= 国民を苦しめるアベノミクスの正体 =
「アベノミクスの正体」をテーマに同志社大学田淵太一教授による幹部教室が行われた。講演のなかで田淵教授は「アベノミクスによって利益を得ているのは大企業と一部投資家のみ」と指摘。中小企業や労働者をさらに苦しめるその実態を鋭く暴露した。
田淵教授は次のように講演した。(以下要約)
■ アベノミクスは
選挙向けの欺瞞 ■
2012年12月に誕生した安倍政権。彼らが提唱するアベノミクスは13年7月の参院選で改憲勢力3分の2を獲得するための短期間を想定した欺瞞策だ。
大胆な金融緩和によって一時的に株価を上昇させることにより、あたかも景気回復に向かっていると国民に見せかけ支持を増やす。その裏側では、特定秘密保護法、武器輸出三原則見直し、集団的自衛権行使容認を閣議決定。15年9月には安保法制を強行成立させるなど、改憲し、日本を戦争する国に変えていくための政策を推し進めている。
■ アベノミクスは
もうすでに失敗 ■
大胆な金融緩和、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略がアベノミクスの「3本の矢」だ。
大企業を儲けさせた後、その利益の一部を中小企業や労働者にも還元するとしていたが、実際には大企業の内部留保を増やし、一部投資家に利益をもたらしただけで、多くの国民は賃金が上がるどころか、非正規低所得層の増大、またインフレによる物価上昇で一層生活が苦しくなっている。
日銀は量的緩和を行うため、新規発行国債の9割を買い入れてきた。しかし、国債購入の損失は8兆円超となり量的緩和政策は破綻。マイナス金利政策を行って経済活性化をはかるも思うように資金が出回らない。
また年金積立金の50%は株式投資に回され、この数ヵ月で9兆円の損失を出している。
■ 労働者イジメで
経済を活性化!?■
このように第1の矢、第2の矢とも破綻しているアベノミクスだが、残された第3の矢とはどのようなものなのか。
アベノミクスの「第3の矢」である民間投資を喚起する成長戦略とは、労働規制の緩和であり、労働者派遣法のさらなる緩和、確定拠出年金の緩和、残業代ゼロ制度(ホワイトカラーエグゼンプション)の導入、解雇紛争の金銭解決導入など労働者をより一層苦しめ、労働者の手足を縛る政策ばかりだ。
もし、これらが実施されれば消費税の増税分を含めた可処分所得は、1997年の半分(120兆円)になると試算されている。
■ 独裁政治続ける
安倍政権にNO ■
アメリカや一部特権階級のための経済政策、議会制民主主義をないがしろにする閣議決定、独裁政治に大きな力を与える緊急事態条項の新設、また、憲法9条を変えて日本を戦争できる国に変えようとしている安倍政権。
私たちはこうした政策に強く反対し、働く者が主人公となる共生・協働社会の実現を求めて闘おう。
【 くさり8月号より 】