犯罪を計画した段階で処罰する「共謀罪」を盛り込む「組織的犯罪処罰法改正」案について、当初の政府案より、対象が削減されたため公明党は容認したとのことで、3月10日に閣議決定することが報道されています。
与党は、呼称として「テロ等準備罪」を使っていますが、条文に「テロ」の表記がないことから、この間「テロ等準備罪」と呼んできたのは、世論対策に過ぎず、この間の金田法相の見解や安倍首相の答弁は、法案を通すことを目的としたいいかげんな発言であり、国民を騙すためだったことが明らかになりました。
元東京地検公安部検事(現在は弁護士)は、「現行法の下でテロ対策の立法は不十分とは思わない」「地下鉄サリン事件の時に共謀罪があったとしても情報がないため、防げなかっただろう」「公安検事時代、共謀罪が必要と思ったことはまったくない」と述べています。
また、元公安検事は「拡大解釈や乱用、過剰な取り締まりや萎縮効果を生むだけ」「組織的違反罪集団の要件を加えても、今までの共謀罪と大差はない。オウム真理教はヨガ教室から始まりテロ集団となったが、どこで認定するかは捜査機関の解釈。そういう『灰色』の部分で、市民団体や労働組合が犯罪団体と認定されうる。」と警鐘を鳴らせています。
さらに、「今でも相当の嫌疑があれば裁判所の令状を得て捜査できる。何を持って組織的犯罪集団や準備行為を認定するかがあいまいだ。肝心のテロ犯罪は検挙できないまま、適用対象だけが広がることにならないか。テロ対策の美名の背後に隠された、市民生活の自由に対する脅威や危険性を認識しなければならない」と懸念しています。
この元公安検事の主張は、「国際組織犯罪防止条約」の締結は、現行法にある「予備罪」などの適用で締結が可能であり、テロ対策は個別の法律で対応すべきだとして、「共謀罪」は必要ないと、日弁連が主張していることと同じです。
私たち労働組合は、良識ある法律の専門家や日弁連、市民、農民、中小零細企業の経営者など、全ての大衆とともに「共謀罪」の本質を暴露して、法案成立を阻止する闘いが求められています。「共謀罪」を廃案にするまで闘い続けましょう。
【 記事:武谷書記長 】