原判決は、本当にひどいものであった。 原判決は、労働組合が争議行為として、関西宇部に対する抗議・要請行動を行ったことについて、被告人らが集団でまとまって統制のとれた行動を行ったこと自体が「威力」にあたるとし、従って、被告人らの行動は、当該行動の目的の正当性を検討するまでもなく、法秩序全体の見地から許容されないものであるとして、被告人ら全員に対し、有罪を言渡した。 本件は、関西宇部が09年春闘を誠実に解決する姿勢を見せず、また同社が主導権を握っている(平たく言えば、牛耳っている)大阪広域協組が関生支部ら3労組との協定を守らない会員社の対応を放置し、その結果、協同組合システムそのものが崩壊しかねない現実的危険がある中で、その崩壊を食い止めるために関生支部が行った極めて正当な目的を持った争議行為であった。 ところが、原判決は、本件が労働者の雇用確保、労働条件の維持・向上等、即ち、まさに労働者にとって死活問題である生コンの適正価格の確保、品質保証、安全供給体制の確立による生コン業界の安定を求める労働運動であることを意図的に無視し、行動の目的の正当性を判断するまでもなく違法であるという驚くべき暴論により、憲法28条(団結権・団体行動権)、刑法35条(正当行為・刑事免責)、労働組合法8条(正当行為、民事免責)の適用をいずれも否定した。 被告・弁護側は、高裁の審理において、原判決の数々の事実誤認、行動の目的の正当性を検討することなく被告人らの行動を違法と判断した法令適用の誤りなど許し難い暴論を分かりやすく、ていねいに指摘し、原判決を破棄し、被告人ら全員に無罪を言渡すよう求めた。 これに対し、高裁判決は、さすがに、余りにもお粗末な事実誤認・法令適用の誤りを犯している原判決をそのまま認めることはできなかったようで、被告・弁護側が指摘した原判決の事実誤認のいくつかを認め、かつ、行動の目的の正当性を検討することなく被告人らの行動を違法とした原判決の法令適用の誤りに関する主張については、理由があるとして、あらためて、被告人らの本件行動の目的の正当性を高裁自身が検討するに至ったが、結局、あれこれの見苦しい弁明を重ねた末に、原判決の暴論を追認した。 我々は、この許し難い高裁判決を弾劾するものであるが、原判決を追認するため、まるでパッチワークのように原判決をつぎはぎしなければならないところまで高裁を追い込んだのは、この間、刑事弾圧に屈することなく、労働現場での闘いや公判闘争などに全力を挙げて取り組んできた関生支部の組合員、支援者の行動の積み重ねの成果であることをあらためて確認しておきたい。 以上
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