= TPPはいらない =
TPPは、2011年民主党野田政権が「平成の開国」として交渉参加を表明し、現在の安倍政権に引き継がれています。
TPPとは、自由の名を借りた投資家のための協定であり、大企業と富裕層1%がさらなる富を得るルールなのです。
貿易は、「自由」ではなく、強者による「管理」された貿易になります。
大きな問題の一つに「ISDS」条項があります。国際資本を頭目とする投資家たちが、世界の国や自治体に向けて行った「ISDS訴訟」は2015年から急増。このISDS条項は、環境保護や住民の権利より企業の利益を優先し、企業が政府を提訴して損害賠償を起こせるというもの。ほとんど米国企業が勝利するなおざりの紛争委員会裁定なのです。
企業や投資家から訴えられ、国の主権や人権が奪われています。また、交渉過程は一切秘密で、開示文書は全て黒塗りとなっているなど、民主主義に反しています。政府の試算ではメリットがあると言っていますが、中身を検証すると恣意的な数字操作による試算といわざるをえません。
日本の農産物のうち高関税のものは、需要5品目(米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)などごく一部に過ぎず、すべての農産物が関税撤廃の対象となります。
漁業では、補助金が出なくなる恐れがあり、自由化されている林業や国産表示・産地表示にも「ISDS条項」の影響が及ぶことが懸念されます。
食の安全基準では、消費者が求める厳しい規制ができなくなります。また、現在、日本に入ってくる輸入食品は平均92時間かけて検疫所でチェックしていますが、「48時間ルール」になり、検疫がしっかりできるかどうか?と食の安全が危ぶまれます。
さらに、人体に影響があるかどうか現時点ではわかっていない「遺伝子組み換え」の作物が増えることが予測されます。
医療制度では、安価な薬品が手に入りにくくなり、国民皆保険制度は内側から壊されることが予想されます。
さらに、かんぽ生命や共済は、民間保険と同じように扱われるなどアメリカの狙いのひとつである日本国内の医療保険市場の拡大となるのです。
TPPの根本にあるのは、金融も国境の壁を取り払い、資金の流れを阻害することなく自由に流動させる新自由主義の思想です。ウォール街のメガ金融グループが主導する国際金融資金の流れを止めることが困難となり、日本の年金や日銀マネー、企業の内部留保などが国際金融市場に流出すれば、日本社会の貧困化がより一層進み、金融危機から国民生活を守れなくなります。
公共事業や地域経済においては、地域外、特に外資系企業に仕事を奪われる恐れがあります。公共サービスにも影響を及ぼし、暮らしや地域の社会インフラの存続が危ぶまれます。
環境に関する政策にも、大企業や投資家の利益が優先されるのです。
このようなことから、労働者の労働条件や雇用に有害となることは明らかです。
TPPにおける真の対立は、米国対日本という国益の対立ではなく、1%の国際資本家対世界の99%の一般大衆との収奪をめぐる闘いなのです。
日米が批准しなければTPPは発効しません。命や暮らし、民主主義の観点からも「TPPはいらない!」と声をあげ続けましょう。
【 記事:武谷書記次長 】