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東日本大震災での福島原発事故は、最大の人災として現在も被害を拡大しており、国家が進めてきた「安全な原子力発電」が全くの嘘であった事が、今回の震災によって明らかになった。これまでの政府が「国民の安全」よりも危険な原発政策を優先した背景をしっかりと認識し、この問題を環境や安全面だけでなく、社会構造という視点も含めた問題として捉える必要がある。「くさり」紙上で数回にわたりこの問題を提起し、組合員間で原発問題の討論を活発に取り組む事を訴える。 |
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<原発推進で利益を得たのは誰か?> 今回の震災は未曾有の被害をもたらしている。 さらに、その直後発生した福島原発事故は、復興事業を遅らせているだけでなく、地震・津波の被害を受けなかった原発周辺住民の多くを新たな被害者にし、長期にわたる避難生活を強いている。 国家が進めて来た「安全な原発」事業がまやかしである事が明らかになった。 なぜ政府は、ここまで危険な原発を推進してきたのだろうか。 1954年に初めて「原子力研究開発予算」が可決されているが、この予算を提出したのは後の総理大臣である当時一介の若手議員・中曽根康弘であり、原子力委員会初代委員長は、アメリカCIAのエージェントで暗号名「ポダム」と呼ばれた正力松太郎(58年より読売新聞社主に復帰)だった。正力は太平洋戦争時のA級戦犯容疑者(不起訴)である。 この両名はアメリカが進めていた原発の世界的拡散を日本で推し進め、アメリカ企業の利益代理人としての役割を果たした。 <原発推進のためのデマキャンペーン> 政府・電力会社は、原発について①低コスト、②低CO2、③石油の代替エネルギー、④原発は日本の電力の30数%をまかなっている等の宣伝キャンペーンを行い、国民をだましている。 ①原発の発電単価はキロワット時当たり9円、天然ガスもキロワット時当たり9円、石油火力はキロワット時当たり10円、水力は13円となっており、天然ガス・火力とほぼ同じ単価だ。しかし、この原発の単価算出には、大きなごまかしがある。原発の単価算出に高レベル放射性廃棄物の処理費用や寿命の尽きた原子炉解体の費用等は含まれていない。これらには莫大な費用がかかっているのに「算出根拠が決まっていない」として発電単価に含めていなのである。現に日本の電気料金は世界一高い。 ②原発は低CO2と宣伝されているが、CO2の排出なしにウランは電力に変わらない。ウラン鉱山での採掘、精錬、輸送、これらの作業には全て石油が必要である。さらに原発そのものが使うあらゆる機器・部品・送電ケーブル・廃棄物の固化に使われるアスファルト等に石油が使われており、大量のCO2が原発を稼働するために排出されている。 ③1970年代当時「石油は後30年で枯渇する」等のキャンペーンによって原発は石油の代替エネルギーとしてマスコミも盛んに書き立てていた。このキャンペーンによって大半の人々は「原発は必要」と考えるようになった。当時から40年が経過した今も石油は世界各国の主要エネルギーとして使われている。 ④現在55基の原発が建設される一方で、火力発電所・水力発電所等の廃棄が進められている。また原発は機能的に稼働すれば簡単に止められない。水力・火力は稼働・停止が容易である事から、一日の電力需要において原発をフル稼働させ、残りの電力需要を水力・火力発電で補う運営をしている。つまり火力・水力発電所の大半は休ませているのが現状だ。 <反原発の国民運動を展開するために> 原発に関する嘘・ごまかしは他にも多くある。特に当時の自民党政権による原発推進を巡る利権に群がる「原発族議員」がこのキャンペーンの先導役を果たした事を見逃してはいけない。 福島原発事故が私たちに示しているのは、原発がいかに危険で、「人類と共存できない代物」であるかということである。 生コン支部の組合員には、多くの人々が反原発運動に参加できるようこの問題に対する認識を深め、その運動の牽引役を果たす事が求められている。(くさり5月号6面より) |
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利益優先が起こした原発事故利益優先が起こした原発事故 <北大阪A・市内・東ブロック合同学習会> 4月22日、生コン会館で北A・市内・東大阪ブロック合同「原発」学習会が行なわれた。 今、私たちは東日本大震災の被災者支援や安心・安全への対策に組織全体で取り組んでいるが、震災後にさらなる災害を巻き起こしている原発の廃止も重要課題としている。 学習会は、「美浜の会」の橋本拓氏を講師に招いて行なわれた。プロジェクターを使って「地震後の関電の原発などの状況について」を専門的かつ丁寧で分かりやすく説明され、受講者を引きつけた。 <指摘されてきた危険性> 今回の事故を「想定外」だと言い逃れできない。①津波の危険性②原発震災の可能性③電源喪失の危険性④使用済み燃料プールの危険性⑤老朽炉の問題は全て指摘され続けてきたことだからだ。それを無視して利益優先で原発を動かしてきた。さらに現在も事故は継続中であり、収束の目途が立っていない。そんな中、マスコミ総動員で事故を小さく見せようとしている。 <責任追及と真実暴露を> 国や東電に対し、怒りと事故についての責任追及が必要だ。そうでなければ国民は全ての犠牲を強いられ続けてしまう。私たちが社会全体に放射能汚染の恐ろしさや労働者被ばく、住民被ばくを強いられている真実、そしてそれをごまかそうとしている理由を暴露していかなければならない。 合同学習会はあちこちから質問が飛び交い、原発廃止の活動の輪を広げる上で有意義なものとなった。(くさり5月号6面より) |
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第2、第3の原発震災を防ぐために各地で「反原発」の声上がる! 4月17日、東電は「事故収束に6~9ヶ月」などとする事故処理の「工程表」を発表。しかしそれは形だけのものに過ぎず、事故収束の道筋は見えない。そんな中、日本各地で「危険な原発はもういらない!」と多くの人々が声を上げ始めた。 <ノーモアチェルノブイリ関西の集い(4/10)> 『ストップ・ザ・もんじゅ』ほか関西の市民団体、労働組合は4月10日、原発問題を長く追及している広瀬隆さんを招き『ノーモアチェルノブイリ関西のつどい~チェルノブイリ原発事故から25年~』を開催した。連帯ユニオンからは執行委員始め組合員10数名が参加。 この日の広瀬さんの講演では、原子力発電の仕組みから原発推進派御用学者の嘘まで幅広く説明された。 <原発いらん!関西行動(4/16)> 東日本大震災での福島原子力発電所の事故とその後の無責任な事故対応について抗議するため、4月16日、大阪市・中之島公園女神像前で『原発いらん!関西行動』集会が開かれ、集会後には3500人が御堂筋をデモ行進した。連帯ユニオンからは20数名が参加。関西の市民団体や労働組合が多数参加したほか、一般市民、学生たちの姿も多く見られた。 <変革のアソシエ緊急シンポジウム(4/16)> 4月16日、東京・明治大学で「変革のアソシエ緊急シンポ・いま日本で何が起こっているか―3・11大震災と福島原発事故を考える」が開催され、100名が参加。たんぽぽ舎・山崎久隆副代表は「今回の地震でできたひずみによって、福島原発や新潟・柏崎刈羽原発付近で大地震の可能性が高い。他でも大地震が予測される。一刻も早く全ての原発を止めるべき」と訴えた。 (くさり5月号6面より) シンポジウムの模様→ユーストリーム(動画) |
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