大阪労働学校特別シンポジウム
本年8月26日、大阪労働学校アソシエ特別シンポジウム「木下武男・熊沢誠 熱き思いを語る」が開催され、労働界、学会など各界から220名が参加して盛大に開催された。
◆全国に業種別運動を◆
シンポジウムは、武建一大阪労働学校アソシエ代表理事の「本日は、理論家の皆さんが客観的に労働運動の状況を分析して不足しているものは何か、運動停滞の主要原因は何か、それをどう克服するのか、そういうお話を聞けるものだと思う。私もその議論に積極的に加わって今回のシンポジウムを成功させたい」との冒頭挨拶ではじまり、基調講演では、木下武男氏(元昭和女子大学教授) が、「6月15日、「業種別職種別ユニオン運動研究会」(研究会)を結成した。それは関生型労働運動など業種別職種別ユニオン運動を研究の面からバックアップするもの。研究会は、関生支部の関生型労働運動を全国的にかつ他産業に広めたいという思いなどから結成に至った。業種別職種別ユニオンの組織定義については、①業種を軸とした個人加盟組織の連合であり、②職種を基礎にした賃金制度の確立や、③業界での集団交渉実現を追求するというものである。
いまの日本の労働運動は危機的状態に陥っている。若者を中心にワーキングプアが増加し、働く者に貧困が拡大している。労働運動の衰退、過酷な環境が支配する日本の労働現場の状況を打破するには、関生型労働運動など業種別職種別ユニオン運動を全国、全職種につくっていくということに全力をあげて取り組むことだろうと思う」と述べた。
◆資本主義は人々を分断◆
熊沢誠氏(甲南大学名誉教授)は、「労働組合運動は、どのような思想をもって展開してくべきか。資本主義は、まずは労働者を分断するのである。それは、労働者にまとな生活をさせず、その状況を変える方途を見失わさせる。それゆえ階層社会の下位に属する人々は、ひたすら個人として競争に打って出て上位のステイタスに脱出するしかないという思いに日々苛まれるのである。これは今の格差社会の現状であって否定されるべきものである。
「労働運動の歴史に学ぶ」という大阪労働学校アソシエの講座だが、様々な形態の労組の画期的な闘いの軌跡に学び、それがなぜ可能となし得たのかという検討をする。そのうえで日本の労働運動の再生を探るというものである」と述べた。
その後のパネルディスカッションでは、パネリスト間で活発な議論が交わされ、最後に山元一英大阪労働学校アソシエ理事から閉会挨拶がありシンポジウムは盛況のうちに幕を閉じた。
【 くさり10月号より 】