◆元海兵隊員で軍属の男を逮捕も、黙秘続ける◆ 沖縄県うるま市の会社員女性(20歳)が4月28日から行方不明となっていた事件で県警は5月19日、元米海兵隊員の軍属シンザト・ケネフ・フランクリン容疑者(32)を死体遺棄容疑で逮捕した。 「強姦し、発覚を恐れて殺害した」という、シンザト容疑者の供述に基づいて恩納村の雑木林から会社員の女性の遺体が見つかったが、容疑者は取り調べに対して逮捕翌日から黙秘を続けているもよう。 またも在沖縄米軍属による凄惨な事件が発生した。 その後のニュースによると、当初の供述でシンザト容疑者は、会社員女性が自宅を出た午後8時頃の数時間前からわいせつ目的で女性を物色。 たまたま居合わせた会社員女性に目星を付けて後方から棒で頭を殴り、性的暴行と殺害の後に「遺体をスーツケースに入れて遺棄した」とのこと。 その供述通りの場所で遺体が見つかったが、シンザト容疑者は6月1日現在まで黙秘を続けている。 那覇地検は5月30日、シンザト容疑者の勾留延長を裁判所に請求し、6月9日までの10日間延長が認められた。強姦・殺人・死体遺棄という極めて残忍で凄惨な許し難い事件であるにも関わらず、またしても日米地位協定の「壁」に捜査は阻まれてしまうのだろうか。 ◆米側確保前に身柄拘束で、今回は「壁」なしか?◆ 沖縄県警は、今後の捜査に日米地位協定の「壁はない」としているが、米側が地位協定を盾に身柄を引き渡さない事態になる可能性は確かにあった。 日米地位協定17条では第1次裁判権において、米軍人・軍属の公務中に起こした犯罪の裁判権は米国にあり、公務外の場合は日本にあると定める。 しかし、公務外であっても米側が先に身柄を確保すれば、原則的に起訴までは日本側に引き渡されない。 この地位協定適用の“特権”が受けられるのは、米軍基地で働く中でもSOFAという地位を与えられている労働者(軍属)のみだ。 「SOFA(Status of Forces Agreement)」とは、「日米地位協定をかさにして日本の裁きから逃れられること」が出来る基地内での雇用形態で、米国の公務員とみなされる地位。対して、「ローカルハイヤー」と呼ばれる雇用形態では地位協定の範疇に収まらないという。 今回の事件は公務外だったことと、米側が確保する前にシンザト容疑者の身柄を県警が押さえたため「壁」はないとされ、日本の国内法に基づいて裁かれることになるはずだが・・・。 ◆沖縄の人や、女性の人権を軽視する体質の問題◆ 米兵3名による少女暴行事件が起きた1995年9月の際には、日米地位協定の取り決めによって実行犯である3名が引き渡されなかったことが大問題となった。 また、当時の米太平洋軍司令官は「(犯罪で使用した)レンタカーを借りる金で女を買えた」と発言し、米軍人が女性の人権を軽視しているのが明らかとなった。 また、米軍は基地内の米兵らが凶悪事件を起こすたびに「再発防止」と言うが、約2ヶ月前にも女性暴行事件が起こったばかりだ。 その本年3月の米兵による女性暴行事件では、在沖米軍トップのニコルソン四軍(海兵隊、空軍、陸軍、海軍)調整官が県庁を訪れて、「良き隣人であるため、良き市民であるため、できる限りのことをさせていただく」と、「綱紀粛正」「再発防止」を約束した。 しかし相も変わらず被害が続いているのでは、“口先だけ”と思われても仕方がない。 ◆基地がある限り凶悪犯罪はなくならない◆ 過去、1972年の本土復帰から2015年までの43年間の米軍関係者による犯罪検挙件数は5896件で、そのうち凶悪犯罪は574件発生し、741人が摘発。殺人が26件34人、強盗が394件548人、強姦は129件147人、放火25件12人という数字が残っている。 これらの犯罪は、米軍基地がなければ起きていないものである。いくらトップが口先だけの約束をしようが、基地がある限り上記の数字は今後も伸びていくだろう。 再発防止の有効な手段はもはや基地撤去しかあり得ないが、日本政府はそこには踏み込まない。 女性が何人も強姦され、今も県民が軍属の犯罪に脅かさているのに、助成金などのニンジンをぶら下げつつ「基地によって県民は潤っている」と言い放つ日本の政治家たちには、「普通の暮らし」を求める沖縄の人々の怒りが届いていない。 ◆基地撤去を求める県民の怒り◆ 今回の事件を受け5月20日、安慶田光男副知事は「県民の意思表示によっては全ての在沖米軍基地撤去を求める考え」を示し、22日には2000名が参加した“元米海兵隊兵士の事件被害者を追悼し、米軍の撤退を求める集会”が、在沖米四軍調整官事務所がある北中城村の米軍キャンプ瑞慶覧(ずけらん)ゲート前で開かれた。 集会協賛団体として、『基地・軍隊を許さない行動する女たちの会』『ワンストップ支援センターの設立を強く望む会』『強姦救援センター・沖縄(REICO)』『ジェンダー問題を考える会』など、女性団体を中心に36団体が集結した。1995年以来の県民の怒りが蘇っている。 ◆県議会は補償と日米地位協定の抜本改定など6つの要求◆ この間、沖縄各地の市町村議会や県議会で謝罪を求める抗議決議案が続々と可決されているようだ。特に県議会決議案では「在沖海兵隊の撤退と米軍基地の大幅な整理・縮小」が盛り込まれ、在沖米海兵隊の撤退を求めるのは極めて異例と言われる。 そして県議会は5月26日、臨時会で在沖米海兵隊の撤退や日米地位協定の改定などを求める決議と意見書を全会一致で可決した。(自民党は退席) ※沖縄県議会【元海兵隊員の米軍属による女性死体遺棄事件に関する意見書】 http://www.pref.okinawa.jp/site/gikai/documents/h285gatu26nitiikensyo.pdf 1 日米両政府は、遺族及び県民に対して改めて謝罪し完全な補償を行うこと。 2 日米首脳において沖縄の基地問題、米軍人・軍属等の犯罪を根絶するための対応を協議すること。 3 普天間飛行場を閉鎖・撤去するとともに県内移設を断念すること。 4 在沖米海兵隊の撤退及び米軍基地の大幅な整理・縮小を図ること。 5 米軍人等を特権的に扱う身柄引き渡し条項を含む日米地位協定の抜本改定を行うこと。 6 米軍人・軍属等による凶悪事件発生時には、訓練と民間地域への立ち入り及び米軍車両の進入について一定期間禁止する措置を講じること。 ◆日米安保条約を見直す時が来ている◆ 県民にとって「安全と生活を脅かす」存在が、目の前にある米軍基地とそれに付随する日米地位協定である。 県議会は「極めて異例」と言われるまでの決議をもって意思表示を行った。 沖縄で普通に暮らす人々が、同じ日本である内地と同程度の安心と安全を求めるのは、至極当たり前のことだ。 そして今回の事件で、また同様の過去の事件でも、犠牲になった女性とそのご家族の無念さを思うと本当に噴飯させられる。あらためて沖縄が戦後から一貫して不当な扱いを受けていると思わざるを得ない。 県民の怒りは内地の我々へ、そして米国へと届いているだろうか。日米両政府が安全保障条約を見直さぬ限り、この思いは続いていくのだろう。
◆元海兵隊員で軍属の男を逮捕も、黙秘続ける◆ 沖縄県うるま市の会社員女性(20歳)が4月28日から行方不明となっていた事件で県警は5月19日、元米海兵隊員の軍属シンザト・ケネフ・フランクリン容疑者(32)を死体遺棄容疑で逮捕した。 「強姦し、発覚を恐れて殺害した」という、シンザト容疑者の供述に基づいて恩納村の雑木林から会社員の女性の遺体が見つかったが、容疑者は取り調べに対して逮捕翌日から黙秘を続けているもよう。
またも在沖縄米軍属による凄惨な事件が発生した。 その後のニュースによると、当初の供述でシンザト容疑者は、会社員女性が自宅を出た午後8時頃の数時間前からわいせつ目的で女性を物色。 たまたま居合わせた会社員女性に目星を付けて後方から棒で頭を殴り、性的暴行と殺害の後に「遺体をスーツケースに入れて遺棄した」とのこと。 その供述通りの場所で遺体が見つかったが、シンザト容疑者は6月1日現在まで黙秘を続けている。 那覇地検は5月30日、シンザト容疑者の勾留延長を裁判所に請求し、6月9日までの10日間延長が認められた。強姦・殺人・死体遺棄という極めて残忍で凄惨な許し難い事件であるにも関わらず、またしても日米地位協定の「壁」に捜査は阻まれてしまうのだろうか。 ◆米側確保前に身柄拘束で、今回は「壁」なしか?◆ 沖縄県警は、今後の捜査に日米地位協定の「壁はない」としているが、米側が地位協定を盾に身柄を引き渡さない事態になる可能性は確かにあった。 日米地位協定17条では第1次裁判権において、米軍人・軍属の公務中に起こした犯罪の裁判権は米国にあり、公務外の場合は日本にあると定める。 しかし、公務外であっても米側が先に身柄を確保すれば、原則的に起訴までは日本側に引き渡されない。 この地位協定適用の“特権”が受けられるのは、米軍基地で働く中でもSOFAという地位を与えられている労働者(軍属)のみだ。 「SOFA(Status of Forces Agreement)」とは、「日米地位協定をかさにして日本の裁きから逃れられること」が出来る基地内での雇用形態で、米国の公務員とみなされる地位。対して、「ローカルハイヤー」と呼ばれる雇用形態では地位協定の範疇に収まらないという。 今回の事件は公務外だったことと、米側が確保する前にシンザト容疑者の身柄を県警が押さえたため「壁」はないとされ、日本の国内法に基づいて裁かれることになるはずだが・・・。 ◆沖縄の人や、女性の人権を軽視する体質の問題◆ 米兵3名による少女暴行事件が起きた1995年9月の際には、日米地位協定の取り決めによって実行犯である3名が引き渡されなかったことが大問題となった。 また、当時の米太平洋軍司令官は「(犯罪で使用した)レンタカーを借りる金で女を買えた」と発言し、米軍人が女性の人権を軽視しているのが明らかとなった。 また、米軍は基地内の米兵らが凶悪事件を起こすたびに「再発防止」と言うが、約2ヶ月前にも女性暴行事件が起こったばかりだ。 その本年3月の米兵による女性暴行事件では、在沖米軍トップのニコルソン四軍(海兵隊、空軍、陸軍、海軍)調整官が県庁を訪れて、「良き隣人であるため、良き市民であるため、できる限りのことをさせていただく」と、「綱紀粛正」「再発防止」を約束した。 しかし相も変わらず被害が続いているのでは、“口先だけ”と思われても仕方がない。 ◆基地がある限り凶悪犯罪はなくならない◆
過去、1972年の本土復帰から2015年までの43年間の米軍関係者による犯罪検挙件数は5896件で、そのうち凶悪犯罪は574件発生し、741人が摘発。殺人が26件34人、強盗が394件548人、強姦は129件147人、放火25件12人という数字が残っている。 これらの犯罪は、米軍基地がなければ起きていないものである。いくらトップが口先だけの約束をしようが、基地がある限り上記の数字は今後も伸びていくだろう。 再発防止の有効な手段はもはや基地撤去しかあり得ないが、日本政府はそこには踏み込まない。 女性が何人も強姦され、今も県民が軍属の犯罪に脅かさているのに、助成金などのニンジンをぶら下げつつ「基地によって県民は潤っている」と言い放つ日本の政治家たちには、「普通の暮らし」を求める沖縄の人々の怒りが届いていない。 ◆基地撤去を求める県民の怒り◆ 今回の事件を受け5月20日、安慶田光男副知事は「県民の意思表示によっては全ての在沖米軍基地撤去を求める考え」を示し、22日には2000名が参加した“元米海兵隊兵士の事件被害者を追悼し、米軍の撤退を求める集会”が、在沖米四軍調整官事務所がある北中城村の米軍キャンプ瑞慶覧(ずけらん)ゲート前で開かれた。 集会協賛団体として、『基地・軍隊を許さない行動する女たちの会』『ワンストップ支援センターの設立を強く望む会』『強姦救援センター・沖縄(REICO)』『ジェンダー問題を考える会』など、女性団体を中心に36団体が集結した。1995年以来の県民の怒りが蘇っている。 ◆県議会は補償と日米地位協定の抜本改定など6つの要求◆ この間、沖縄各地の市町村議会や県議会で謝罪を求める抗議決議案が続々と可決されているようだ。特に県議会決議案では「在沖海兵隊の撤退と米軍基地の大幅な整理・縮小」が盛り込まれ、在沖米海兵隊の撤退を求めるのは極めて異例と言われる。 そして県議会は5月26日、臨時会で在沖米海兵隊の撤退や日米地位協定の改定などを求める決議と意見書を全会一致で可決した。(自民党は退席)
※沖縄県議会【元海兵隊員の米軍属による女性死体遺棄事件に関する意見書】 http://www.pref.okinawa.jp/site/gikai/documents/h285gatu26nitiikensyo.pdf
1 日米両政府は、遺族及び県民に対して改めて謝罪し完全な補償を行うこと。 2 日米首脳において沖縄の基地問題、米軍人・軍属等の犯罪を根絶するための対応を協議すること。 3 普天間飛行場を閉鎖・撤去するとともに県内移設を断念すること。 4 在沖米海兵隊の撤退及び米軍基地の大幅な整理・縮小を図ること。 5 米軍人等を特権的に扱う身柄引き渡し条項を含む日米地位協定の抜本改定を行うこと。 6 米軍人・軍属等による凶悪事件発生時には、訓練と民間地域への立ち入り及び米軍車両の進入について一定期間禁止する措置を講じること。 ◆日米安保条約を見直す時が来ている◆ 県民にとって「安全と生活を脅かす」存在が、目の前にある米軍基地とそれに付随する日米地位協定である。 県議会は「極めて異例」と言われるまでの決議をもって意思表示を行った。 沖縄で普通に暮らす人々が、同じ日本である内地と同程度の安心と安全を求めるのは、至極当たり前のことだ。 そして今回の事件で、また同様の過去の事件でも、犠牲になった女性とそのご家族の無念さを思うと本当に噴飯させられる。あらためて沖縄が戦後から一貫して不当な扱いを受けていると思わざるを得ない。 県民の怒りは内地の我々へ、そして米国へと届いているだろうか。日米両政府が安全保障条約を見直さぬ限り、この思いは続いていくのだろう。
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