= 経験し感じた制度の矛盾 =
★ 年金制度の落とし穴 ★
前回、「奨学金の落とし穴」という題名で記事を書きました。
新聞によると、返す必要がない給付型奨学金を「最低でも月3万円給付する」という検討を進め2018年度の入学生から導入する考えだとのこと。
ただし、条件がついており低所得者世帯の大学生を対象にし、一定の成績基準を設けることを検討している という。
進学を後押しするには最低でも3万円ないといけないという認識があるらしい。
やはり成績を基準にするという差別は残るようだ。
低所得者世帯からみると、確かに3万円給付されると助かる。しかし、3万円では大学に通うことは出来ない。大学に進学するためには結局は貸与型奨学金に頼ることになる。
2010年4月から高校が無償化になったことも、低所得世帯には助かる制度だ。
私の息子たちが高校に通っている時代に無償化なら良かったのに・・と愚痴を言いたいところだが、次世代の若者のために無償化は良かったと思うようにしている。
ただ一時的に政治的な利用をされてるのなら許されない。
給付型奨学金も高校無償化も継続して欲しいしが、奨学金を受給する審査として成績基準を設けたり、朝鮮学校無償化除外などの差別は一刻も早くなくして欲しい。
★ 私が矛盾を感じたこと ★
ところで、今回は年金のことを少し考えてもらいたいと思いまます。
例えば月収15万円の人が社会保険(厚生年金・健康保険・年齢によっては介護保険)が差し引かれると、手取りは13万円程になります。
私が母子家庭になった頃も、母子家庭手当(児童扶養手当)が年に3回支給されてました。
当時は扶養している息子3人分で、ひと月48000円でした。(1人目40000円、2人目5000円、3人目3000円 計48000円)それを4か月に一度振り込まれていました。
月収と児童扶養手当を足しても月20万円に満たない収入金額でした。
正社員の時は月収から社会保険は天引きされていたのですが、社会保険未加入の職場の際、国民健康保険料や国民年金を自分で支払う事になります。
私は国民健康保険料の細分化や国民年金の支払い免除申請を申し出るために区役所へ足を運んでました。国民年金の免除申請をしていれば免除期間中も年金の受給資格期間に含まれるからです。
当時は生活に追われ、自分の老後の事を考える余裕などなく、ましてや低収入のため、とてもとても私一人の収入で毎月2万近くの支払は出来ません。
国民健康保険だけは子供たちが風邪をひいたり病気になって病院にかかることを考えると、自費診療(10割負担)は困るので無理してでも支払いました。
ですが、年金までは支払えませんでした。
当時は、年金の免除申請に対して深く考える余裕もありませんでした。
今、息子たちが成人し独立した生活になり、親の介護などをしながら自分の老後を考えるようになりました。
たまに日本年金機構から届く『年金定期便』を見てみると、支給される予定の年金金額があまりにも少なくて途方にくれます。
ただでさえ少ない年金(月に数万円)。それなのに私の場合は通常の3分の1しかもらえない期間が長いのです。理由は年金支払いの全額免除申請をしている期間が長かったためです。免除申請した期間(月数)分の年金は3分の1に減ります。
免除申請をした際、区役所で説明は聞いてたものの、当時は生活が困窮し、支払いたくても支払えなかったのです。子ども達を育てることが最優先。子供たちを食べさせるのが自分の老後の年金よりも大切でした。
貧困世帯は何年たっても貧困から抜け出せず、老後にもツケが回ってくる現実を実感してます。
現代もひとり親世帯や貧困家庭にとって年金を収めるのは重くつらいもの。
その優遇措置として免除申請できる制度があるはずですが、利用すれば老後にまた貧困の苦しみが訪れ、生活の不安からはいつまでも抜け出せず、負の連鎖は止まらないのです。
「奨学金制度」も「年金免除申請制度」も、国ば助けの手を差し伸べてくれるのかと勘違いしてしまいがちですが、結局はのちに「奨学金」は高額の借金として、「国民年金免除」は老後の年金から差し引かれるツケとしてのしかかってくる、苦しみから逃れられない制度だと感じるのは私だけでしょうか?
今後も、自分の経験を通して貧困家庭の現状を伝えていきたいと思います。
【 記事:K組合員 】