電通で新入社員の女性が過労自殺しました。
その電通は、25年前にも入社2年目の男性社員が自殺しています。電通の経営者は、自殺した男性社員の遺族と和解して再発防止を誓ったにもかかわらず、また起きたのは以前の事件を全く教訓にしていません。
会社の同僚や先輩など周りの人たちが相談にのっているケースは多く、過労自殺した女性も同僚や先輩に相談していたのに防げなかったのです。
このような状況を打開するためには、孤立している人々のための居場所を提供することが必要です。
過労自殺事件は、電通の業績にも影響を与えています。書類送検を受け、取引見合わせの動きが出始めました。行政機関には発注事業について業者を入札参加停止にする基準があります。地方自治体担当者は「税の投入先としてふさわしいか判断するため」と理由を説明しています。また、禁固刑以上にあたる容疑で書類送検されると3ヶ月停止させる規定があります。
滋賀県は1月24日、違法な長時間労働をさせたとして、労働基準法違反容疑で書類送検された電通と三菱電機について、県発注事業の競争入札への参加を停止する措置を決定したことを発表しました。期間はいずれも1月24日から2月23日までの1ヶ月間。滋賀県は今年度、電通は近江牛など特産品のPRなど、三菱電機は環境放射線モニタリングシステムの保守点検業務などを受注しているそうです。滋賀県には登録業者や業者の役員が労基法違反容疑で書類送検された場合などに入札への参加を停止する規定があります。
JRA(日本中央競馬会)も1月29日から1ヶ月間、電通を入札参加停止にしています。起訴や刑の確定で参加停止にする自治体は多く、東京都は違法行為など「社会的信用を著しく失墜したと認められる場合」は1ヶ月としています。3年前には、長期間労働による労働基準法違反で法人と幹部社員が罰金刑を受けた建設会社の参加を停止しており、担当者は電通についても「推移を見る」と話しています。
電通の売り上げのうち官公庁と団体絡みは5%ですが、民間にも取引先選定基準に人権や社会的規範の尊重を記す企業は多いのです。ある民間企業の広報は「すぐには電通との取引を止めないが、労働環境が改善するか注視したい」とコメントしています。
私たちは、労働基準法違反による行政の規定を武器にして、違法行為をおこなう企業に臨むことです。また、孤立している労働者のための居場所として、個人加盟制の労働組合を提供することが必要です。
【 記事:武谷書記次長 】