原発問題
■原電の経営に厳しさ、原発の根本矛盾が明らかに■
報道によると、原発専業会社の日本原子力発電(原電)が、準備を義務づけられた原発の廃炉資金を流用し、残高が大幅に不足していることが明らかになっています。原電は2018年11月に運転開始から40年を迎える茨城県の東海第二原発を廃炉にせず、運転期間を延長することでしのぐ方針ですが、再稼働する場合も2千億円近くの安全対策費がかかり、原電の経営は瀬戸際に立っているとのこと。
原電に出資する東京電力ホールディングスの関係者は、原電の廃炉資金が大幅に不足していることを「最大の問題」と表現しています。仮に東海第二原発が廃炉になれば原電の経営が行き詰まり、東電を含む大手電力会社の財務にも影響が及ぶからです。
東海第二原発の運転延長にも厳しい課題があり、「しっかりとした債務保証の枠組みを確認する必要がある」と、11月14日、東海第二原発の再稼働の是非を審査する原子力規制委員会の審査会合で審査官が原電幹部に告げています。
原電は東海第二原発を再稼働させるのに必要な安全対策委費用を少なくとも1740億円と見積もっていますが、保有する4原発が停止中の原電が全額を自前で調達することは不可能。金融機関は安全対策費を融資する条件として、大手電力会社が債務を保証することなどを求めており、審査官はその点を念押しています。大手電力会社が債務保証に応じるとは限らないことから、国の支援を受ける東電が原電を支援するとなれば、疑問の声が出ることでしょう。
安全対策費を自前で準備できない電力会社が原発を運転することを不安視する住民は少なくないとみられ、再稼働が認められても、運転の前提となる地元の同意を得ることは困難です。
原発を廃棄する方針とその実施で、根本的な問題が解決するのではないでしょうか。私たちには、反原発の運動を強化することが求められています。
【 記事:武谷書記次長 】