= 17春闘最前線 =
■バラセメント春闘■
賃上げ圧力バネに運賃適正化を勝ち取ろう!
◇運賃引き上げ焦点◇
バラ17春闘は、建交労・UAゼンセンも参加し、6労組による集団交渉となった。
15・16春闘では賃上げなどが確認されてはいるものの、業界再建が進んでいないため現状では実行されていない。まずはバラ業界の再建がどうしても必要だ。また、生コン業界の大同団結と生コン値戻しが進むなか、生コン春闘において生コン輸送・バラ輸送運賃の引き上げが大きな焦点となっている。
バラ業界は、長年、過積載を前提とした運賃体系をとってきた。しかし、近年の法令順守強化にともない過積載ができなくなったため、トン運賃での収入は事実上3割減になっている。各社、経営危機を打開するために車両や人員の削減、日々雇用化政策を行ってきたが、それも限界に達している。
17年前、バラ専がスタートし、運賃の適正化・先方引取車対策・SSの共同利用の解決に向けて協議が行われていた。
バラ運賃の適正化は近バラ協だけでは不可能であり、工組や各生コン協組が中心となってバラ運賃適正化の責任を負うことを約束したバラ専は問題解決の有効な手段だった。しかし、セメントメーカーの妨害などにより2010年11月に中断。いまだに再開の目途が立っていない。
こうした危機的状況を打開するには近バラ協が共同事業を強化・発展させる以外になく、その点では労使一致している。今年に入り、同協組では燃料の共同購入に加え、タイヤの共同購入もスタートさせた。また、アウト業者の協組加入も進んでいる。
業界再建への喫緊の課題は、①運賃の適正化(トン480円アップ)、②アウト対策、③先方引取車対策など。
生コン協組との団体輸送契約と共同輸送、バラ業界で大きな割合を占める非正規労働者の正規化の指針作成と処遇改善が春闘要求の大きな柱となっていた。
バラ春闘は3月9日に開始され、第3回交渉で妥結(【賃上げ】1万円、【総合福利】6万円〔昨年実績〕、【一時金】連帯123万円〔昨年実績〕)。同時に、バラ運賃の引き上げ・近バラ協会員の正会員化・共同事業の拡大を労使一体で進めていくことを確認し合った。
■近圧労組春闘決起集会/圧送春闘■
魅力ある圧送業界をつくるために断固闘う!
◇厳しい闘いを覚悟◇
3月5日、協同会館アソシエで近畿コンクリート圧送労働組合が「17春闘勝利決起集会」を開催した。
集会冒頭、近圧労組・桑田委員長は「圧送業界は混乱した時代から脱して今日に至るが、業界再建ができたのは労組の協力があったからこそ。しかし、経営者のなかにはこれまでの労組の努力を忘れている人もいる。もう一度、圧送の経営者に歴史を再認識させなくてはならない。また、人材確保も重要課題であり、人が集まる業界に変えなければならない。今春闘は厳しい闘いになる」と語った。
続いて来賓挨拶に入り、このなかで関生支部・武委員長は「圧送業界は1980年代に労組の協力によって圧送料金の引き上げに成功したが、権力弾圧をきっかけに経営者が労組から距離を置いたことにより、ゼネコンの買い叩きにあった。2000年以降、もう一度労組が全面的に協力したことで業界再建を果たした。春闘では対話と圧力が必要。要求が前進しなければストライキで臨むべき」と檄をとばした。
この後、梶山書記長から春闘要求の説明が行われた後、最後に組合員全員で団結がんばろうを行った。
◇人の集まる業界を◇
近畿コンクリート圧送労働組合・生コン産労・関生支部の3労組による「近畿圧送17春闘」がスタート。3月8日に協同会館アソシエで第1回集団交渉が開催された。
今春闘では、賃上げ2万円以上、年間一時金100万円の経済要求のほか、圧送労働者の業種別統一労働条件として、年間休日110日、基準賃金の簡素化と統一化、同一価値労働・同一賃金の確立と最低賃金制度の完全実施(京都と滋賀地域では導入)、非正規労働者の正規雇用化と有期雇用者の雇用条件統一化などを要求。また、これまで継続して話し合われてきた制度要求や業界秩序の改善を目指している。
近圧労組の桑田委員長は、集団交渉に参加した経営者に対して「圧送業界をより良くするためには働く者の賃金・労働条件を向上させ、それを通じて新たな人材を確保することが不可欠。そのためにも今春闘で労働組合は要求実現に向けて断固闘い抜く」と決意表明した。
現在、春闘勝利に向け、また、魅力ある圧送業界をつくるための熱い闘いが続いている。
【 くさり4月号より 】