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 教育部では、月に一度開催する幹部教室を通じて、執行委員のレベルアップに力を入れています。今回のテーマは「労契法20条最高裁判決」です。


 最高裁判決は格差是正に向けた〝武器〟

 7月1日、労契法20条を巡り争っていた二つの最高裁の判決(ハマキョウレックス、長澤運輸)が言い渡された。この最高裁判決の意義について、ハマキョウレックス事件を担当した中島光孝弁護士に話していただいた。


 ■不合理な格差は違法。一定の前進勝ち取る■ 

 ハマキョウレックス裁判では、同一労働を行う正社員と契約社員の賃金格差の不当性を争った。

 最高裁判所は、大阪高裁が出した判決(通勤、無事故、作業、給食手当)に加え、皆勤手当に格差を設けることは不合理とし高裁判決を破棄、大阪高裁に差し戻すとした。しかし住宅手当は、正社員は転勤の予定があるが契約社員はないとして認められなかった。

 一方、長澤運輸裁判は、定年退職後の賃金格差を争った裁判。最高裁は精勤手当と通勤手当について労契法20条違反とした。

 今回の裁判で最高裁は、労契法20条は「不合理な格差の禁止」であると判断している。均等待遇(同一労働・同一賃金)ではなく均衡、違うものとして考えた上で双方を近づけていくという立場に立っている。だから雇用関係の違いを一定認め、基本給の違いなど大きな部分について取り上げてはいない。定年後の再雇用については、定年制度における賃金体系と捉え、年金支給が見込まれること、また年金が支給されるまでの間は調整給が支払われることを理由に一定の賃下げを認める判決を出している。また補充的効力についても認められていない。


写真1

 
 ■再雇用でも無条件に賃下げ認められない■

 しかし、ハマキョウレックスについては、正規・非正規労働者それぞれの就業規則に違いが明記してあるにもかかわらず、各種手当について個別に検証し、不合理であるとして判断したのは大きな成果。長澤運輸の定年再雇用問題については、再雇用だから「賃下げが全て認められる」というものではなく、長澤運輸と労働組合が交渉し、格差79%と薄める努力をしていることなど、一定の格差是正がなされていたことも判決に大きく影響しており、定年再雇用の賃金下げ幅が大きい企業については判決内容が変わっていたと考えられる。

 ■判決は労働者の武器。格差是正勝ち取ろう■

 2019年4月から施行される「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」の「第8条不合理な待遇の禁止、第9条通常の労働者と有期雇用労働者の差別的取り扱い禁止」にも反映されている。まだまだ政府が言う格差の是正としては不十分だが、格差で苦しむ労働者にとっては大きな武器となる。格差是正を求めていく法的根拠を得た。格差で苦しむ労働者を組織し格差のない社会をつくる第一歩にするためがんばろう。



  【 くさり8月号より 】



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