■ 在沖米軍基地問題 その2 ■ 1972年の本土復帰以降も沖縄には、陸・海・空・海兵隊の米軍基地が残されている。 国内には、沿岸警備隊を含む合衆国五軍が130に及ぶ米軍基地と関連施設に駐屯し、その約7割は沖縄に配置され、軍人・軍属とその家族を含めて約9万4000人強が居住しているとされる。 居住者は各地で大小様々な問題を起こしてきたが、沖縄で1995年、米軍兵士が小学生の少女に乱暴を働いた。 この事件では、日米地位協定の壁に阻まれて犯人の米軍兵士の逮捕と事情聴取ができなかった。これをきっかけに、沖縄では米軍基地の移設を訴える声が高まった。 中でも特に普天間基地は周りが市街地であり、「世界で最も危険な基地」と言われる。 この普天間基地を移設しようとしているのが名護市辺野古という場所で、辺野古にはキャンプシュワブという米軍基地があり、それを拡張する形で普天間基地を移設しようとしている。 だが、基地が拡張されると辺野古の美しい自然「ちゅら海」が破壊されるほか、貴重な海産資源(サンゴやジュゴン等)へ影響が懸念される。一度失った自然環境は二度と戻らない。地元民は基地建設をさせないために2004年から「基地反対」の座り込みを開始している。 ■ 辺野古の現状 ■ 1972年(昭和47年)5月15日、沖縄(琉球諸島及び大東諸島)の施政権がアメリカ合衆国から日本に返還。両国間で署名された「琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」が正式名称である。 安倍首相は3月4日、辺野古基地移設問題を巡り裁判所の和解勧告を受け入れた。しかし、和解から2ヵ月以上も経過した現在、防衛局は辺野古・大浦湾の海底に投棄された大型コンクリートブロックの撤収を拒否しているほか、ボーリング調査のための台船「スパット台船」や大型クレーン船がやっと撤収した状況だ。 だが大浦湾にはまだフロートやオイルフェンスが残ったままで、その撤去作業は遅れている。台風時にはもっと短時間で撤去しているというのに。基地反対派は完全な原状回復と臨時制限区域指定の解除を求めて、余談を許さず活動を続けている。 翁長知事は5月9日、訪米して米国の上下両院の議員4人と面談。 米下院歳出委員会のトム・コール下院議員は「1960年代のフランスや90年代にフィリピンがそうだったように、辺野古移設に関し、日本政府が要請すれば変更の可能性がある。 日本政府が解決策を出せば、それを尊重するよう、米政府に働き掛ける。沖縄にとって平等な解決策が出てくることを期待したい」と述べた。 現職の米国議員が“辺野古移設以外”の選択肢が受け入れ可能だと認識を示したのは初めてのことである。 ■ 在日米軍専用施設面積は ■ 在日米軍専用施設面積のうち、沖縄が占める割合は2014年時点の73.8%から、今年1月現在では74.46%に上昇。安倍晋三首相の「沖縄の負担軽減」は米軍施設面積の面でも一切進んでいない。(表はwikipediaより 2014年時点) 所在 国土に占める 土地面積 常時利用 基地面積 一時利用含む 基地面積 沖縄 0.60% 73.88% 22% 北海道 22.08% 1.40% 33% その他 77.29% 24.72% 45% ■ 辺野古海上警備の会社が残業代を未払い! 月に最大200時間超! ■ 5月11日、辺野古の新基地建設予定海域で沖縄防衛局から海上警備業務を請け負っている警備会社「マリンセキュリティー」の従業員が、残業代未払いの訴えを沖縄労働基準監督署に起こしていることが分かった。 訴えによると、月最大200時間以上の残業代が支払われないという。労基署はマリンセキュリティー社に対し、改善・是正するよう指導。マリンセキュリティー社は「労使で話し合いをしている。真摯に対応している」と話している。 マリン社は東京にあるライジングサンセキュリティーサービスの100%子会社で、「普天間代替施設建設事業などの適正かつ円滑な実施の確保を目的」にした警備業務を一般競争入札で落札し、約23億9千万円で契約しているという。 拘束15時間半も残業代ゼロ! 辺野古警備はブラック企業が行っている? 警備会社で働く労働者の拘束時間は長く、日勤は最長で15時間半、当直勤務は1泊2日で37時間半に及ぶという。だが、それに見合う残業代は支払われていない。 以下は従業員の話である。 勤務には大きく分けて2種類あり、地元の漁船をチャーターする「警戒船」は朝出港して夕方に戻る。 「警備艇」は会社所有のクルーザーなどを使い、複数が海域に常駐して1泊2日~3泊4日ほどの当直勤務がある。警戒船は多い日で30隻も借りるという。 沖縄市の会社を出発する午前4時半~5時半頃には、録画用のビデオや連絡用の携帯電話、ライフジャケットなどの装備品の点検を受け、その日の配置を指示される。その後、会社の車両などで金武や漢那、宜野座、辺野古、汀間の各漁港に向かい、現場ポイントには午前8時頃に到着し、業務を開始。 警備の解除は午後5時で、各漁港には同6~7時ごろに帰港。その後会社に戻り装備品を返却し、報告書を提出すると退社は同7~8時過ぎになる。 どの勤務でも日給は9千円で、拘束15時間半のうち「勤務は8時間」とされる。しかし、実質的に仕事から解放されていない船上での「休憩」1時間と、前後の移動時間が残業にあたる。現場に近い漁港でも5時間半の残業が発生する。 1泊2日勤務の場合、勤務の拘束時間は37時間半に及び、受け取るのは2万4千円で深夜割り増しの計算はされていないという。 残業代未払いを訴えた4月以降、マリンセキュリティー社は各漁港へ直行直帰することを認め、漁港から現場間の移動を勤務時間に含めるなどの対策を取ったが、同時に時給換算で賃下げをしたため、日給はほぼ変わらない。 また、残業代未払いを訴えて以降、週5~6日あった仕事が、週2~3日に減らされたこともあったという。これは明らかなパワハラであり、従業員らは労基署に「金銭的不利益と精神的苦痛」を申告した。 ■ 会社支給の昼食は菓子パン1個 ■ マリンセキュリティー社の警備員は、日ごろはサングラスやマスクを着けて表情はうかがえないが、実は過酷な勤務実態に苦しむ心情を吐露している。 ある労働者は求人誌から応募。日当9千円とだけ聞かされ、労働基準法で会社に義務付けられる労働条件の明示や、契約書もなかったという。働き出してから、その拘束時間の長さに驚いた。 そして漁船で一度海上に出ると基本的にトイレにも行けない。昼食は支給される菓子パン1個と缶コーヒー1本だけという日も多い。そして勤務中に抗議側の市民のカヌーなどが臨時制限区域に近づくとハンドマイクで警告を発する。この様子をビデオカメラで撮影しているうちに船酔いしてしまう人もいる。 同じ県民同士で対立する上、厳しい勤務に加えて支払われない残業代の3重苦である。そして、「常に反対派に見られている」と感じてしまう緊張感もあるという。ある従業員は、「全国的にも注目される事業なのに、労基法違反がまかり通っている。会社には仕事を適正に評価してほしい」と話している。 ■ これはブラック企業ではないのだろうか?社会保険の加入うたい求人した。しかし実際は加入していなかった! ■ 従業員の証言によると健康保険などの社会保険に加入せず、少なくとも月数百万円の保険料を節約していたという。求人誌には「社会保険・雇用保険あり*」とうたい広告が出されているが、要求した者を入れるだけで、昨年末頃まで従業員の大半が社会保険に未加入だった。 雇用保険では採用から最大6カ月以上遅れて加入する事例もあった。 雇用保険の被保険者資格取得日は本来ならば採用と同じ日付になる。ある従業員は、会社から通知書を受け取った際に採用日から遅れた加入日となっていることに気づき、会社側に申請し修正した。ほかの従業員も同様に数カ月の遅れがあったという。 ( * 労働者を一人でも雇っていれば、雇用保険の加入手続が必要です) 他にも、源泉徴収票を従業員の希望制とし、全員に交付していなかった。従業員らによると、源泉徴収票の発行は、会社が用意する「発行願い」の書面にサインして提出することが条件で、従業員らは「条件付きでの発行は所得税法違反」ではないかと批判している。 沖縄労働基準監督署は、残業代を支払うよう同社に求めていた従業員に対し、過去2年に遡及して支払うことと、労働環境を改善するよう、是正勧告をマリンセキュリティー社に行った。 (詳しくはこちらの記事を参照 http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=168843 ) ■ 2年半で159億円 巨額の警備費を東京2社が独占 ■ 辺野古新基地建設に伴う陸上、海上の民間警備費が昨年末までの2年半で少なくとも159億円に上ることが分かった。 この期間には、日数で割ると1日2千万円を超える日もあったという。落札率99%超の一般競争入札には毎回、陸上、海上でそれぞれ1社だけが参加している。資料が公表されていない期間があるため、警備費は実際にはもっと膨らんでいる可能性がある。 キャンプ・シュワブゲート前を中心とした陸上の警備業務は綜合警備保障(東京)が、辺野古沖の海上はライジングサンセキュリティーサービス(東京)が独占している。 7ヵ月の工期で契約額は23.9億円、1日当りで計算すると1140万円という高額契約。この期間の警備費は陸上が少なくとも約39億円、海上が約40億円。 その後、警備業務が独立して発注されるようになり、入札が計4回中、陸上が約19億円と約15億円、海上が約23億円と約20億円で契約。落札率は99・8%、99・2%、99・5%、99・9%。1日当たりの費用が陸上約900万円、海上約1100万円に上る時期もある。 自治体の元土木技師が情報公開請求を通じて防衛局の資料を入手。それによると「落札率95%以上は極めて談合の疑いが強い」と指摘。今回のような99%を超える落札率の契約は、官製談合だったと言わざるを得ないという。 他にも、一般競争入札と言いながら、応募は1社だけであること。また、受注した業者にだけしか見積書の提出を求めなかったことなど、多くの問題が浮き彫りになっている。 上記しているように、落札したライジング社は海上警備を100%子会社のマリンセキュリティー社(沖縄市泡瀬)に再委託している。 ■ 差額5倍!ライジングサンセキュリティーサービス社が 過大請求の疑い■ ライジングサンセキュリティーサービス社が、人件費を実際に払っている5倍以上で沖縄防衛局に請求している疑いがあることが分かった。 市民が情報公開で得た資料によると、ライジング社が2014年度の警備業務を受注するに当たって提出した見積もりで、「海上警備要員」の日当は3万9千円~9万円とされている。 だが、ライジング社の100%子会社マリンセキュリティー社が出していた求人情報によると、業務の給与は警戒船勤務(午前8時~午後6時)が日当で9千円。最も高額の警備艇の船長の勤務(午前8時~翌午前8時)で1万7500円。大幅の差額が会社の利益になっている可能性がある。見積額と支払額の差は最高額同士で5・1倍、最低額同士でも4・3倍だった。 さらにライジング社が防衛局に提出した見積もりの単価を、沖縄防衛局がほぼそのまま予定価格の単価にしていることも分かった。ライジング社の見積もりによる「海上警備要員」の単価と、防衛局がその見積もりを査定した表を比べるとまったく同じで、全体を比べてもほぼ差はなく、見積もりがそのまま予定価格に反映された可能性が高い。 沖縄防衛局はライジング社の見積もりを予定価格の参考にしたことを認めており、ライジング社の海上警備業務の落札額はいずれも99%以上だ。 マリン社は「契約はライジング社のため詳細は答えかねる」と逃げ口上。ライジング社は「海上警備は競合他社がおらず、単価は基本的に言い値」と証言。 「船長の当直勤務で日当8万円、警戒船の日勤で3万円を請求した事例もあった」という。なお、契約は期限が来ると結び直しで、単価は変動しているとみられる。 ■ 辺野古海上警備、抗議市民を特定 行動記録を防衛局へ報告 ■ 海上警備で、警備員が新基地建設に抗議する市民約60人分の顔写真を撮り名前を特定し、行動を記録していることが分かった。 市民の名前を特定する必要性やプライバシーとの関係を防衛局は「回答を準備中」として答えていない。 海上警備を請け負うマリンセキュリティー社の警備員によると、会社の船にはマニュアルが備えられており、リストには市民の顔写真に加えて名前が掲載され、名前を特定できていない人には番号が振られているという。 警備員は船やカヌーに乗った市民をカメラで撮影、「操船者」「乗員」などに分類して、現場指揮を執る現地本部を通じて防衛局に伝わる。 立ち入り禁止の臨時制限区域の外でも監視は実施されていて、市民の拠点である汀間漁港でも監視し、出港準備の段階からリストに照らし合わせて人員を把握。 警備員によると、リスト掲載の市民の顔写真は覚えるように指導されるという。報道関係者の写真や名前はリストにはないが、報道機関名を特定したり、海域を見渡す丘の上にテレビカメラなどが見えるときには報告することが明らかとなった。 この行為は「表現の自由」に重大な萎縮効果を及ぼすだけでなく、肖像権やプライバシーの侵害行為にあたると思われる。 なお、海上警備業務、陸上警備業務の契約に伴う特記仕様書には、「警備員は、過去1年間に個人情報保護法の研修または教育を受講しているものとする」と明記。 個人情報保護法の研修を義務づけておきながら、基地反対派の個人情報には無頓着というのでは、なにをか言わんや、というものである。
■ 在沖米軍基地問題 その2 ■
1972年の本土復帰以降も沖縄には、陸・海・空・海兵隊の米軍基地が残されている。 国内には、沿岸警備隊を含む合衆国五軍が130に及ぶ米軍基地と関連施設に駐屯し、その約7割は沖縄に配置され、軍人・軍属とその家族を含めて約9万4000人強が居住しているとされる。 居住者は各地で大小様々な問題を起こしてきたが、沖縄で1995年、米軍兵士が小学生の少女に乱暴を働いた。 この事件では、日米地位協定の壁に阻まれて犯人の米軍兵士の逮捕と事情聴取ができなかった。これをきっかけに、沖縄では米軍基地の移設を訴える声が高まった。 中でも特に普天間基地は周りが市街地であり、「世界で最も危険な基地」と言われる。 この普天間基地を移設しようとしているのが名護市辺野古という場所で、辺野古にはキャンプシュワブという米軍基地があり、それを拡張する形で普天間基地を移設しようとしている。 だが、基地が拡張されると辺野古の美しい自然「ちゅら海」が破壊されるほか、貴重な海産資源(サンゴやジュゴン等)へ影響が懸念される。一度失った自然環境は二度と戻らない。地元民は基地建設をさせないために2004年から「基地反対」の座り込みを開始している。
■ 辺野古の現状 ■ 1972年(昭和47年)5月15日、沖縄(琉球諸島及び大東諸島)の施政権がアメリカ合衆国から日本に返還。両国間で署名された「琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」が正式名称である。 安倍首相は3月4日、辺野古基地移設問題を巡り裁判所の和解勧告を受け入れた。しかし、和解から2ヵ月以上も経過した現在、防衛局は辺野古・大浦湾の海底に投棄された大型コンクリートブロックの撤収を拒否しているほか、ボーリング調査のための台船「スパット台船」や大型クレーン船がやっと撤収した状況だ。 だが大浦湾にはまだフロートやオイルフェンスが残ったままで、その撤去作業は遅れている。台風時にはもっと短時間で撤去しているというのに。基地反対派は完全な原状回復と臨時制限区域指定の解除を求めて、余談を許さず活動を続けている。
翁長知事は5月9日、訪米して米国の上下両院の議員4人と面談。 米下院歳出委員会のトム・コール下院議員は「1960年代のフランスや90年代にフィリピンがそうだったように、辺野古移設に関し、日本政府が要請すれば変更の可能性がある。 日本政府が解決策を出せば、それを尊重するよう、米政府に働き掛ける。沖縄にとって平等な解決策が出てくることを期待したい」と述べた。 現職の米国議員が“辺野古移設以外”の選択肢が受け入れ可能だと認識を示したのは初めてのことである。
■ 在日米軍専用施設面積は ■
在日米軍専用施設面積のうち、沖縄が占める割合は2014年時点の73.8%から、今年1月現在では74.46%に上昇。安倍晋三首相の「沖縄の負担軽減」は米軍施設面積の面でも一切進んでいない。(表はwikipediaより 2014年時点)
■ 辺野古海上警備の会社が残業代を未払い! 月に最大200時間超! ■ 5月11日、辺野古の新基地建設予定海域で沖縄防衛局から海上警備業務を請け負っている警備会社「マリンセキュリティー」の従業員が、残業代未払いの訴えを沖縄労働基準監督署に起こしていることが分かった。 訴えによると、月最大200時間以上の残業代が支払われないという。労基署はマリンセキュリティー社に対し、改善・是正するよう指導。マリンセキュリティー社は「労使で話し合いをしている。真摯に対応している」と話している。 マリン社は東京にあるライジングサンセキュリティーサービスの100%子会社で、「普天間代替施設建設事業などの適正かつ円滑な実施の確保を目的」にした警備業務を一般競争入札で落札し、約23億9千万円で契約しているという。
拘束15時間半も残業代ゼロ! 辺野古警備はブラック企業が行っている? 警備会社で働く労働者の拘束時間は長く、日勤は最長で15時間半、当直勤務は1泊2日で37時間半に及ぶという。だが、それに見合う残業代は支払われていない。 以下は従業員の話である。 勤務には大きく分けて2種類あり、地元の漁船をチャーターする「警戒船」は朝出港して夕方に戻る。 「警備艇」は会社所有のクルーザーなどを使い、複数が海域に常駐して1泊2日~3泊4日ほどの当直勤務がある。警戒船は多い日で30隻も借りるという。 沖縄市の会社を出発する午前4時半~5時半頃には、録画用のビデオや連絡用の携帯電話、ライフジャケットなどの装備品の点検を受け、その日の配置を指示される。その後、会社の車両などで金武や漢那、宜野座、辺野古、汀間の各漁港に向かい、現場ポイントには午前8時頃に到着し、業務を開始。 警備の解除は午後5時で、各漁港には同6~7時ごろに帰港。その後会社に戻り装備品を返却し、報告書を提出すると退社は同7~8時過ぎになる。 どの勤務でも日給は9千円で、拘束15時間半のうち「勤務は8時間」とされる。しかし、実質的に仕事から解放されていない船上での「休憩」1時間と、前後の移動時間が残業にあたる。現場に近い漁港でも5時間半の残業が発生する。 1泊2日勤務の場合、勤務の拘束時間は37時間半に及び、受け取るのは2万4千円で深夜割り増しの計算はされていないという。 残業代未払いを訴えた4月以降、マリンセキュリティー社は各漁港へ直行直帰することを認め、漁港から現場間の移動を勤務時間に含めるなどの対策を取ったが、同時に時給換算で賃下げをしたため、日給はほぼ変わらない。 また、残業代未払いを訴えて以降、週5~6日あった仕事が、週2~3日に減らされたこともあったという。これは明らかなパワハラであり、従業員らは労基署に「金銭的不利益と精神的苦痛」を申告した。
■ 会社支給の昼食は菓子パン1個 ■ マリンセキュリティー社の警備員は、日ごろはサングラスやマスクを着けて表情はうかがえないが、実は過酷な勤務実態に苦しむ心情を吐露している。 ある労働者は求人誌から応募。日当9千円とだけ聞かされ、労働基準法で会社に義務付けられる労働条件の明示や、契約書もなかったという。働き出してから、その拘束時間の長さに驚いた。 そして漁船で一度海上に出ると基本的にトイレにも行けない。昼食は支給される菓子パン1個と缶コーヒー1本だけという日も多い。そして勤務中に抗議側の市民のカヌーなどが臨時制限区域に近づくとハンドマイクで警告を発する。この様子をビデオカメラで撮影しているうちに船酔いしてしまう人もいる。 同じ県民同士で対立する上、厳しい勤務に加えて支払われない残業代の3重苦である。そして、「常に反対派に見られている」と感じてしまう緊張感もあるという。ある従業員は、「全国的にも注目される事業なのに、労基法違反がまかり通っている。会社には仕事を適正に評価してほしい」と話している。
■ これはブラック企業ではないのだろうか?社会保険の加入うたい求人した。しかし実際は加入していなかった! ■ 従業員の証言によると健康保険などの社会保険に加入せず、少なくとも月数百万円の保険料を節約していたという。求人誌には「社会保険・雇用保険あり*」とうたい広告が出されているが、要求した者を入れるだけで、昨年末頃まで従業員の大半が社会保険に未加入だった。 雇用保険では採用から最大6カ月以上遅れて加入する事例もあった。 雇用保険の被保険者資格取得日は本来ならば採用と同じ日付になる。ある従業員は、会社から通知書を受け取った際に採用日から遅れた加入日となっていることに気づき、会社側に申請し修正した。ほかの従業員も同様に数カ月の遅れがあったという。 ( * 労働者を一人でも雇っていれば、雇用保険の加入手続が必要です) 他にも、源泉徴収票を従業員の希望制とし、全員に交付していなかった。従業員らによると、源泉徴収票の発行は、会社が用意する「発行願い」の書面にサインして提出することが条件で、従業員らは「条件付きでの発行は所得税法違反」ではないかと批判している。 沖縄労働基準監督署は、残業代を支払うよう同社に求めていた従業員に対し、過去2年に遡及して支払うことと、労働環境を改善するよう、是正勧告をマリンセキュリティー社に行った。 (詳しくはこちらの記事を参照 http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=168843 )
■ 2年半で159億円 巨額の警備費を東京2社が独占 ■ 辺野古新基地建設に伴う陸上、海上の民間警備費が昨年末までの2年半で少なくとも159億円に上ることが分かった。 この期間には、日数で割ると1日2千万円を超える日もあったという。落札率99%超の一般競争入札には毎回、陸上、海上でそれぞれ1社だけが参加している。資料が公表されていない期間があるため、警備費は実際にはもっと膨らんでいる可能性がある。 キャンプ・シュワブゲート前を中心とした陸上の警備業務は綜合警備保障(東京)が、辺野古沖の海上はライジングサンセキュリティーサービス(東京)が独占している。 7ヵ月の工期で契約額は23.9億円、1日当りで計算すると1140万円という高額契約。この期間の警備費は陸上が少なくとも約39億円、海上が約40億円。 その後、警備業務が独立して発注されるようになり、入札が計4回中、陸上が約19億円と約15億円、海上が約23億円と約20億円で契約。落札率は99・8%、99・2%、99・5%、99・9%。1日当たりの費用が陸上約900万円、海上約1100万円に上る時期もある。
自治体の元土木技師が情報公開請求を通じて防衛局の資料を入手。それによると「落札率95%以上は極めて談合の疑いが強い」と指摘。今回のような99%を超える落札率の契約は、官製談合だったと言わざるを得ないという。 他にも、一般競争入札と言いながら、応募は1社だけであること。また、受注した業者にだけしか見積書の提出を求めなかったことなど、多くの問題が浮き彫りになっている。 上記しているように、落札したライジング社は海上警備を100%子会社のマリンセキュリティー社(沖縄市泡瀬)に再委託している。
■ 差額5倍!ライジングサンセキュリティーサービス社が 過大請求の疑い■ ライジングサンセキュリティーサービス社が、人件費を実際に払っている5倍以上で沖縄防衛局に請求している疑いがあることが分かった。 市民が情報公開で得た資料によると、ライジング社が2014年度の警備業務を受注するに当たって提出した見積もりで、「海上警備要員」の日当は3万9千円~9万円とされている。 だが、ライジング社の100%子会社マリンセキュリティー社が出していた求人情報によると、業務の給与は警戒船勤務(午前8時~午後6時)が日当で9千円。最も高額の警備艇の船長の勤務(午前8時~翌午前8時)で1万7500円。大幅の差額が会社の利益になっている可能性がある。見積額と支払額の差は最高額同士で5・1倍、最低額同士でも4・3倍だった。 さらにライジング社が防衛局に提出した見積もりの単価を、沖縄防衛局がほぼそのまま予定価格の単価にしていることも分かった。ライジング社の見積もりによる「海上警備要員」の単価と、防衛局がその見積もりを査定した表を比べるとまったく同じで、全体を比べてもほぼ差はなく、見積もりがそのまま予定価格に反映された可能性が高い。 沖縄防衛局はライジング社の見積もりを予定価格の参考にしたことを認めており、ライジング社の海上警備業務の落札額はいずれも99%以上だ。 マリン社は「契約はライジング社のため詳細は答えかねる」と逃げ口上。ライジング社は「海上警備は競合他社がおらず、単価は基本的に言い値」と証言。 「船長の当直勤務で日当8万円、警戒船の日勤で3万円を請求した事例もあった」という。なお、契約は期限が来ると結び直しで、単価は変動しているとみられる。
■ 辺野古海上警備、抗議市民を特定 行動記録を防衛局へ報告 ■ 海上警備で、警備員が新基地建設に抗議する市民約60人分の顔写真を撮り名前を特定し、行動を記録していることが分かった。 市民の名前を特定する必要性やプライバシーとの関係を防衛局は「回答を準備中」として答えていない。 海上警備を請け負うマリンセキュリティー社の警備員によると、会社の船にはマニュアルが備えられており、リストには市民の顔写真に加えて名前が掲載され、名前を特定できていない人には番号が振られているという。 警備員は船やカヌーに乗った市民をカメラで撮影、「操船者」「乗員」などに分類して、現場指揮を執る現地本部を通じて防衛局に伝わる。 立ち入り禁止の臨時制限区域の外でも監視は実施されていて、市民の拠点である汀間漁港でも監視し、出港準備の段階からリストに照らし合わせて人員を把握。 警備員によると、リスト掲載の市民の顔写真は覚えるように指導されるという。報道関係者の写真や名前はリストにはないが、報道機関名を特定したり、海域を見渡す丘の上にテレビカメラなどが見えるときには報告することが明らかとなった。 この行為は「表現の自由」に重大な萎縮効果を及ぼすだけでなく、肖像権やプライバシーの侵害行為にあたると思われる。 なお、海上警備業務、陸上警備業務の契約に伴う特記仕様書には、「警備員は、過去1年間に個人情報保護法の研修または教育を受講しているものとする」と明記。 個人情報保護法の研修を義務づけておきながら、基地反対派の個人情報には無頓着というのでは、なにをか言わんや、というものである。
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