学習を創造的活動に活かそう
教育部では、月に一度開催する幹部教室を通じて、執行委員のレベルアップに力を入れています。
今月のテーマは「スマホ時代の恐ろしさ」です。
トランプ大統領就任以降、1948年に執筆された「1984年」という小説が米国で爆発的に売れ行きを伸ばしている。また同じく反ユートピア小説の「素晴らしい新世界」「華氏451度」も爆発的売り上げを記録している。
◇権力者は都合よく歴史は改ざんされ◇
小説のなかで、世界はオセアニア・ユーラシア・イースタシアの三つの大国に分割され年中行事のように小さな諍(いさか)いを繰り返している。小さな戦争を繰り返すことで国民の不満は敵国に注がれ自国に向かなくなる。また余ってしまった生産力の消費をする手段としても用いられる。
内部統制については、テレスクリーンと呼ばれる装置で監視するだけでなく、憎悪を煽り指導者を賞賛する放送を鑑賞することが義務づけられ、歴史は常に当局によって都合良く改ざんされつづけている。国民を締め付ける一方、深くものを考えないよう低俗な娯楽小説、番組などを奨励。言葉の簡略化などを進めている。
◇日本も都合の悪い歴史を作り替える◇
小説の内容は今の日本、世界の状況にぴったり合致している。戦争をしないと経済が成り立たないアメリカ。これに追随し朝鮮民主主義人民共和国を敵国として戦争できる国に変わろうとする日本。低俗な番組を放送する一方で、権力にとって都合の悪い報道は決して行わない新聞、テレビ局。また先の大戦で日本軍がアジアの人々を蹂躙(じゅうりん※①)した過去を消し去り、「美しい国」として歴史を作り替えようとしている。そういった現実への危機感から評価を得ている。
トランプ政権の誕生はツイッターなどでの支持獲得が原因とされている。
スマートホン、パソコンの普及は便利である一方、多くの弊害をもたらしている。
◇高支持率の理由は仮想敵を作り非難◇
何の裏付けもない情報が一斉に垂れ流される。SNSなどはその典型である。反対意見を出そうとすれば一斉攻撃を浴びる。助け船を出した人に対しても同様。結果、反対意見を持っていても書き込めない無関心層を生んでいくことになる。
SNSでのトランプ支持は短く、仮想敵を作り、わかりやすい表現であったからだといわれている。日本においても支持率が高かった総理大臣は小泉、安倍である。声が大きくわかりやすいというのが高支持率の理由である。わかりやすいことと政治は全くの別ものである。支持の高さを利用し、全てのことを閣議で決定。行政の人事権を掌握し、やりたい放題しているというのが、森友、加計学園の本質である。権力は国民を無関心にし手足を縛っていく。「何が正しいのか深く考えていくことが必要」とこの本は教えてくれる。
※ ①蹂躙(じゅうりん)とは
ふみにじること。暴力や権力によって他の権利を侵したり、社会の秩序を乱したりすること。
【 くさり7月号より 】