関生支部に寄せられた情報によると、昨年8月、公取委に対し関西一円に中小企業数百社の会員を有する業界関係団体が、措置請求を申し立てたことが発端となり、公正取引委員会(公取委)が大阪広域生コンクリート協同組合(広域協組)を不当廉売の嫌疑で調査するに至った。申し立てた内容は、 ①広域協組の不当廉売 ②セメントメーカーによる優越的地位の濫用 (広域協組の役員選出に関し、自社の指示に従わせる干渉行為) などである。
申し立てを受けた公取委は、本年7月12日と20日、8月23日の三日間にわたり広域協組に対し調査を実施。この公取委の反応は、数量思考の安値販売にひた走る広域協組の現状や、今なお続くセメントメーカーによる業界支配の実態を看過できない巨悪とみなしている証ではなかろうか。セメントメーカー各社は、過去においても、協同組合の支配や価格操作をくり返す常習犯として、度々公取委からその違法性を摘発され、課徴金納付などの命令をうけている。
いま、関西の生コン業界の様相が大きく変化している。 生コン価格の市況は右肩下がりを続け、中小企業の連鎖倒産などが生じている。 これは、大阪広域生コンクリート協同組合の執行部体制が、宇部資本の傀儡であるK氏率いるメーカー主導体制にかわったことが原因であると考える。 K氏率いる広域協組は、「労働組合とは距離を置く」と称して労働組合敵視政策を打ち出して経営者会・集団交渉つぶし、労使協定やぶりに奔走した。 さらに協同組合運営においては、値引き販売(販売促進金=ブロック対応金の徴収)や、組合員個社による自主営業(限定販売方式)枠の継続・拡大、土曜稼働をはじめ過剰サービスの実施などにより生コン1リューベあたり5000円以上値引き(標準品)するに至っている。 また、T社などにおいては、「生コン安売りの雄」と称されるとある企業に肩入れし、生コンの市況下落をものともせず、セメント拡販路線をひた走っているのが現状である。 今時の業界崩壊の原因は、そのようなU社とT社の身勝手な振る舞いにあると指摘する業界関係者は少なくない。 ★ 犠牲を強いられ中小破倒産続出 ★
このようなU社やT社、そしてそれに追随する広域協組の振る舞いは、平成21日年5月27日付け確認書など、この間労使間で業界再建を目指し、生コンの適正価格による取引を確約した約束事項を反故にするものである。 また、一昨年、中小企業存亡の危機を乗り越えるために労使共闘で貫徹した4ヶ月半におよぶストライキの成果(生コンの適正価格の確立)を水の泡に帰するものである。 以上のように、自らの利益のみ追求するメーカーの息がかかったK氏ら広域協組執行部による不当廉売、協定破りにより、昨今の生コン価格低迷だけでなく、広域協組の集約斡旋事業で廃業した中小企業に対する保証金不払いや、TO社ショック(中小企業の連鎖倒産事件)などが起こるに至っている。 メーカーの労働組合敵視のツケが全て中小企業と労働者にしわ寄せされているのである。
80年代、関生支部など労働組合は、生コン経営者が加入する工業組合との間に交渉権を確立し、集団交渉を実現していた。 この集団交渉は、生コン業界安定に大きく寄与するなど数々の成果をあげていた。 「雇用の確保、福祉の充実」等を内容とした32項目協定の実現などはその一例である。 また、そのような労働組合と中小企業との運動が全国各地へと広がる様相を呈していた。 しかし、運動の広がりを懸念したMセメントを中心とするセメント独占は、国家権力やK党などと一体となり、集団交渉や労使協定やぶりに奔走。さらに刑事事件などをでっち上げ関生支部に攻撃をしかけ、業界再建運動つぶしを画策したのである。 また、90年代初頭の東大阪地区生コンクリート協同組合(東協)の再建運動においては、業界の労使共闘によるストライキで生コンの適正価格収受を実現したにもかかわらず、Tセメントと大手ゼネコン一体の協同組合つぶしにより、東協再建が頓挫した。 その後、東協は「大同団結を阻害する行動をとったTセメント及びT生コングループの拡販政策によるもの」などと表明し、協同組合を休会する旨発表するに至ったのである ★ 労使敵視の代償1兆3000億円 ★ このようなセメントメーカーの策動によって、80年代から90年代初頭にかけ生コン業界は非常に混乱した10年間を過ごすことになった。 この間、セメントメーカーは独禁法違反で100億円以上のペナルティを課せられ、生コン業界全体としては1兆3000億円の損害を受けた。 これは労働組合敵視策の代償である。その後93年以降における広域協組の設立や協同組合事業の確立(現金回収や共注共販を実現)などは、関生支部など労働組合が主体となってなしえたものである。 セメントメーカーによる業界再建はあり得ない。これは歴史が証明してる事実である。 いま必要なのは、セメントメーカー支配からの自立と、大企業(セメント、ゼネコン)と中小企業(生コン業者)との対等取引の実現であり、労働組合敵視策を改めることである。 また、信頼を失った大阪広域生コンクリート協同組合の執行部は責任を取って辞任すべきと考える。それ以外に大同団結する道はなく、適正価格収受やゼネコンとの対等取引実現の道はない。
現在、生コン価格は下落の一途で、7000円台(標準品)の生コンが流通している等と囁かれている。広域協でも標準品(18-18-20)が、1リューベあたり5000円以上も値引きして販売するという、危機的状況が続いている。 一昨年の6月27日、生コン産業政策協議会(生コン産労・全港湾・関生支部)と近圧労、そして、大阪兵庫生コン工組・広域協を入れた近畿2府4県の各協同組合が合同で危機突破決起集会を開催。 労使双方で2300名が参加した。そこで「値上げなくしては各企業が倒産する」として適正価格の収受を決議。 さらに「ゼネコンが応じない場合には行動を起こす」とした。そして、7月2日から4労組は4ヶ月半にわたるストライキを敢行。 その結果、ゼネコンに生コンの適正価格(新契約1万6800円、旧契約1万5800円)による取引を認めさせた。 しかし、その後、セメントメーカーのU社直営企業のK氏が、広域協の理事長に就任するや否や、「出荷数量確保」と称して生コンのダンピング販売を大々的に展開した。 さらには「労働組合のストライキで迷惑をかけた」と自らも行動に参加していながら責任を労働者に転嫁し、それを値引きの口実にしている。 この間違った方針は、結果として生コン価格の下落、昨今の中小企業の連鎖倒産や労働者の雇用破壊等、業界の混乱を招く原因となったのである。 これらの現実は、セメント主導による生コン協同組合は、全国的に失敗してきているという歴史から学ぶことができる。 それは、協組をセメント拡販の手段としてだけ利用するという大手メーカーの過去から一貫して変わらない本質に原因がある。 過去からセメントメーカー各社は、拡販路線の追求、セメント価格の操作の面から生コン協組を支配し、生コン業界に影響力を及ぼしてきた。 オイルショック時には便乗値上げで、セメント価格を20%も大幅値上げした。 当時は「セメント系列大手生コンの協組支配・価格操作」が横行(KO党M議員の国会質問74年3月27日)、公取委は4月30日、セメントメーカーに勧告した。 さらに75年3月末、公取委は再び「直系生コン企業の協組からの脱退」を関西6社に勧告。 91年3月末には、セメント販売量と販売価格のヤミカルテルを結んでいたU社やT社などセメントメーカー12社に、112億円にものぼる課徴金納付を命令した。セメント独占が生コン業界を支配するさまは、それ程目に余るものがあったのだ。 圧倒的な資本力で、中小弱者の生コン業界を支配しようとするセメントメーカーの横暴は決して許すことはできない。 先の見えない経済不況の中、生コン業界を淘汰してでも自身は生き延びようとする、セメントメーカーの非道さは社会道徳上あってはならない。 まさに今、中小企業と労働者が協調し共同行動する時が来た。 弱者は団結して、大手独占資本と対等な関係を築き、業界の自尊自立を確立することが、中小企業の安定と労働者の生活向上につながるという路線―つまり関生支部の運動路線が求められている。 これは歴史と現状からの教訓である。 昨今、生コンの売り価格は下落の一途で、底が見えない状況にある。 業界では、「たとえ500円でも売り価格が高ければ、あのTO社ショック(大手生コン卸の破綻を発端にした中小企業の連鎖倒産事件)は起こらなかった」、「採算があわない。もう限界」などとの関係者の悲鳴が響く。 K氏率いる広域協組のメーカー主導体制は、「物件確保優先」と称して、値引き販売(販売育成金=ブロック対応金の徴収)や、あろう事か事実上の協同組合員個社による自主営業(限定販売方式)を拡大・促進し、生コン1リューベあたり5000円以上値引き(標準品)するというダンピングを大々的に展開しているのが現状だ。 そこには、数量思考が存在するのみで、協組員=中小企業の経営のことなど微塵もない、と言わざるを得ない。 事実、広域協組の協組員が、広域協組の値引き販売の実態(ブロック対応金の徴収実態が)が不当であると訴訟を起こしている。 一般的に関西の場合、1リューベあたりの生コンの原価(標準品の場合)は、原材料(セメント・粗骨材・細骨材・混和剤など)費だけでおおよそ1リューベあたり6300円弱と言われている。 そこに1リューベあたり約2500円の輸送費(10トンミキサー車1台あたり、一日に20リューベ運搬するとして)、さらに人件費や償却費、工組・協組への付加金など必要経費約6000円(1リューベあたり)を合算すると、約1万4800円程度になるといわれている。 この様な状態では、人件費や運送費、原材料費などを無理矢理大幅削減するしかない。中小企業の経営や労働者の雇用もさることながら、生コンの品質確保や安定供給は大丈夫なのだろうか? などとの疑問が沸いてくるのが自然ではなかろうか。 業界からは、中小企業の「誰のための協同組合か!」などとの嘆きが聞こえてくる。 いま必要なのは、セメントメーカー支配からの自立と、大企業(セメント、ゼネコン)と中小企業(生コン業者)との対等取引の実現である。
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