私たちの組合は、日本の建設産業及びセメント・生コン産業に働く労働者を組織しています(組合員4,500名)。2005年中に、私たちの関西地区生コン支部の組合役員8名が警察に逮捕され、そのうち1名は1年2ヶ月、3名は11ヶ月、2名は9ヶ月、1名は3ヶ月間勾留されました。現在は、全員が釈放されましたが、検事は各組合役員に対して実刑を裁判で求めています。
これらの逮捕・拘留は、威力業務妨害罪、強要未遂罪、政治資金規正法違反を口実とするものです。一審の判決は、既に一審判決がでた政治資金規正法を除いて、2006年末から2007年の初めに行われると予想されます。また、警察は現在も一連の事件の捜査を終結しておらず、新たな弾圧事件が引き起こされる懸念が強くあります。
これらの逮捕、長期の勾留、実刑求刑は、組合活動の弾圧のための口実以外の何物でもありません。このことを示すために、事件の内容と私たちの見解をこの手紙に添付しています。
私たちの労働組合は中小企業と協力しながら中小企業協同組合の強化発展と労働者の利益を実現してきました。これら中小企業の労働者の雇用と労働条件を守るためには、中小企業の協同組合化を通じて経営の安定を図ることが必要だからです。そして、このような活動は正当な労働運動であると考えています。このことは1998年にILOが採択した「中小企業における雇用拡大に関する勧告」の第12項の(f)、また16項の(2)、(3)にも示されています。さらに「協同組合の推進に関する勧告 2002年」の14項ならびに16項にも示されています。しかしながら警察と検察は、私たちの活動を組合活動とは認めていません。
また、警察と検察は、私たちの活動を強要未遂および威力業務妨害罪として、刑事処罰を求めています。しかし、組合は暴行や脅迫、あるいは実力による業務の妨害をしてはいません。中小企業の経営を安定させ、労働者の雇用と労働条件を守るという、あまりに当然の労働組合活動が、警察や検察の恣意的な判断で強要未遂罪あるいは威力業務妨害という名目で刑事罰の対象とされるならば、労働者・労働組合・組合活動の保護というILOの目的を否定し、歴史を逆転させることになるでしょう。このような政府の行為は、ILO条約第87号第3条1項及び2項の重大な侵害だと考えます。
判決が今年末、あるいは来年早々に予想されることから、ILOとして日本政府に対し、事実関係についての早急な説明を求められるように要請します。日本の憲法では、条約は法律よりも上位の法的な効力を有すると解されており、結社の自由委員会ならびにILO理事会の意見・勧告は、これらの裁判に重大な影響を与えるべきものだと考えています。
私は、ILOが日本政府に対し次のように勧告を下されるよう求めます。
1.ILO第87号条約の趣旨を尊重し、日本政府(警察と検察)が、私たちの労働組合に対する不当な弾圧を直ちに中止すること。
2.中小企業協同組合の強化発展と労働者の雇用を守るための私たちの労働組合活動に対し、日本政府(警察と検察)が、法令を濫用して不当な干渉を加えたり、予断と偏見をもって捜査対象としてはならない。
ILOの発展と、ILO事務総長の健康と活躍を祈念しています。
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