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09春闘総括@(生コン支部機関誌「くさり」5月号より)
情勢を主導的に打開

■大手資本は昨今の歴史的大不況におびえ、雇用責任逃れに奔走(ほんそう)。自らの無策のつけを中小企業と労働者に犠牲転嫁している。こうした時代状況のなか、労働組合はいかに闘うべきか、例年に増してその真価が問われる春闘となった。
 生コン関連業界では、昨年まで11年間つづいた5労組共闘が分裂。明確に路線が異なる3労組(生コン産業労働組合・全港湾大阪支部・連帯労組関生支部)と2労組に分かれて闘い、路線の違いが勝敗を決めた。


      ▲09春闘第2回集団交渉の様子(3月16日・手前が労組側、奥は経営者側)


3労組 正しい情勢分析/勝敗決めた行動
 生コン関連業界における09春闘は、生コン需要減と大阪広域生コンクリート協同組合崩壊の危機に直面するなかで展開。連帯労組はじめ3労組は、「史上最悪の経済不況」と騒がれるなか、「苦しみの根源は大企業の収奪にある」ことを明確に指摘。闘う相手は弱り、相対的に私たちの力が強まっていると情勢分析し、中小企業と労働組合が大同団結して大企業の収奪に立ち向かうことを呼びかけた。
 3労組は、大企業にすりよることで自らの延命をはかる他2労組の方針の誤りを徹底批判。真に中小企業と労働者のために闘っているのはどちらかを示すため、関係労組の組合員および未組織労働者、そして専業各社に広報宣伝を徹底した。最終的に4月6日から13日までバラセメント600台、生コン500台で無期限ストライキに突入。その結果、セメント・圧送を含む生コン関連産業全体で産業政策運動が大きく前進。生コン業界再建に不可欠な専業主導の広域協改革の目途や、日々雇用・本勤ともに大幅賃上げなど数々の大きな成果を獲得して勝利した。
 3労組の勝利の要因は、情勢を正しく分析し、広域協再建の道筋を示し、交渉と行動によって実現に至らせたことにある。

2労組 企業内主義に埋没/闘わずただ乗り
 
他2労組幹部は、資本側の不況キャンペーンに乗じて「危機」と騒ぎたて、セメントメーカーなど生コン産業の背景資本にすりよって労使癒着。中小企業と労働者を自滅へ導く誤った方針を垂れ流した。
 具体的には、セメントメーカーによる広域協支配(人事・運営)を容認し、ゼネコンへの過剰サービスである土曜稼働と袋洗いの撤廃を約束した07・08春闘協定を自ら破棄。生コン業界を再び過当競争に陥れようとした。さらに、ワークシェアリングと称して日々雇用の就労を分割するなど実質的な賃下げにも踏み込んだ。


弾圧・運動つぶし/思惑はすべて失敗
 2労組は、大企業の収奪に苦しむ中小企業の経営者にも、雇用不安を抱く労働者にも展望を示せず孤立。セメントメーカーのスピーカー役として警察権力を利用し、生コン支部役員らを不当逮捕し、中小企業労使の大同団結を阻害しようとするセメントメーカーの先兵役を果たそうとしたが、その思惑はすべて失敗に終わった。
 業界再建の運動を妨害し混乱させた2労組だが、自らの方針の誤りを反省する様子はない。それどころか、3労組が弾圧を受け犠牲を払いながら果敢に闘って得た成果に、恥じらいもなくただ乗りする有様である。
 4月20日、セメント集団交渉妥結をもって、生コン・圧送(4/14)を含む関連業界すべての集団交渉が妥結。大幅賃上げをはじめ、産業政策運動が前進、多くの成果を勝ち取った。

日々雇用も本勤も大幅賃上げを獲得
 生コンでは、賃上げ15000円、日々雇用賃上げ1000円/日額、年間一時金および福利厚生資金は昨年実績、その他要求項目については小委員会で解決する。09年度年間休日(125日)カレンダーを確認。
 圧送では、賃上げ6500円、年間一時金55万円(昨年実績を5万円上回る)、福利厚生資金・大型30000円/台(5000円アップ)、労働災害補償3000万円(昨年1000万円)、労働者基金(将来の年金や退職金)の確立、共注共販へむけて協議する。最大の成果は、産業別統一労働条件の整備に関する労働側の要求に対して、経営者側から具体案が打ち出されたこと。実質的に2011年から産業別の最低賃金制度スタートを確認。どの車種・業務内容にかかわらず年収570万円。この統一労働条件の実現にむけて、協同組合による共注・共販体制を2010年からスタートすることを確認した。
 セメントでは、賃上げ10000円、年間一時金123万円及び福利厚生資金は昨年実績。賃上げの原資として、セメントメーカーに輸送運賃の引き上げを求めることを確認。日々雇用労働者の日額賃金についても経過をみて引き上げる前提。春闘の目玉は統一運賃と共同輸送。具体的には、8月1日の収受スタートにむけて、4月から8月までの間は周知期間とし、その後、共同輸送についても順次スタートさせていくことを確認した。また、共注共販にむけて、新たな組織運営がスタートした。今後の課題は、統一運賃を確立するために各企業への参画を呼びかけることである。

日々雇用・女性/集団交渉の場で堂々と発言
 
弱い立場の仲間の条件を引き上げてこそ、全体の雇用・労働条件の維持・改善をはかることができる。このことから、3労組の要求のなかには、日々雇用労働者と女性労働者の処遇改善に関する要求も多い。集団交渉の場では、当事者自らが声をあげて経営側の責任を問いただす光景が年々増えている。
 職場における弱者の日々雇用労働者や女性労働者が堂々と発言できる作風は、組織の主体的力量を高めている。

ゴールはスタート/誠実に約束履行を 
 関西の生コン関連業界では、専業各社と労働組合が主導する業界再建運動がスタートした。今後、セメントメーカーやゼネコンは、必ず巻き返しにでてくる。労使の約束を着実に実行させ、セメントメーカー主導の策動に対して反撃体制を準備する必要がある。そのためには、組合員が確信をもち、他・未組織に訴えて組織拡大強化を進め、情報を武器に、私たちの社会的影響力を高めることが肝要。直接の組織拡大はもちろんのこと、社会的意義のある闘いをしていることを広く広報することが重要である。
 また、大阪の生コン関連産業で獲得した成果が周辺地域に波及しはじめている。09春闘の終点は、働く者の視点から産業政策を立案し、産業育成に責任を負い、集団的労使関係を通じて推進する「産業政策運動」のさらなる拡大にむけたスタート地点でもある。

12項目の指針=広域協再建の道筋 
 値戻しの具体策や協組運営・人事の正常化を求めた12項目は、広域協組再建の道筋であり、ひいては2府4県の生コン業界の再建の指標となるもの。具体的に要約すると、@セメントメーカーによる広域協支配(セメント販売の手段)から脱却し、中小企業の自立性を確保Aゼネコン、セメントメーカーと中小企業の対等取引確立の方向性を明確にし、協同組合精神の原点に立ち返ったB協組運営の基本である「相互扶助」基づき、シェア決定を公平平等にしたC人事をはじめ、民主的な協組運営を確立したD消費者など社会的信頼を高め、生コン業界の地位向上につながる原価公表に踏み出したEアウト(協組未加盟社)とイン(協組加盟社)の大同団結の方向性を示した。

※4月28日の調整会議において、3労組は経営者会に対して上記確認事項の誠実な履行を求めた。回答期限は5月14日。誠実に履行されない場合は、即時賃上げを求めることを強く通告した。


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