政府・与党の農協改革案で焦点となっていた、全国農業協同組合中央会（ＪＡ全中）を頂点とする中央会制度については、新制度に移行する方針を固めたことが分かった。

地域農協の独自経営を制約しないよう、指導権限を持つ全国農業協同組合中央会（ＪＡ全中）の廃止は見送ったものの、「中央からの指導に基づくものではなく、地域の農協が独自性を発揮できるよう抜本的に見直す」として権限を縮小し新たな制度へ移行するよう求めた。

ただ、新制度はＪＡグループの議論も踏まえて決める見込みで、看板の掛け替えに終わる可能性もある。また、全国農業協同組合連合会（ＪＡ全農）の株式会社化も検討課題とした。

農地を所有できる農業生産法人への企業の出資規制も緩和する。

農地を所有できる農業生産法人への企業の出資規制の緩和や農業委員の選挙廃止など、環太平洋連携協定（ＴＰＰ）をにらんで、大規模化・企業化に向けて国内農業の再編を行おうとしている。

この改革案には「農協の事業を分割して、不効率な事業部門は切り捨てよ」という考えが基底にあり、その上で、アメリカ資本に売り渡そうとの狙いがある。

これは、改革案ではなく農協潰しであり、協同組合の全面否定である。日本は協同組合を認めない国になってしまう。

この改革案が通れば、生コン産業においても、阪神地区生コン協同組合や近畿生コン輸送協同組合、近畿バラセメント輸送協同組合など協同組合が潰されることになり、競争社会と変化していく恐れがある。

この問題は農協の問題だけでなく、全国のあらゆる産業での協同組合の問題であると捉えるべきである。

 

（くさり７月号より）