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要 宏輝のコラム

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 今号から数回にわたり、元全国金属のオルグであり、元大阪府労働委員会労働者委員の要宏輝さんによる「関生型労働運動」についての考察を掲載します。
 
 ■はじめに■

 8・26大阪労働学校アソシエの特別シンポジウムで、木下武男先生は「熱き想いを語るとは、残された人生をかけること」と語られました。この想いは私も同じで、「世直しは後世に委ねるわけにはいかない」と思っています。しかし、いかんせん、現役を引くと現実の運動に直接にコミットできず、忸怩(じくじ)たる想いで過ごしています。

 そんな折、「敬して遠ざけるとの雰囲気のある」(木下武男)関西生コン支部(以下、「関生」「関生支部」と略す)から、機関紙「くさり」に連載で「書く」コーナーを与えていただきました。関生支部は私にとっては古き友人、一度ならず助けていただいた私の駄文が皆さんの闘いに少しでも役立てばうれしい限りです。

私に与えられた「連載コーナー」は「関生型運動」の考察を命題としながら、タイムリーな労働運動に関わるコラムも取り混ぜて、書き進めます。第一回は、私の「関生型運動」との出会いやシンパシーの一端を述べます。

 ■関生労働運動との出会い■

 関生支部は1965年に結成されましたが、私との出会いと交流は総評時代。1981~82年の刑事弾圧、共産党による支配介入により関生支部は分裂、そして大阪総評に加盟し、南大阪の地域共闘で相まみえることになります。私も共産党がらみの刑事弾圧を受けていますが、全国金属大阪のほとんどは当時の稲葉法相の指揮、会社と警備(公安)との合作でした。1976~77年の2年間に、逮捕者15名(うち起訴11名)、任意出頭95名(関係組合30)の「刑事弾圧の嵐」に見舞われます(刑事弾圧対策については後述)。

 関生支部との出会いから35年ほど経過しますが、1989年の連合結成以降は、労働委員会事件を介しての付き合いになります。しかし、2008年、私が連合「労働委員会委員推薦名簿」から不当排除されることになった時、これに対抗して、全日建連帯や港合同等の「非連合七組合」が大阪府知事に対して「要委員推薦手続き」をとってくれました。そして私の「連合大阪訴訟」になっていきます(この顛末は後の記述に譲ります)。この時の私は孤立無援の一人争議みたいなもの、「苦しい時、つらい時の支援こそ本当の連帯」と感じ入ったものです。

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 ■「生涯現役」の信念、引き継がれるDNA■

 関生支部の闘いの評価に関わって、まず挙げたいのは、武建一委員長の進取かつ創造的なリーダーシップです。武委員長は、業界の方からの引退の勧めに対して、「私は死ぬまで変わりませんよ。私が闘いを止めたら、大阪に来てから40何年間の人生を否定したことになる。信念を貫らぬいてこそ、悔いのない人生」と応えています(社会批評社刊『武建一 労働者の未来を語る』P248)。この言葉を聞いて、港合同・田中機械の大和田委員長の警句を想起します。「俺には定年はない。お前らサラリーマンの組合役員とは違うんじゃ!」と、引退を勧めた私は一喝されました。大和田委員長が60歳前後で私が43歳の時、若気の至りと恥じ入りました。お二人の「生涯現役」の信条は、私の後の気づき(「世直しは後世に委ねるわけにはいかない」)で共有されます。

 稀有の戦術家であり戦略家である武委員長は関生型運動を全国化(「業種別職種別ユニオン運動研究会」)、さらに国際化を追求されようとしています(「グローバル社会的経済フォーラム」参加や「社会的連帯経済」へのアプローチ)。関生の役員・活動家と話していると、武委員長のDNAを強く感じます(武委員長の開発された戦術・戦略については後述させていただく)。労働組合と連携しない市民運動は持続性とダイナミズムを欠き、社会運動と連携しない労働運動は新しい地平を切り開くことはできません。

 なお、「生涯現役」は少子高齢化の進行に並行して、労働現場でも広がっています。従業員31人以上の企業約15万社のうち、高齢者雇用確保措置の実施済企業の割合は99.2%(147,740社)となっています。また、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は72.5%(108,086社)となっています(2015年厚労省「高年齢者雇用状況」)。(つづく)


  【 くさり12月号より 】

 
 筆者プロフィール
 
  要 宏輝  かなめ ひろあき
 
 1944年香川県に生まれる。
<運動歴>1967年総評全国金属労働組合大阪地方本部書記局に入局/1989年産別合併(第一次)で全国金属機械労働組合になり、1991年に同大阪地方本部書記長/1999年産別合併(第二次)でJAM大阪副委員長、連合大阪専従副会長/2005年定年後、連合大阪なんでも相談センター相談員/2009年1月連合大阪訴訟(大阪府労働委員会労働者委員再任妨害、パナソニック偽装請負批判論文弾圧、「正義の労働運動ふたたび」出版妨害、不当労働行為企業モリタへの連合大阪会長謝罪事件の四件の人格権侵害等訴訟)/2009年5月和歌山労働局総合労働相談員
<公職等>1993~2003年大阪地方最賃審議会委員/1999~2008年大阪府労働委員会労働者委員
<著書>「倒産労働運動―大失業時代の生き方、闘い方」(編著、柘植書房、1987年)/「大阪社会労働運動史第六巻」(共著、有斐閣、1996年)/「正義の労働運動ふたたび 労働運動要論」(単著、アットワークス、2007年)/「ワークフェア―排除から包摂へ?」(共著、法律文化社、2007年)など
<最新の論文等>「連合よ、正しく強かれ」(現代の理論2009年春号)/「組合攻撃したものの法的には負けっぱなしの橋下市長」(週刊金曜日2015.2.6号)/「結成28年で岐路に立つ『連合』」(週刊金曜日2017.8.25号)など

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