6・30シンポジウム
「社会的連帯経済の実践に学ぶ-6.30シンポジウム-」が6月30日、協同会館アソシエで開催された。山形県の置賜地方で市民主導の循環型町づくりによる自給圏を確立。自らも農民として働く菅野芳秀氏を招いて講演会を行ったほか、組合総研・武代表とパネルディスカッションを行った。
◇効率優先させ「地力」が減少◇
はじめに主催者挨拶として、同実行委員会の西山氏が挨拶。続いて菅野氏の講演に移った。
講演で菅野氏は置賜自給圏について「効率やコストという物差しではなく、循環や持続性、命や健康を何よりも大事にしているので、グローバリズムの世界とはもっとも距離を置いた地域づくりだ」と強調。そして、映像で地域の様子や農作物に含まれる栄養成分の表などを紹介。このなかで市販される国内産ピーマンに含まれるビタミンAが1954年からの50年間で10分の1程度に下落していることを指摘。その他のビタミンも3分の1程度に下落し、それらは他の国内産野菜でも同じだと語った。原因について菅野氏は、「長年の自民党や農協の政策で、農薬と化学肥料による農法が促進されてきた結果、作物を育てる土がダメになった」と語った。そして、「作物に含まれる栄養素は土から吸収される。その栄養素とは、その土地が何万年にわたって培ってきた土に含まれる有機物だ」として、土を再生する取り組みを紹介。
地域の約9千世帯から出る生ごみを集め、それを肥料に改良。さらに自治体を巻き込んで「たい肥センター」を建設。そうして循環型の町づくりの「レインボープラン」ができた。20年以上経過した現在、全国から注目を集め、毎年多くの視察者が訪れるという。
最後に菅野氏は「未来を担う子どもたちにボロボロの土を引き継がせることなどできない。国の言いなりにならず、住民が主役で地域需給の観点に立った町づくりが大事だ」と語った。
◇社会的連帯経済を広げよう◇
続いてパネルディスカッションに移った。組合総研の武代表は菅野氏の講演について、「これまで効率が良いからと化学肥料や農薬を使い、安いからといって外国産の食糧に依存。それにより日本の農業が破壊された。大量生産・大量消費で人々の命や健康はないがしろにされてきた。しかし、それはもう終焉に差し掛かっていることがお話のなかにあった」として、資本主義経済に代わる社会的連帯経済の必要性を訴えた。
次に関西での生コン労使の取り組みとして、中小企業と労働組合が協力して大企業の収奪と闘っていることや、沖縄基地問題や反原発運動にも取り組んでいることを紹介。
そして、最後に「経済成長が不公平をつくり出し、失望した人々を生み出して社会不安を生んでいる。社会的連帯経済の取り組みや菅野さんの自給圏をつくる運動はその対極にある。我々は共通する課題を掲げて全国的にネットワークをつくり、社会の健全化を図りたい」とまとめた。
【 くさり8月号より 】