第10期沖縄意見広告報告関西集会
●全国18,663件の賛同者の思いを日米両政府へ!●
第10期沖縄意見広告運動は6月9日に毎日・東京と沖縄二紙に意見広告を掲載。
同月13日に大阪市内で報告集会を開催した。集会では恵泉女学園大学教授の李泳采(イ・ヨンチェ)氏が講演。同氏は「朝鮮戦争の終結なしに沖縄の基地問題は解決しない」と指摘し、東アジアの平和について語った。(以下、要旨)
★若者たちの思いが次代の扉を開いた★
若者たちの思いが
次代の扉を開いた
昨年、南北首脳会談が3回開催された。
さらに、米朝首脳会談は昨年から今年にかけ2回開催されている。
板門店宣言のなかで重要なのは「核」の存在を朝鮮民主主義人民共和国(共和国)側が初めて認めたことだ。共和国は核問題については韓国ではなく、米国と話し合うべきものという態度だったが、板門店宣言のなかで「非核化」を宣言した。
そして、この流れのなかで米朝首脳会談が実現。現在、トランプ大統領は金正恩委員長と板門店で会談を行いたいと、新たな会談を提案している。シンガポールでの会談で二人が握手したということは米国が共和国の現体制を認めたことを意味する。明らかに、これまでの米国の路線とは違う。現時点で米朝の話し合いは「決裂」ではなく、「延期」されているだけだ。時間はかかっても前に進んでいく。
こうした流れが生まれた要因として韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の誕生がある。文大統領は「キャンドルデモ」のなかで誕生した。
南北首脳会談の2年前、2017年10月から2018年5月まで100万人規模の「キャンドルデモ」が17回取り組まれた。
その前段、2016年4月の選挙で朴槿恵(パク・クネ)大統領を支える与党が敗北。この状況をつくったのは韓国の若者たちだ。それが保守の分裂につながり、朴槿恵弾劾の動きが生まれた。このとき、野党に投票した若者たちは何を考えていたのか。戦争になったら前線に送り込まれるのは自分たち。戦争を終わらせて平和な社会をつくりたい。それが彼らの思いだ。それが現在の流れをつくっている。
★平和目指す人々に、どう向き合うのか★
日本は、朝鮮戦争や南北の分断に深く関わっている。東アジアで戦争を仕掛けたのは日本。戦後、日本はドイツのように東西に分断されていたかも知れない。しかし、そうはならずに朝鮮半島が分断された。今、この朝鮮戦争を終結させようとする韓国の若者たちの願いに日本社会はどう向き合うべきなのか。日本に住む人々は、南北の和解や米朝の話し合いが崩壊・決裂して第二の朝鮮戦争が起こることを望むのか。それとも、戦争の終結を望むのか。
戦後、沖縄も米国に占領された。私は日本と朝鮮半島と沖縄はセットだと考えている。米国はこれまで日本を「不沈空母」にして朝鮮半島と沖縄を戦場のように扱い支配してきた。米国による日本の支配体制が現在の形になったのも朝鮮戦争が起点。だからこそ、沖縄の基地問題も日米安保の問題も朝鮮戦争の終結なしには解決できない。
戦争を終わらせ、平和な東アジアをつくり、この地に共同体をつくろうとする朝鮮半島の人々の願いに私たちはどう向き合うべきなのか。その問いに日本社会が答えなければならない。
熱気溢れる報告集会
●多彩な出演者に沸く会場●
第10期沖縄意見広告報告関西集会ではこれまでにない多彩なメンバーがステージに上がった。
全国キャラバン報告では、青年2名が発言。彼らはキャラバンで沖縄を訪問した際に感じた理不尽さを話し、「沖縄の現状を各地に伝えたい」と語った。
また、講演の後には川口真由美さん、豊岡マッシーさんの歌へ。川口さんの力強い歌声に心動かされるとともに、豊岡さんによる映像と歌のコラボレーションに参加者も一緒になって歌を口ずさんでいた。
さらに、「辺野古に絶対基地を作らせない大阪行動」「全港湾四国地方本部」「労組つぶしは許さない勝手連しが」、それぞれがアピール。
永嶋靖久弁護士による関生支部弾圧の特別報告、勾留中の武代表世話人からのメッセージ紹介(下に掲載)と続き、事務局から第11期に向けての提案を行って最後に寺田道男全国世話人の閉会挨拶で締めくくった。
この日の報告集会には、長期勾留中の武代表世話人からメッセージが届き、武洋一書記長が代読しました。
第10期沖縄意見広告報告関西集会に結集されました皆様、本日はご多忙中のところ多くの皆様にご参加いただき、誠にありがとうございます。
私は、昨年8月より今日まで10ヵ月という長期にわたり勾留されており、本日の集会に参加できないことは非常に残念であります。今日まで56人の仲間が逮捕勾留され、40人以上の仲間が起訴されるなど、極めて異常なる権力弾圧が続いています。その狙いは、産業別労働運動を展開し、高いレベルの賃金・労働条件の確立、反戦平和、沖縄米軍基地撤去、反原発、日米安保破棄、中小企業と協力連携して大企業の収奪と闘う関生運動を「資本主義の根幹に触れるもの」として潰してしまおうというものです。
捜査では、暴力団対策法を拡張適用し、「共謀罪」の先取り的手法を用いるなど、違法なものばかりです。しかし、我々はこの攻撃に屈することはありません。
6月5日、朝日新聞朝刊一面に「辺野古埋立に加速へ土砂陸揚げ2ヵ所に増」と掲載されていました。防衛省幹部は「移設工事を完遂するためだ」としています。これに対し、沖縄県は「目的外の護岸使用だ」と強く反発しています。しかし、政府はどこ吹く風の様相です。たび重なる選挙結果に表れているように、沖縄県民の意思は「辺野古新基地建設絶対阻止」なのです。この声を全国民的運動に発展させなければなりません。
安倍内閣は、国民の利益より「安保村」にぶら下がる一部特権階級の利益を優先しています。すでに防衛費は増大しています。また、オスプレイの全国への配備に向けて準備を進めています。新基地を認めることは日本の軍事大国化を認めることであり、戦争国家路線を許すことです。軍事大国になるということは、福祉・教育・医療を切り捨てることです。アメリカと日本の大企業、特権階級のための政策を決して許してはいけません。
今なすべきことは、「沖縄の民意は全国民の民意である」との立場を明確にし、沖縄の仲間と手を取り合って、あきらめることなく、粘り強く闘うことです。それぞれの置かれている立場で、大衆集会、デモストレーション、ストライキ、その他すべての力を結集して、辺野古新基地絶対阻止のうねりを大きく広げることです。そのような運動の中心を担うのは、今日参加の皆様に他なりません。
各新聞で報道されているように、他の国々と米国との地位協定と比較すると、いかに日本が従属的で、米国の言いなりであり、日本の主権が侵害されているのかが明らかになっています。日米地位協定により米軍は日本の至る所に好きなだけ勝手に基地を造ることが可能です。そしてその根本にあるのが日米安保条約です。この条約は破棄すべきです。
当面、日米地位協定の見直し・改定を求め、日本の憲法・法律が米軍に適用されるようにすべきです。沖縄の仲間の痛みは我々の痛みなのです。
アメリカの「ポチ」であり、大企業の利益代理人である安倍政権の打倒に向け、ともに固い絆のもと、団結して闘いましょう。私も、私たちの仲間も不当弾圧に屈することはありません。今日までのご支援に感謝申し上げるとともに、今後も皆様のご支援を受けながら辺野古新基地建設阻止とともに不当弾圧を粉砕し、勝利するまで断固闘うことを誓います。
本日の集会成功、バンザイ。
2019年6月13日
滋賀刑務所(内の拘置所)にて
愛を込めて
武 建一
【 くさり7月号より 】