強制捜査を行ったことに強く抗議します。
逮捕された仲間たちは去る16日と17日に、勾留延長に対する準抗告が認められ、釈放されました。 勾留延長に対する準抗告が認められたという事実は、今回の捜査と逮捕の不当性を裁判所も容認できなかったことを示しています。 しかし、私たちは大阪府警公安第3課ならびに西警察署が、言いがかりの容疑で市民運動活動家を逮捕し、13日間あるいは14日間にわたって勾留したこと、そして多数の人たちに事情聴取と称して、ありもしない違法行為に関する情報提供を求めることで有形無形の甚大な被害、苦痛、不便を強制したという事実について謝罪し、猛省し、二度と繰り返さないことを誓約するまで、この弾圧は終わっていないと考えます。 実際、今回の弾圧は周到に準備されたものであり、逮捕・強制捜査のタイミングやメディアへの発表の方法もきわめて意図的であったことが明白です。 しかも、3人の身体が解放された現時点でも、不起訴、捜査の終結を決定するのではなく、処分保留という不安な状態を継続し、3人以外の人たちにも当局による事情聴取の圧力・恫喝が続いています。
そもそも今回の弾圧に使われた道路運送法とは、どんな法律なのでしょうか。 この法律の目的は、その第一条に次のように書かれています。 「この法律は、・・・道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとし、・・・輸送の安全を確保し、道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るとともに、道路運送の総合的な発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とする」とあります。ところが今回の被疑事実は、無許可での営利事業とされています。 同法の第四条によると「一般旅客自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない」となっています。 明らかに継続的な事業としての運行を対象としているのであり、市民団体や、地域、友人などの間でのデモ・集会への参加や、レクリエーション・文化活動などを対象しているものでないことは、法律の執行を職務とする警察官であれば、わかっているはずです。
法治国家でこんなことがあってよいのでしょうか? 米軍Xバンドレーダー基地に抗議する政治的意思を表明するための活動でなかったら、長年にわたって反戦平和を訴えてきた市民団体でなかったら、あるいは政治団体の活動家とされる人たちでなかったら、こんな不当な扱いを受けることがありえたでしょうか? 近年、この法律の適用が厳格化されていると聞きますが、それは無法な労働条件を競う悪質業者によって引き起こされた重大事故が頻発していることに対する社会的関心の高まりを反映したものと考えられます。 今回の弾圧は、そのような悪質業者にこそ向けられるべき規制を、政治的表現の自由を奪うという目的に悪用しているという点でも許しがたいものです。
安倍政権の下での日米同盟の強化・戦争法案の強行、辺野古基地建設、原発再稼働に対する人々の抗議の声が広がっている中で、各地で同様の不当な逮捕が相次いでいます。 今回の件を含めて、その多くは全くの言いがかりです。 原発事故などの大罪は起訴すらされず、警察官による不法な弾圧は野放しで、一方、政府の政策を批判する仲間たちが、数カ月も前の何の違法性もない行為を理由に突然逮捕される、あるいは強制捜査を受けるという恐怖の下で日常の生活を営まなければならないということが、常態化するならば、「法の下の平等」は死語となります。 それだけではなく私たちの怒りは、行政機関の暴走を止めるべき裁判所が警察・検察の言いなりに令状を乱発していること、そして権力をチェックすべきメディアが特ダネ欲しさに警察の広報機関としての役割を果たしてきたことにも向ける必要があると考えます。 自由な言論や政治的意思表示がこれほど重要になっている時代において、前時代的な警察国家への道に通じる今回の弾圧を、全国の多くの人々が憂慮しています。
私たちは大阪府警公安第3課ならびに西警察署に対して次のことを要求します。 一)今回の弾圧が不当であったことを認め、謝罪し、二度と繰り返さないことを約束せよ 二)事情聴取等の捜査活動を直ちに中止せよ
2015年6月20日
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