労災認定を求め大企業と闘う
12月1・2日、「なくそう労災職業病」講演とパネルディスカッションが、パノルリムの韓国のファン・サンギ氏とイ・ジョンランさんを招請しエル大阪、神戸勤労会館でそれぞれ行われた。
この講演は、サムソン電子瑞草社屋前(旧サムソン本社)で790日テント籠城を続けているパノルリムの闘争に共鳴し、日本でも関心を高めていきたいと、日韓民主労働者連帯、関西労働安全センター、兵庫ユニオンなどが呼びかけ主催したものだ。
◆娘を白血病で亡くした。無駄にしたくない父親◆
ファン・サンギさんの娘ファン・ユミさんは、サムソン電子の子会社サムソン半導体LCD工場で働き、2007年白血病を発病。22歳で他界した。職場内で同様の疾病が多発していたことから、この死に疑問を持った父ファン・サンギさんと、協力者であるイ・ジョンランさんが労災認定を求めサムソンを相手取り闘いを始めたのがパノルリムの始まりである。
この闘いは、映画「もう一つの約束」で描かれている。
労災認定は勝ち取ったが、サムソン電子の有機溶剤による被害者はなくならず、有機溶剤により疾病になったのは、情報提供だけで2百数十件、死亡者は79名にものぼる。
パク・クネ退陣の一因のサムソンの政治資金問題は、この職業病問題で闘うパノルリムに対する対抗策であった。
◆長時間労働が問題に…労働法制の改悪に反対◆
集会は、「もうひとつの約束」「ゴム靴の花」予告編映写後、日本からはパネリストとして労働安全センター、全港湾からアスベスト問題への取り組みについて報告された。
サンギさんは「サムソンは問題解決のため私に10億ウォンを支払うと言った。しかし私が黙ってしまえばこのような悲劇はなくならない」「サムソンには労働組合がない。まともな労働組合が企業を監視しなければ、このような悲劇はいつでも起こりえる」と語った。
日本では、労働者を自殺に追い込む長時間労働も社会問題になっている。また安全に関するコストも十分とはいえない。私たち労働組合が関心を持ち、しっかりと取り組んでいかなければならない。
【 くさり1月号より 】