= ついに実現!雇用・福祉基金 =
◆ 労使が互いに協力し、業界の安定目指そう ◆
1980年代、歴史的な32項目協定のなかで合意された労働者雇用・福祉基金。しかし、その後の権力弾圧と業界の裏切り行為により、当時、この約束は履行されなかった。
その基金が昨年からの大阪地区の業界再建のなかでついに実現。この画期的な成果を確信にしよう。
◆ 80年代に約束した雇用・福祉基金! ◆
労働者雇用・福祉基金制度は関生型運動(産業別労働運動)の根幹部分であり、多くの日本の労働運動スタイル(企業別労働運動)では実現しない仕組み・発想である。
この基金制度については、1980年代、経営側の交渉窓口が大阪兵庫生コンクリート工業組合、労働側は生コン関連労組の統一組織として関西生コン産業政策委員会が主体となって交渉を進めた。
両者による交渉で、年間休日の増日や生コン産業年金制度の確立、生活最低保障制度の確立、六甲技研センターの建設、竹野保養所の建設など32項目にわたる合意事項が確立。その内容は産業別雇用政策・福祉政策・労働条件のあり方を網羅するものだった。
現在、広域協組では当たり前となっている協同組合の共同事業(共同受注・共同販売・現金回収)も労組の協力で実現しており、当時、労組の協力がなければ過当競争という最悪の事態に陥っていたのは明らか。その危機を回避することができたのは労働側の団結力と闘争力が発揮されたからこそである。
そして、32項目協定の重要な意味は、この協定が未組織企業を含めた大阪兵庫生コンクリート工業組合加盟の全企業に適用され、そこで働く全ての労働者の賃金・労働条件が統一されたという点だ。
同時に、交渉主体が拡大することによって「協定」のおよぶ範囲が広がり、その拘束力がさらに強められた。それによって労使双方の社会的発言力・影響力が強化され、一層の業界安定につながった。
13年春闘では、セメント・生コン業界の健全化の取り組みや適正価格収受のチェックなどに必要な費用として?200円を受益者負担として拠出することを確認した。
◆ 広域協組が再出発
重い執行部の責任 ◆
昨年から広域協組の新たなスタートに向けた取り組みが進められ、今年5月の総会以降、新体制が確立された。
新たな執行部には労組と約束している業界再建に向けた環境整備基金(?100円)の拠出、「環境整備事業・労働福祉事業・労使間の紛争予防・その他、11・25協定にかかわるとりくみ等」を実行する責任がある。
「11・25協定」の精神が広域協組内全体に周知されておらず、基金に対する間違った解釈が一部で広がっている。経営側は混乱を招く情報を直ちに訂正し、本来あるべき労使の信頼関係や集団的労使関係の実現に向けて取り組まなければならない。
労働側の具体的協力があってこそ生コン値戻しが実現するのであり、過去も現在も労働側の協力なくして値戻しや業界再建はあり得ない。経営側には労働側との約束事を実行する義務(責任)がある。基金の拠出はその柱だ。
現在の広域協組(94年設立)は、労働側の協力のもと、大阪府下5つの協同組合が一つになって設立された協同組合である。
しかし、こうした経過を忘れ、経営側が「労組とは距離を置く」「権力を使って労組を弾圧する」「露骨な組合潰しを行う」ことによって業界が混乱してきた。この事実を真摯に反省し、こうしたあやまちを2度と繰り返さないことが重要だ。
労働者雇用・福祉基金は、当然、生コンの価格構成のなかに含むべきものである。
労使の信頼関係を構築するためにも、経営側は誠実に約束を履行しなければならない。
≪ 11・25 協 定 協 定 書 ≫
●第1条(本協定の趣旨・目的)
本協定は、生コンクリート業界における、長年にわたる生コンクリート事業者・事業者団体と労働組合との対立・緊張関係の歴史に終止符をうち、両者の適正かつ安定した協力・協調関係を構築することにより、生コンクリート事業の円滑な推進と生コンクリート業界の安定的な発展を図ることを目的とするものであり、具体的には、以下の目的を有するものである。
①生コンクリート製造・販売事業の円滑な推進、適正な構造改 革の推進、安定的な経営・労働環境の確立及び業界振興等に 向けて、甲が実施する各種事業への乙の積極的な参加・協力
②大阪広域生コンクリート協同組合が実施する共同販売事業 及び構造改革事業等への積極的な協力
●第2条(各種事業への参加・協力)
甲は前条の目的のために調査研究・情報提供・研修・人材育成・相談・交渉等の各種事業を実施するものであるが、乙は甲に対し、甲からの依頼・要請等に基づいて、これらの事業に、人的参加を含め、積極的な参加・協力を行うことを約する。
【 くさり9月号より 】