2月21日、協同会館アソシエにて2・21「協同組合運動の挑戦」対談集会(主催・中小企業組合総合研究所)が開催され、生コン関連業界労使など85名が参加。当日は、泉南生活協同組合・笠原優理事長と中小企業組合総合研究所・武建一代表理事が、自身の行なう事業・運動を熱弁。大きなヒントを与える講演に、参加者は熱心に耳を傾けた。 (オレンジコープとは泉南生協・和歌山生協・紀の国医療生協による連合組織。異業種生協による連携事業を推進する) <外注せず自らの事業に>【笠原】 大学卒業後に岬町生協へ(現・泉南生協)就職した。そこは生協とは「名ばかり」で共同浴場だった。釜場に配置され、同時に食料品の販売や配達をした。今では4,000世帯の組合員がいる。 岬町は高齢化の進んだ地域で、生協内部でも組合員が高齢化する。高齢の組合員は「夫が倒れたらどうしようもない」との問題に直面していた。そこで、和歌山市で紀の国医療生協をつくり、次いで入院できる診療所をつくった。その頃、和歌山市から声がかかり、市に代わりヘルパー派遣を開始した。 事業を始めてすぐ、ヘルパー派遣だけでは介護が不十分であることが判明。24時間体制で看護士・介護士が常駐する施設の必要性を感じた。それを具体化したのが介護付き住宅「みのり」。月々の費用は「年金の範囲内で最期まで」と決め、加えて入居一時金550万円をもらうことにした。 そこは「普通の家と一緒にする」と決めていた。一般的な介護付き住宅では内・外から鍵をかけ、お酒も飲めないしタバコも吸えない。「みのり」では入居者が自由に暮らしている。今、大阪・和歌山で4つの介護付き賃貸住宅を運営している。 <医療・介護・住宅から社会福祉法人へ広がる>
「みのり」は賃貸住宅、「ひまわり」は分譲マンションだ。どちらも価格によって変わるのは部屋の広さだけで、サービスは同じ。ここで受けられるサービスは、食事・介護・生活支援・医療の4つだ。介護の面では、ケアマネージャーが入居者の話を聞き、全ての窓口になっている。また、訪問介護支援事業所を併設。生活支援の面では、夜間でも最低2名が勤務し、緊急時に対応する。医療の面では、「ゴールドライフ」というネットワークをつくり医師とタイアップしている。 生協の資金だが、元々信用力がなく銀行からなかなか借りられなかった。そのとき、組合員の声で組合債を発行。今も一口10万円で一人500万円を限度に組合員からお金を借りている。 私たちはできるだけ外注をしない。生協が設計事務所を持ち、さらに社会福祉法人も設立して3施設を運営。約50人の障害者がそこでパンを焼いたり、野菜をカットしたりしている。それらは介護付き住宅の食事になる。さらに清掃などの仕事もする。 「オレンジコープ」のサイトhttp://orangecoop.jp/
<中小企業の自立求める>【武】 元々、日本に住む人々は農耕民族であり、長い間自然と共生してきた。戦後も、日本型経営として、年功序列賃金・終身雇用制度・企業内組合があった。しかし、それは狩猟民族である欧米の人々にとっては相容れないものだ。欧米の影響を受け、共同体が破壊された。こういう時代だからこそ、地域に根差した協同組合が求められる。 協同組合運動は上から押しつけられるものではなく、組合員のエネルギーを引き出し、経済・産業の民主化を実現するものだ。 本来、労組も同じ目的のために存在している。よって、直接的な経済闘争のみでなく、背後にいる大きな支配者と闘わなければならない。そのためには労働者の持つ潜在力を引き出していくことが重要だ。さらに、今阪神協が打ち出している5つの提起(①セメント値上げ反対②新技術開発③信用力の確保④組織の総合力発揮⑤労働者教育)をしっかりと受け止めることが必要である。 笠原氏の運動は「生活者主権」の確立がテーマになっている。中小企業の場合には上からの支配力が強い。これに対し、協同組合運動は中小企業が大企業から自立し、横につながるものだ。 今、世界は大きく転換している。資本主義は末期状態に陥っており、中南米に見られるように、「共生・協働」の方向に進んでいる。われわれはより一層、中小企業と一緒になって、仲間の痛みを分かち合う運動を展開しなければならない。 是非、今後泉南生協とも具体的な事業で連携したい。 ◇生コン支部機関誌「くさり」3月号より
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