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朝日分会による調査結果

 ●現在危機的に置かれている運転手不足の要因は…●

 

 某大手運送会社を中心とした宅配便ドライバーの過重労働が問題になっています。昨今のインターネット通販の爆発的な普及によって、宅配便件数が大幅に増加した結果、そのしわ寄せは商品を運ぶドライバーにきています。   

 朝日分会では、どのようにすれば現在の運転手不足を解消できるか、他の運送業界の実態について調べてみました。  

 最近では毎月のように、残業代の不払いや長時間労働時間の是正指導を沖なわれた話を聞きます。  

 どの業界でも同じですが、是正指導・勧告の発端は従業員の申告から始まることが多いのです。まだ、それなりの賃金が確保されていた時は少なかったのでしょうが、従来からの賃金制度のままで、賃金カットだけをして、過重労働で残業代も出さず、「嫌なら辞めろ」の調子では、労働基準監督署へ行って文句の一つも言いたくなるのが、心情ではないでしょうか。  

 そこで、運送業に従事する方の賃金制度についてもう一度考えてみたいと思います。

■運賃と賃金が不均等。一番先に削るコスト■

 

 当然のことながら、運転手の賃金は、荷主の運賃から支払われますが、運賃はベテラン運転手でも若手の運転手でも同じです。ですから年功賃金の場合は、ベテラン運転手の方が固定費は高くなり、会社の利益は少なくなります。また、運送業者が運行管理でよく使う「運行効率(実車率・積載率・稼働率)」についても、運転手の個人的能力はあまり影響しないといえます。荷主と運転手との人間的繋がりで仕事が入ることも無いと断言はしかねるものの、むしろ会社が解決するべき問題だからです。  

 運転手個人の能力が発揮されるのは、「有効稼働率(労働時間・実作業時間・運転時間)」といった時間に関する効率の問題です。しかし、これを給与に直接反映するようにしてしまうと、急いで事故を起こすなどの危険性が高くなります。要は、一定のキャリアを積んでしまえば、それ以上は年齢によって差が出にくい業種であるということです。  

 そのような業種に年功的要素の高い固定給を取り入れれば、現在のような運送業を取り巻く状況のなかでは、当然のように運賃と賃金がアンバランスになってしまいます。現在のトラック運転手の給料は、年収にして300万円~400万円程度と言われています。  

 生コン業界の平均年収は650万円を超えています。同じドライバーでありながら、私たち生コン業界と比較しても労働条件・賃金の違いが明らかです。今後も組織拡大の材料になるように調査を行っていきたいと思います。


< 通信 /朝日分会執行委員 >

 
=運送業の賃金体系例=

※支給項目の呼称は各社で異なりますが一般的なもの

①基本給+住宅手当(固定給)+無事故手当+皆勤手当+残業手当
②基本給+家族手当(固定給)+無事故手当+残業手当
③基本給(固定給)+食事手当 +能率手当+無事故手当+皆勤手当
④基本給(日給または時間給)+残業手当+歩合給

 【 一般貨物 】固定給+変動給=支給額

★けん引⇒固定給186,700円(構成割合50.2%)変動給181,400円(構成割合49.7%)
★大型⇒固定給166,200円(構成割合49.8%)変動給167,700円(構成割合50.9%)
★普通⇒固定給171,900円(構成割合59.8%)変動給115,600円(構成割合40.2%)
★女性運転士⇒固定給153,300円(構成割合57.9%)変動給111,300円(構成割合42.1%)

◆ チェックしてみよう!◆  

 最近、固定給部分を極端に少なくし、変動(歩合)支給を多くし“見た目の賃金を世間並み”にしようとしている給与体系を見かけます。固定部分を増やさずに変動部分(賃金構成の50~60%を占めている)の割合を多くすることがあります。会社が生き残るために、変動部分の見直しする企業が増えてきています。   

 そのため、変動部分の割合を多くして固定部分が最低賃金法に抵触している企業があります。  

 また最近運送業界では「固定残業制」を取り入れる会社が増えています。実態を無視し安易に「会社が生き残りのためには仕方がない」という理由で残業代の削減だけを目的にした「固定残業制」を導入する企業があります。


  【 くさり6月号より 】


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